【続・仙台ジャズノート#96】ブルース好きが古い友人に出会えた気分

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】今回、この記事を用意しているときに1枚のCDが出てきました。50代のころブルース好きな友人たちと組んでいたブルースバンドが福島に遠征した際の録音です。ボーカル&ブルースハープ、ボーカル、ギター、ベースに加えて筆者がドラムを担当していました。Pride & Joy、BMW Blues、Sweet Home Chicagoなど6曲を演奏していました。あらためて聴いてみると、とてもシンプルで、いかにも楽しそうです。早速、カーオーディオにセッティングし、古いブルースや筆者世代のブルース好きのアイドルである「エリック・クラプトン再び」の気分になっています。

ジャズ音楽を演奏する側に立つと、あまりにも複雑で範囲の広い世界であることに驚かされます。そんななかで、好きなジャンルが一つでもあればジャズ志願を続ける支えになるような気がします。筆者の場合、それが「ブルース」でした。

メロディ楽器でジャズという音楽を、と願って以来、さまざまな課題や出会いに恵まれました。課題の多くはほとんど手に余るレベルなので、露出症気味に「やるぞ」と周囲に宣言して「有言実行」をきどるのが関の山ですが、ジャズ音楽の中でも「ブルース」と呼ばれる音楽の位置づけや演奏技術について少しずつ知ることができるのはうれしいものでした。古い友人について、思いもしなかった方向から光が当たる感じ。リスナーとしての面白さをはるかに超えています。

古い時代のサウンドが心地よいブルースたち。中央にあるのが筆者が友人らとつくっていたブルースバンド「紅の豚」のCD。

ジャズの世界における「ブルース」については、レコードやCDなど先人の録音資産がたくさんあるし、膨大な研究論文、エッセー、記事の類に触れることも可能です。ただ、聴いて楽しむのならともかく、「ブルース」を演奏するとなると、どこから手をつければいいか分かりませんでした。入門段階から五月雨的に音楽理論や技術を理解できたとしても、実際の演奏がブルースらしくなるには時間がかかります。

ジャズの場合、少し複雑になるものの、最も基本的なブルースは3つのコード(和音)からなります。12小節をひとかたまりとする独特の基本形を有するほか、「ブルーノート」と呼ばれる独特の音遣いもあって、ブルースならではの独特な雰囲気が特徴的です。

ブルースの特異なニュアンスはその起源に由来します。19世紀初頭、アフリカから奴隷として米国にやってきた黒人の労働歌、生活歌が元になっていると言われます。もちろん、いくらブルースが好きでも、黒人の暮らしや気持ちが本当の意味で実感できるわけではありません。「ブルース」をどう演奏すればいいのかは、分からない方がむしろ自然でしょう。演奏する際、どのように感情を乗せるのか、たずねてみたい演奏家が何人もいます。

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