「壁面アート」を続ける老舗ユニフォーム店の思いとは 仙台・ダイコクヤ

【鈴村加菜通信員=宮城県仙台市】「雨の中の工事って、大変そうだなあ」と思っていたら、ペイント?!仙台市青葉区二日町、明治創業のユニフォーム販売会社ダイコクヤの壁面アートは、2年前、国内外で活躍する宮城県大河原町出身のアーティスト・さとうたけしさんによる「職人アートプロジェクト」として制作されたもの。斬新なアートプロジェクトに自社ビルの壁を提供したダイコクヤ。常務取締役・青山悠子さんに話を聞いた。

数年おきに書き換えている壁面アート(鈴村加菜撮影)

数年ごとに書き換えられている「壁面アート」

近くまで寄らないと本物と間違ってしまうほどリアルな騙し絵。2016年11月、世界的にも珍しいペイントアーティストとして活動するさとうたけしさんを始め、遠いところではニューヨークや東京などで活躍する20人ほどのアーティストが3日かけて制作した。実は、ダイコクヤの壁面アートは数年おきに描き換えられていて、これが4代目。壁面アートを始めた現会長夫妻には、「人が集まるスポットを作ることで地域を元気にしたい」という思いがあったのだそう。

ダイコクヤは明治16年、反物屋として創業した。以前は自社オリジナルのユニフォームを製作していたが、時代とともに変化する需要に合わせ、現在は代理店としてメーカーの製品の販売を主に行いつつ、刺しゅうや修繕など、個別の注文も受けている。「長くやってきた企業だからこそ、時代の変化に合わせて新しい方法やモノも取り入れていかなければ」悠子さんは語る。描きかえられる壁面アートにもそんな思いが表れている。

さとうたけしさんのアーティスト仲間が国内外から集結(青山悠子さん提供)
お話を伺ったダイコクヤ常務取締役・青山悠子さん。参加したアーティストが着用したダイコクヤオリジナルのワークウェアはこのプロジェクトのために制作された。(鈴村加菜撮影)

ユニフォームをきっかけに、子供たちに夢を

「仕事用のユニフォームや制服は、普段意識されないものですが、働きやすく、汚れにくくシワになりにくい、そして長持ちするようにデザインや素材にこだわって作られています」。国分町の飲食店や仙台土産店など、ユニフォームを通して長年仙台の仕事人たちを支えてきたダイコクヤには、これからの世代への思いも。会社ホームページの「働く人々を見る子供たちが『こんなユニフォームを着る仕事がしたい』と夢見るようなユニフォームを」という言葉は、悠子さんの夫で昨年12月に新社長に就任した太郎さんがよく口にするという。

自身も子を持つ母の悠子さんは優しい笑顔で語った。「消防士、看護師、ケーキ屋さん…子どもが憧れる職業って、ユニフォームや制服を着ているものが多いんです。子どもたちがユニフォームをきっかけにその仕事に興味をもって、そして働くことに希望を持ってくれたら嬉しい。そんなユニフォームを提供していきたい」

3代目の壁面アート制作者は画家の山田大輔さん。地域を元気にしたいという思いで壁面アートを始めた現会長夫妻の思いが伝わってくる温かい作品。(青山悠子さん提供)
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