【続・仙台ジャズノート#100】アマチュア活動を長続きさせるために

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】在籍34年になる社会人アマチュアバンドの2024年の音出しがありました。新曲は「Blue Train」「Now’s  The Time」「I’ll Close my Eyes」など。このグループは9人編成で大崎市に活動拠点を置いています。もともとは昭和40年代に活動が始まり、メンバーや音楽スタイルを変えながら現在に至っています。このバンドに参加した当時、筆者はまだ30代後半でした。(今、72歳!)。学生時代に自己流で始めたドラムをやるつもりで出かけたら当時のバンマス(バンドマスター)がドラマーだったので断念、急きょ、中古のギターを手に入れてサイドギターとして押し掛け参加しました。連載が百回目を迎えたのを機会にアマチュアとしての音楽活動を振り返ります。

今ではメンバー全員が定年退職者です。アマチュアバンドとしての長続きの秘訣は幾つもありますが、リーダーがアレンジャーであること、音楽的な目標を緩やかに共有できていること、週1回という、社会人としてはかなりの頻度で練習を設定している-ことなどがあげられます。バンド活動にはつきもののライブの打ち上げや季節の飲み会など、仲間内のイベントが次第に少なくなってきました。退職後は自由時間が増えるだろうと思うかもしれませんが、実際は公私ともに用事が増えるので、趣味の時間を確保するのはむしろ大変です。どこかで時間を削りながらアマチュアとして長く活動するには、音楽中心のつながりを充実させる方が心地よいのです。

ことしの練習が始まった。新曲がそろってのスタートは何度経験しても気持ちがいい。

50代のころまでは演奏活動を通じてさまざまな地域イベントでボランティア演奏していました。仙台の定禅寺ストリートジャズフェスにも楽しく出演しましたが、ここ20年ほどは週1回の練習そのものを楽しむグループに変わってきました。

仕事や家庭での役割をメーンとする場合、同時進行させるカルチャー系の活動は楽しくなければ続きません。“好きこそもののなんとやらバンド”を学生のときから続けてきた経験上、音楽的な志向の変化などによるバンドの離合集散を幾つも経験してきました。そんな中でも活動を続けられるのはやはり楽しいから、の一語に尽きるようです。もっとはっきり言えば、可能な限り穏便な形で自分の音楽活動を見直しながら、自分の立ち位置を少しずつスライドさせていく工夫も必要です。大人のバンド活動なんだから、せっかく気付いた人間関係を壊さないように気遣う必要もあるでしょう。

そんな判断もあって、2024年は、これまでの活動をいったん整理するタイミングととらえています。これまでは知らないこと、できないことがあまりにも多いので、可能な限り広くチャンスを求めてきました。その結果、手を広げすぎた感じがします。レベル的に不十分かつ費やす時間も足りないなかで、自分が確実に楽しいと思えるのはなんだろうと自問しながら少しずつ進むことにします。

*この連載が本になりました!

アドリブの「あ」 六十代からのジャズ志願

佐藤和文
2,200円(11/21 15:03時点)
Amazonの情報を掲載しています

仙台ジャズノート 暮らしの中で芽吹くオト、つなぐオト

佐藤和文
1,650円(11/21 15:09時点)
Amazonの情報を掲載しています

*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)instagramfacebook