【佐々木由香(東北ニューススクールin宮城野)】洋服などを作ったときに出る「はぎれ」をゴミにせずにアート作品にするワークショップ「〈はぎれアート〉をつくろう!」が仙台市で開かれると聞き、取材に行ってみました。そこで出会ったのは、作品づくりを通じてありのままの思いを表現する子どもたちの姿でした。
「はぎれアート」に参加して学んだ2つのこと
ワークショップが開催されたのは、2023年10月27日からの3日間、宮城野区の宮城野区中央市民センターで行われた「みんないっしょの作品展」というイベントの最終日の29日。ガラス窓が大きく、開放感のある明るい会場の一角で行われました。
「取材にきました!」と自己紹介もそこそこに「だったら実際にやらないとわからないでしょ!」と創作の席に誘導され、なんと、おそれ多くもモチーフの一番メインのぞうさんの頭の上の輪っかを作らせていただきました。あらかじめ切ってある各パーツの厚紙に布を貼りつけ、丸い部分は布にハサミを入れて厚紙に巻く…とやり方を丁寧に教えてもらい、初心者のわたしでもスムーズにできました。年代問わずに誰でもできることで、ゴミは減らせるんです!
取材にきたことを忘れそうなくらい夢中で作業していた私に、一緒に作っていた参加者の男の子が目をキラキラさせながら「『はぎれ』ってどういうものか、今日わかった」「いろいろな柄があって、選ぶのが楽しかった」と、はぎれアートをやってみて感じたことを、何度もうれしそうに話してくれました。「みんなと一緒に不要なモノをアートにできてよかった!」とも。「みんないっしょ」に作業する楽しさは「初めまして」も何も関係ないことを、改めて男の子に教えてもらった気がします。
「みんないっしょの作品展」のみんなの思い、届け
今回のワークショップを企画した「みんないっしょの作品展」は、NPO法人が運営している放課後等デイサービス「ぞうさんの家」の利用者の子どもたちの日頃の創作活動や、ほかの参加団体の仲間たちの作品をみんなに見てもらいたいと毎年開催されています。今年の作品展のテーマでもある「ありのまま」の作品が、会場いっぱいに展示されていました。
「ぞうさんの家」の理事長・今井さんが「作品展に向けて、子どもたちは『みんなに見られるところで自分の作品が展示されるんだから、一生懸命作らなきゃ!』と意欲を見せる」と言うように、作品の制作者の中には、普段自分の中にみんなに伝えたいことがあっても、ワークショップの男の子のように自分から声をかけることがなかなかできない子もいます。彼らは絵や作品では自分の今の気持ちをうまく表現できるから、作品たちは、見る人に語りかけてくるのです。
みんなの思いがつまった場所は、みんなの近くに
私たちが彼らの声を聞くことができる場所の一つが、3年前から「みんないっしょの作品展」の会場になっている宮城野区中央市民センターです。施設はJR陸前原ノ町駅の目の前、初めて来ても迷うヒマもないくらいの距離で、通勤や通学のときに横を通る人も多い場所。こんな近くに、自分を知ってもらいたい子どもたちがたくさんいました。宮城野区中央市民センターの作品展の担当の及川さんは「この場所のようにみんなが来やすい場所でイベントを開催することで、こういう活動をしている人たちがいることを一人でも多くの人に知ってもらいたい」と話します。
もちろん、時間のあるときに作品展に来て芸術の秋を堪能してもいいし「この作品、かわいいね」とか「おもしろいね」で終わってもいい。でも作品を見ているうちに、制作者の思いを感じる人が多くなってほしい。みんなと一緒に「はぎれアート」を学びながら体験させてもらい、自然と出た笑顔で幸せな一日を過ごした私も、そう願っています。
*この記事は、仙台市の宮城野区中央市民センターとコラボした市民記者養成講座「東北ニューススクールin宮城野」の受講生の制作した記事です。宮城野区を舞台に活動するさまざまな地域密着の市民活動を取材し、発信していきます!他の記事は下記の画像バナーからご覧ください。
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