古地図や古写真で、まちの記憶と人をつなげる 佐藤正実さん

古い地図や写真、映像を収集・保存し、ひとの記憶を呼び起こす素材として活用する。記憶の中によみがえる生活はいつしかまちの思い出と重なり、ひととの語らいを通じてそこにあったまちの姿を浮かび上がらせる。かつてのまちの姿を知り、今あるまちの姿をとらえ、記録し、伝えていこうとする地域アーカイブの取り組みが、仙台にある。【佐藤晶子/東北ニューススクール】

素人の言葉で置き換えて伝える

仙台の古地図を開く佐藤正実さん(佐藤晶子撮影)

「仙台のまちの根っこの色は何色なのかを探せないままぼんやりしているところがあった」と、古地図の復刻や古い写真、8ミリ映像の収集・保存活動に携わる佐藤正実さん(52)は話す。

仙台の出版社に勤務する佐藤さんが古地図に関心をもつようになったのは約10年前、知り合いからある1枚の地図を見せられた時だ。「町名はまちの役割が記号化されたものであることや、まちづくり全体の話を古地図から教えてもらい嬉しい衝撃を受けた。こんなに面白い話があったのか。これは自分のためだけにしておくのはもったいない」その思いから古地図の復刻版を発行してきた。

「仙台地図さんぽ」シリーズでは地図の楽しみ方を知らない人にも楽しみ方を伝えようと現在の地図と見開きで並べ比べられるような構成にし、そのページで見せたいところを写真として抜き出し、解説をつけた。

「いろいろな人から聞いた話を自分なりにいったん編集して、人にかみ砕いて伝える。全くの素人発想、素人だからこそわたしが関心をもったように関心をもってもらいたいというのが、自分の活動全部にひっかかってくる」(佐藤さん)。

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