【続・仙台ジャズノート#76】自己流の空白を埋めよう

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】大小さまざまな課題が山積していることが分かっている場合、時には「自己流」で突っ込む勇気が必要だし、図々しいと思えるほどの開き直りをどれだけ維持できるかが前に進むための燃料になるのは間違いありません。一方、自己流ゆえに音楽理論や技術的な空白や隙間が積もりに積もってしまうという問題に直面します。筆者のジャズ志願も、今、この記事を書いている時点で、まさにその真っ最中。技術や音楽的な考え方が不十分な点を自らあらためて洗い出し、パッチを当てる作業に追われています。

筆者の場合、スケール(音階)や和音を構成する音(コードトーン)の習得に時間がかかりそうだったので、初心者向けの曲を中心に少しずつ演奏する時間を作ってきました。必要な腕もないのに無謀だったかもしれませんが、可能な範囲で少しずつ曲に取り組む時間は、ものづくりに似たニュアンスがあってとても面白かった。社会人現役のころ、多くの情報やインタビューの積み重ねを通じて記事を整える感覚に似ていました。社会人暮らしの後半17年間を過ごしたネットの分野では、興味深い情報は無尽蔵にあるように見えるけれど、本当に価値のある、自分にとって必要な情報を取捨選択するだけでも大変でした。そんなネットの世界での手触りにも似ていて、嫌いな時間ではありませんでした。

ただし、ジャズ音楽、特にアドリブ(即興演奏)を学ぶのに自己流が過ぎると、どうしてもややこしい課題は先送りになりがちです。時間の経過とともに基礎理論や実技の空白・凸凹はごまかしようがなくなります。

バンドはただ今休憩中。ここに参加してから33年になります。ほとんど欠かさず週1の練習が続いている。アマチュアならではの持続する志。

たとえばジャズアドリブの基礎編のアイデアとして、スケールとアルペジオ(コードを構成する音を一音ずつ順番に吹く演奏法)を組み合わせる考え方があります。自己流でも、スケールとアルペジオについて知らないわけではありませんが、理屈を知っているだけではどうにもなりません。アドリブフレーズを実際に作り出すレベルになると、音のつながりやニュアンスを感覚的にとらえ、音楽表現する力が必要です。こうした難問に答えを出すにはどうすればいいのでしょうか?模索する以外にありません。

ジャズ志願にとって自己流が楽しいのは悪いことではありません。楽しみながらであっても、いったん、身に着けたこつや豆知識は決して無駄にはなりません。本来なら3年前にステップをしっかり踏んで解決すべきだった課題ではあっても、その後の時間経過がマイナスに働くとは思えません。重要なのは、ある程度、視界が広がったタイミングで、今一度、自分の立ち位置を見直すことです。おそらく目の前に広がる視界に起因すると思うのですが、以前なら「非常に難しい」「手に負えない」と感じた問題も、見え方が異なることで理解しやすくなる場合の方が多いようです。

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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