コロナ禍で激動の年、写真展で締めくくる 東北大学写真部が「三月展・卒業展覧会」を開催中

佐々木久歌】3月1日(火)〜6日(日)の6日間、東北大学学友会写真部が宮城県美術館県民ギャラリーで「三月展」と「卒業展覧会」を開催しています。今年度最後の写真展であり、この春で卒業する4年生にとっては最後の写真展となる今回は、過去5年で最多の100枚以上の作品が展示されています。新型コロナウイルスにより激動した、写真部の今年度を締めくくる作品展となっています。

部員の個性あふれる100枚以上の写真を展示

東北大学学友会写真部(以下写真部)は六月展、大学祭、そして卒業展覧会と同時に行われる三月展の年3回の展示会を開催しています。今年度の三月展、卒業展覧会では合計67点・100枚以上の作品が展示されています。過去5年間で点数、枚数ともに最多の展示になりました。三月展では部員たちが普段の活動で撮影した写真を展示しており、卒業展覧会では卒業する4年生の部員がこれまでに撮った写真を用い、4年間の活動、成長の様子が感じられる展示となっています。

今年度写真部は92人の部員が活動しています。東北大学から近い町の様子や、大自然、人物、植物、天体など部員が撮影した多種多様なモチーフの写真を見ることができます。また撮影方法や色使いにも部員それぞれの個性が感じられる作品になっています。

一部のブースでは5、6人ほどの部員が一つのタイトルに沿った写真を撮影し展示する「タイトル展」が行われています。「境界」「夢」「若さ」など抽象的なタイトルを部員それぞれの解釈で一枚の写真に収めた作品が展示されています。「欲望」のタイトルには美しい花の写真もあれば、冷蔵庫に陳列されたビール瓶の写真もあり、作者の解釈を想像させる楽しい企画になっています。

卒業展覧会には9人の卒業生が作品を出しています。大学院へ進む部員が多く実際に卒業してしまうのは2人ではありますが、大学院での学業が忙しく学部時代と同じように活動することが難しくなってしまうため、実質的な引退前最後の展示会となっています。

展示では卒業生一人ひとりのプロフィールとともに、一年生から現在までに制作してきた作品が並べられています。プロフィールにはカメラとの出会いや、大学入学までの経緯、はたまた水漏れ事故の苦い思い出など卒業生のこれまでが書かれています。作品にも一枚一枚撮影時の思いが書き加えられています。一人の部員が卒業していくまでの時間の流れを感じることができ、部員の関係者ではなくとも卒業を祝福したくなるような展示になっています。

コロナ禍の中、未経験の写真展を実現

昨年一年間は新型コロナウイルス蔓延の影響で一度も展示会を開くことができませんでした。2年生は後輩の1年生が入部してもなお、展示会を経験したことがないという状態に陥ってしまいました。今年度一年間写真部部長を務め上げた経済学部2年三上紗佳さんは、コロナ禍で激変する状況の中、未経験の展示会を実現した苦労を話してくれました。

「写真展を開催するにあたって、昨年度は一度も開催していないため、例年の開催場所すらわからない状態からのスタートでした。先輩からの引き継ぎも十分にできなかったため、わからないことばかり。先輩側も何が伝えられていないことなのかわからないという状態でした。さらに例年の六月展の開催場所であるせんだいメディアテークの工事が始まったり、展示で必要になる備品が増えたりと今年度から変更されたことも多くありました」

「今回の三月展も1週間前に対面での開催が許可されました。オンライン、対面のどちらの形での開催も想定していたものの、満足な準備の時間が取れず、開催1日前に宣伝用のポスターが仕上がりました。経験もなく、新たな問題も抱えながらも六月展、大学祭、三月展の展示が無事に開催できたのは、支えてくれた部員の力があってこそです。写真展は一人ではできません。1週間前に対面で開催すると決まって、100枚以上の写真を出してくれる部員には本当に感謝しています」

これから部長などの役職を担っていく1年生に対しては「先輩が正しいとは限らない。自分が現状を一番知っているから、自分で判断してほしい」と、厳しいながらも、激動の一年間を引っ張ってきた三上さんにしか言えない言葉を聞かせていただきました。

三月展及び卒業展覧会は3月6日(日)まで、宮城県美術館県民ギャラリーで開催されるほか、写真部ホームページ上でオンライン展示も開催されています。お時間の合う方はご覧になってみてはいかがでしょうか。

三月展
https://tonpeiphoto.com/syashinten_22_3_1/

卒業展覧会
https://tonpeiphoto.com/syashinten_22_3_1_sotsuten/

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