【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】2023年8月27日、ジャズ喫茶「カフェ・コロポックル」(宮城県栗原市若柳上畑岡原20-16)で開かれたジャズライブには、伝統的なジャズスタイルの一つである「ビ・バップ(Be-Bop)」ピアニストとして知られる太田寛二さんのグループが出演しました。「ビ・バップ」はジャズ音楽に関心のある人なら聞いたことがあるはずです。では、何をもって「ビ・バップ」かと問われて、うまく答えられる人は少ないかもしれません。近年ではネットで検索すれば「ビ・バップ」の代表例をいくらでも聴くことができますが、ジャズ聴き50年超で、自分が楽しいだけのアルトサックス歴7年の筆者にとっても「ビ・バップ」にライブで接する機会はありませんでした。というわけで仙台からマイカーで2時間半の「追っかけ」となった次第です。
「コロポックル」はハクチョウやガンなど渡り鳥の飛来地として知られる伊豆沼のほとりにあります。ライブに出演したのは太田寛二さんをリーダーとするクインテット(5人編成)。前半は佐藤弘基さん(ベース)、今村陽太郎さん(ドラム)とのピアノトリオ、後半に菊田邦裕さん(トランペット)、名雪祥代さん(サックス)が加わってのクインテットによるステージでした。
「ビ・バップ」はいわゆるモダンジャズの始まりとなったスタイルで、チャーリー・パーカー(サックス)、ディジー・ガレスピー(トランペット)、バド・パウエル(ピアノ)、セロニアス・モンク(ピアノ)などが知られています。
太田さんは2019年から2021年にかけて3枚のCDをJULIAN RECORDSから発表。いずれもこの日のライブで共演した若手演奏家とのビ・バップ共演でした。身近なジャズの現場で、地元で活躍する演奏家とコラボしている点で、見逃せない存在です。CDを何度も聴き直したうえで出かけたライブではあらためて気づいた点がいろいろありました。
ビ・バップの代表例として知られる曲は多数ありますが、ビ・バップの曲を取り上げればビ・バップになるわけではありません。太田さんのジャズはライブを通しての身振りや他のメンバーとのコンタクトも含めてジャズそのものです。ビ・バップ特有の寛容句のようなフレーズも、録音されたものを聴き通すだけではその魅力の半分しか伝わりません。曲の流れの中で感じて初めて分かる「ビ・バップ」的な瞬間もあります。特に他のメンバーとのコンタクトの様子が目に見えることが重要です。ジャズはライブで-の原点をあらためて感じることができました。
ジャズ志願中の立場から言えば、今回、太田さんと共演した若手のビバップフレーズの輪郭が以前にも増して明瞭になり、ソロ演奏のパワーが増していた点に触れる必要があります。
最後に、太田さんはジャズの伝統的なスタイルの一つである「ビ・バップ」を極め、時には「レジェンド」と呼ばれるほどの達人ですが、当然のことながら演奏そのものに若いとかベテランとか、新しい・古いもありません。ジャズの現場に足を運んでみれば、古いも新しいもなく、いいジャズかそうでないジャズがあるだけだ、とは何かで読んだ話だったかな?
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
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