【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】毎年6月に開かれる「とっておきの音楽祭」の出演者リストが先日主催者から発表されました。アルトサックスで個人的に参加している社会人のビッグバンドは今年も参加できることになりました。コロナ禍に一段落の期待が募り、東北地方でもサクラ前線が急速に北上中。いよいよ野外フェスの季節到来でしょうか。練習しなければ。
アマチュアとしての筆者の音楽活動は50年に及びます。たとえ腕のほどは覚束なくとも楽器を演奏できるのは確かに楽しいものです。一人でじっくり取り組んでもいいし、グループで楽しむのもよし、です。できれば人前で演奏する機会があればなおいい。野外フェス形式の音楽イベントは解放感いっぱいのハレの気分の中で演奏することができるので、一度、味わったらやみつきになるはずです。
筆者が野外フェスに初めて演奏者として参加したのは、仙台の定禅寺通を主な舞台とする第3回定禅寺ストリートジャズフェスティバルでした。1993年9月19日のことです。当時、宮城県大崎市に仕事場があった筆者は、人の縁に恵まれて地元で活動するバンドに参加していました。
ジャズフェスの公式サイトによると、この日、67グループの450人が15のステージで演奏し、35000人以上の観客が楽しんだそうです。初めて参加した草創期のジャズフェスは好天に恵まれたのを覚えています。観客の中に、高校の同級生がいて声をかけられるなど、思わぬ出会いもあって印象深いものでした。
その後、社内で密かに結成していたブルースバンドや2つの社会人ビッグバンドでの参加など、定禅寺ジャズフェスだけで11回も参加しています。定禅寺ジャズフェスが今年9月に予定通り開かれれば32回目なので、3回に1回は参加してきた計算になります。決して少ないとはいえないでしょう。
野外フェスはいろいろな考え方で運営されています。出場申請が通れば自分たちで演奏する機会に結びつくだけでなく、多くのプロやアマチュアが演奏するのを多様なジャンルにわたって聴ける機会にもつながります。音楽とそれを楽しむ人たちが風景となる、あの空気感をもっと多くの人たちに知ってもらいたい。特に子ども世代が音楽に親しむ入り口となるようなアイデアをみんなで出したいものです。
プロのパーカッショニスト齋藤寛さんが企画するプロジェクトの取材でも感じたことですが、子どもたちのリズム感は聴いているだけでとても楽しい。ピアノやバイオリンを幼児のころから習う世界も素晴らしいけれど、野外フェスで演奏されるさまざまな音楽の、特にリズムを子どもたちに直接感じてもらうことで音楽を楽しむ感性が育まれるような気がします。長い間、野外フェスタイプのイベントを楽しんできた立場で正直に言えば、演奏する楽しさに夢中になりすぎて、いろいろ反省点もありますが、ここでは述べないことにします。
BUD SHANK WITH THREE TROMBONES
【ディスクメモ】アルトサックスのバド・シャンクと3人のトロンボーン隊をシェリー・マン(ドラム)、ジョー・モンドラゴン(ベース)、クロード・ウィリアムソン(ピアノ)が支えています。PACIFIC JAZZの10インチ版から。トロンボーンのハーモニーを受け持つのはメイナード・ファーガソン、ボブ・エンボルセン、ステュ・ウィリアムソン。1954年の収録。ボブ・クーパーが作編曲を担当しています。
聴きどころはたくさんあるけれど、サックス練習中の身としては、B面1曲目のWAILLING VESSELが推し。お手本のようなアフロ+スイングは何度聴いても楽しい。B面3曲目のYOU DON’T KNOW WHAT LOVE ISも、あまりべたつくことのない演奏で飽きない。もちろん3人のトロンボーンとアルトのハーモニーは最大の聴きどころです。
▶SIDE A
- VALVE IN HEAD
- COOL FOOL
- LITTLE GIRL BLUE
- MOBILE
▶SIDE B
- WAILLING VESSEL
- BABY’S BIRTHDAY PARTY
- YOU DON’T KNOW WHAT LOVE IS
- SING SOMETHING SIMPLE
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
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