新型コロナウイルスの終息を願い、福島県いわき市で伝統こけしを制作する「木地処さとう」の三代目工人・佐藤英之さんが「アマビエこけし」を発売した。「アマビエ」は江戸時代に登場したとされる妖怪で、疫病が流行した際に自分の姿を絵に描いて多くの人に見せるよう予言したとの言い伝えがあるという。佐藤さんは「疫病除け」の妖怪をモチーフにしたこけしに願いを込め、「ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話す。
普段は伝統こけしを作る佐藤さんだが、新型コロナウイルスの影響で工房や百貨店などへの客足が遠のき、こけしの注文も全体的に落ち込んでいるという。東日本大震災や昨年の度重なる台風も経験してきた中で、佐藤さんは「全国各地で災害が起きる中で、こけしは大変なときに役に立たない、と悩んできた。原発事故後に群馬県に避難していたときに関東を中心に多くの方に応援してもらった経験もあり、今回こそ自分が一番得意なこけし作りで何かできないかと思った」と話す。
「そばに置きたい、と心がときめくものを」と、伝統こけしの技術と工法を守りながら、華やかで愛らしい「アマビエこけし」が完成。名前も「妖怪」ではなく「妖精アマビエこけし」と名付けた。佐藤さんは「鬱々とした状況の中で、多くの人を応援したい。アマビエは見るだけでご利益があるとされているので、ぜひ多くの人に『アマビエこけし』を見てもらえたら」と語った。
「アマビエこけし」は「紫」と「桃」の2種類。一体2750円、セットで4950円(いずれも税込)。木地処さとうのオンラインショップから購入できる。