【光森史孝=バリ・ウブド村】バリの伝統芸能、ガムランと西洋楽器のピアノが共演する曲など、ガムランの新曲発表会が2018年5月25日の夜、サヌール近くのホールで行われました。




ガムランを演奏したのは、ウブド近くのプンゴセカン村に存在する、「サルカット」というグループです。この夜は、リーダーのデワ・アリットさんが作曲した新しい5曲を携えて、6月上旬からミュンヘンで開かれる国際ガムラン・フェスティバルに出場するためのお披露目演奏会でもありました。

5曲は、いずれも、バリの長い伝統芸能の歴史を踏まえながら、斬新なリズムを刻む、心地よい曲でした。中の1曲は、バリで音楽教室を主宰する西沢朋子さんのピアノが加わる、新しい曲目でした。この曲は、ガムランフェスの主催者から、ミュンヘン市内の教会のカリヨン(鐘)とガムランのコラボの曲を依頼され、昨夜は、鐘に代えてピアノとのコラボとなったそうです。ちなみに、使われたピアノは、ビラ・ビンタンの運営メンバーの一人から寄贈されたもの。ビラ・ビンタンで、在住の日本の人のピアノ練習や、うちの登司子の歌の練習などに使われているのもので、昨夜のために貸し出しを依頼され、大変、喜ばれました。

ガムランとピアノのコラボの風景です。

昨夜は、300人を超す聴衆が詰めかけ、曲の斬新さと似合った娘さんたちのバリ舞踊も交えた演奏会に、大きな感動を、受けていました。

このサルカット・グループの演者21人と3人の踊り手は、6月8日-17日に行われるフェスティバル(ミュンヘン市立博物館主催)に参加しますが、ここにはバリと並ぶインドネシアのガムラン演奏の盛んなジャワをはじめ、カナダ、アメリカ、欧州各地から多くのガムランが参加するようです。バリのサルカットは、この後、在ベルリンインドネシア大使館のイベント、スウェーデンのSommerscenフェスティバル、デンマークのRoskilde音楽フェスティバル、ドイツのRudolstadt音楽フェスティバルに出演するなど、約1カ月の海外ツアーを行います。

ガムランの海外演奏と言えば、1930年代、パリでの植民地博覧会での演奏を皮切りに、バリ伝統芸能を世界に広めた、プリアタンのグンカ(偉大な父)=マンデラ翁を思い出しますが、デワ・アリットさんのお父さんは、マンデラ翁の楽団で太鼓を奏していた人で、その血をひくマデさんの兄弟姉妹は皆、ガムラン奏者として、知られたガムラン一家の人たちです。その中で育ったマデさんは、ボストンの大学で、ガムランを教えていた人でもあります。

バリでは、各村で最低一つのガムラングループがあります。バリ・ヒンズーのお寺の祭儀に演奏が必要だからですが、多い村では、三つも四つもグループがあり、プンゴセカン村のように六つも存在する村もあって、島内に、いくつ存在するのか、数えきれないほどだと言われます。ただ、古典演奏は継承していても、新曲を創作しているグループは数少ないようですが。

国際演奏に出発するマデ・アリットさんはじめ、メンバーは、バリ・ガムランの古典演目だけでなく、新鋭作曲家と注目されるデワ・アリットの作品、世界に通じる音楽としてのガムランの、その魅力を紹介することで、発展を続けるバリガムランのいまを伝えることを目指しています―と大張り切りでした。

【光森史孝】1995年、神戸新聞社在職中、友人ら5人とインドネシア・バリ島のウブド村にコテージを取得し、神戸新聞社を定年退職後、ウブド村に移住。コテージ「Villa Bintang Ubud(ビラ・ビンタン・ウブド)の経営をバリの古くからの友人に委ね、バリ島の環境保護のための植林活動や日本・バリの高校生交流の手助けなどをしながら妻と二人で暮らしている。ウブド村の日々をつづったメーリングリスト「ウブド村暮らし通信」を発行。「TOHOKU360」には「ウブド村」通信員として参加、「ウブド村暮らし通信」から選んだ記事を不定期で掲載中。





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