【続・仙台ジャズノート#138】どうやって覚えますか?コードトーン

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文】この連載の134回目「『枯葉』でアルペジオ。進んでこそみえる新たな風景」で「コードトーン」(コード=和音を構成する音)によるアドリブについて取り上げました。筆者のようにつまみ食いに似たやりかたでジャズを学ぼうとすると、どうしても、分からないことだらけになってしまいます。基本的なコード(ここではメジャー、マイナー、セブンスの3系統に絞っています。絞りすぎ?)だけでも、あまりにも数が多いので、覚えきれません。みなさん、どうやって習得していますか?その点、複雑なコードを、かっこいいリズムとともに繰り出すピアニストのみなさんは見事です。基礎的な繰り返し練習のたまものなんでしょうが、どんな思いで、どんなステップを踏むと、あれほどの技術レベルに達するんでしょうか。ややこしくて恐縮ですがお付き合いください。

コードトーンについては「アドリブするなら避けては通れない」と師匠に言われて以来、必要に応じて自分で調べたり、可能な範囲で繰り返し練習したりしていますが、残念ながら筆者のようにコードトーンに関する素養もパワーもない身では、自分なりのあの手この手で少しでも“可動範囲”を広げるしかありません。

たまたま、30年の付き合いになるコンボバンドが活動を再開したので早速参加し、コードトーンを意識したアドリブを心掛けました。Work Song、Recado Bossa Nova、You’d Be So Nice To Come Home Toなど、それぞれに特徴的な進行の曲で、何よりもテーマ(メロディ)が素晴らしい。コード進行を意識するとはいっても、曲の流れとコードノートの組み合わせについていけず、コードの軸となるRoot(ルート、根音)以外の音は、自覚的に選んだとは言えない「テキトー流」が目立ちました。知っているスケールでこなせる個所があるとホッとします。

訳あって、それまでないがしろにしてきた基礎に力を入れることにしたのがほぼ1年前。ここ2カ月ほどはコードトーンを一音ずつ吹くアルペジオの練習を当面の基礎メニューに入れました。曲に即して練習するのが一番、性に合っているようなので、これまで練習した曲の中から、コード進行の点で、なるべく特徴的な流れを持つものを選んで、片っ端からおさらいしているところです。数多いコードの構成音を頭の中に入れるのはやはり容易なことではありません。

楽譜のわきに自分で書き留めたコードトーンを見ながらならいろいろ楽しめます。次第に面白い練習の一つになってきました。繰り返し練習しているうちに、短い小節や同じコードが続く曲なら、コードトーンを使ったアドリブらしきフレーズを吹けるようになります。筆者のアドリブレベル全体に共通する問題ですが、その場で何となく演奏できても、頭の中に楽譜として入らない(覚えられない)ので、再現性を全く期待できないのが悩みです。要するに楽譜が頭に入っていないので、ややもすると、曲の形を借りたデタラメになりかねません。

この問題を解決するにはどうすればいいのでしょうか。コードトーンの組み合わせを丸ごと記憶する練習も続けています。他にも覚えなければならない課題が多いことを思うと、丸ごと暗記はいかにも無謀なように思います。実際にコードを吹きながら何度も繰り返し練習します。少しずつでも身についていくのはうれしいのですが、コードごとに、どの位置に#や♭がつくか迷います。

コードトーンの組み合わせを語呂合わせのように丸ごと記憶してしまう試みも、それなりに即効性はありますが、コードトーン各種(第3音、第5音、第7音)が、コードの基準となるRootとの関係でどんな位置関係にあるかを、しっかり把握しないと、正確さを欠くし、間違った音混じりの響きをおかしいと思わないなら、相当、末期的です。

たとえばメジャーコードの場合、第3音はRootから数えて全音2つ分の隔たりがあり、第5音はRoot から数えて全音3つと半音1つの位置にあります。マイナーコードの第3音は全音と半音各1つずつの隔たりになっています。第5音はメジャーと同じ。

ちょっと特殊な機能を果たす第7音(セブンス)は、メジャーコードの場合、Root の半音下、その他のコードはRoot の全音下、と覚えれば比較的のみこみやすいようです。その他、特殊なコードがたくさんあります。Root との位置関係を中心に、覚えるべきをしっかり覚え、繰り返し練習を寄り添わせる以外にない、というのが今の結論です。

*この連載が本になりました

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