コロナ禍のケニアのスラム街を物販で支援 仙台のNPOに聞くアフリカのいま

【渡辺格】アフリカと日本を結ぶ架け橋として、アフリカの教育支援・経済的自立支援・文化交流等を行っているNPO団体「アマニ・ヤ・アフリカ」が、仙台市にあります。開催していた短期ショップにお邪魔し、支援・交流を通して見てこられた現地の過酷な様子やコロナ禍の現状、今後の活動についてお話を伺いました。

アフリカと日本をつなぐNPO

2020年8月27日、「みやぎNPOプラザ」(宮城県仙台市宮城野区榴岡5)の交流サロンに入ると、サロンの片隅ではアフリカからやってきた商品を販売するお店が開かれていました。

お店を見せていただき、販売していたコーヒーを注文。思ったよりも苦いコーヒーに、私のお子様舌は当初面食らったものの、後味が優しいので2口目、3口目と続き、気づけば飲み終わっていました。

このお店を開いていたのは「アマニ・ヤ・アフリカ」というNPO団体で、団体のお名前は「アフリカの平和」という意味のスワヒリ語だそうです。「アマニ・ヤ・アフリカ」は、ケニアのスラムに住む子ども達への支援を目的として、様々な交流活動をなさっており、今回のお店も、売り上げをケニアへの支援金とするために開かれたとのことでした。

スラムという世界

お邪魔させていただいた27日は、お店の最終日だったこともあり、理事長の石原輝さんと副理事長の吉村松二さんがいらっしゃっていました。お二人からケニアのスラム街のお話を伺うと、日本では想像もつかない暮らしの様子が見えてきました。

支援しているスラム街は、都市部に出稼ぎに来た人々が生活の場所を求めて巨大化したもので、ケニアの首都ナイロビから車で10分ほどの位置に存在しています。現在、ナイロビは中国等の海外の資金が入り、鉄道や高速道路が建設されるなど、次第に豊かになってきている土地なのですが、スラムはそのような豊かさからは完全に切り離された別世界で、犯罪・汚職・貧困が蔓延り、都市の側からはその存在をないものとして扱われているとのこと。

そのような性質から、犯罪の温床であるスラムを排除しようという動きがあり、実際にブルドーザー等の重機が用いられ、物理的に人々の住む場所が奪われたこともあるのだとか。

重機による住居の破壊は、ある朝唐突に通知され、その日のうちに行われてしまうといいます(提供写真)

しかし、そのような極限の暮らしの中にあって、現地の人々はいつも暗く、絶望しているかと聞かれると、全くそんなことはないそうです。「生きること」それ自体がチャレンジである暮らしをしている現地の人々は、人がすし詰めになっている部屋で朝目覚めると、自分が生きていることに感謝するそうです。ほとんどの人が物質的に満たされ、生命の心配から切り離されて生きている日本では、こういった感覚を得ることはなかなか難しいことかもしれません。

コロナ禍で混乱する情勢下でのこれから

コロナウイルスの蔓延に伴い、ケニアでは都市のロックダウンが行われ、多数の失業者が出ました。また、スラム街では6畳ほどの部屋に4~5人が住む家も少なくないことから、ソーシャルディスタンスを取ることが出来ず、手を洗う石鹸や消毒液もほとんど自力では手に無い入らないご家庭が殆どであり、高い感染のリスクと共に生活せざるをえない日常が続いているそうです。これ以外にも、ロックダウンで学校が閉鎖となった事が影響し、10代の女子の望まない妊娠が多発し、再開されても学校に戻れない子が多くなるなど、シビアな現実がそこにはあります。

「アマニ・ヤ・アフリカ」の方でも開催できるイベントが減少し、現地に送ることのできる支援金が減少しているとのことです。具体的には、昨年団体として得られたフェアトレード品の物販収入が170万円程なのに対して、今年はイベントの中止の影響で、年間の売り上げは20万円程に落ち込む見込みだそうです。

このような状況にあって、石原さんに活動への思いを伺うと、

「コロナウイルスの蔓延によって生まれた新たな世界の構図の中で、日本を含めどの国においても、貧困層がますます取り残されているのがわかります。アフリカにおいては、コロナウイルス援助での汚職等も取り立たされており、目に見える末端までの支援がこれまで以上に必要になると感じています」

とのことです。国連、JICA、外務省など、大きな団体によるフォローが難しいスラム街に寄り添い、支援する「アマニ・ヤ・アフリカ」の活動は、コロナウイルスで混乱する情勢下において、その重要さを増していくのではないでしょうか。「アマニ・ヤ・アフリカ」の今後のイベントや支援情報はhttp://amani-ya.com/

購入させていただいたコーヒー。お話を伺った後だと、なんだか味わいも深みを増したような気がします

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