【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】結成55年と、仙台で最も長いキャリアを誇るアマチュアの社会人ビッグバンド「SWINGING HERD ORCHESTRA(スウィンギングハードオーケストラ)」。先日、仙台市青葉区にある「STAR DUST」で「スプリングライブ」がありました。コロナ禍が一段落したかのように思える気分の中、スウィンギングハードの長いキャリアを生かしたステージは実に楽しいものでした。
アマチュア活動は音楽的な水準もさることながら、活動を継続できるかどうかが何よりも重要です。アマチュアと言えど、キャリアが長くなればなるほど活動の継続は簡単なことではありません。手練れのそろったジャズオケらしいポイントを幾つも感じたので忘れないうちに報告しておきます。
YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO、YARDBIRD SUITE、THE MAN I LOVEなど、ジャズのスタンダードやヒット曲を中心に、「夜桜お七」などの歌謡曲まで繰り出した聴きやすい選曲が印象的でした。女性ボーカルを中心に華やかに盛り上げる演出はいかにもビッグバンドらしい雰囲気を醸し出していました。客の反応に合わせた手慣れた構成が目立った点も、キャリアの長いビッグバンドならではでした。
客が思わず乗せられる「ショータイム」の雰囲気づくりも自然で、長い経験を通じて培ったサービス精神はプロ顔負け。ちょっと大人なアマチュアのお手本のようなステージでした。身近なジャズの現場でも、こんなに楽しく音楽的な水準も高い事例があることを若い世代にもぜひ知ってほしい。地域の魅力を伝えるメディアの力が必要と感じました。
メンバーが次々に入れ替わりながらのアドリブ演奏は、ジャズ特有の見せ場です。一人ひとりのプレーヤーの演奏が個性的で、いかにもビッグバンドらしい楽しさに満ちていました。あの人たちがあんなに楽しそうに見える理由にこそ、アマチュアとして長いキャリアの秘密があるんでしょうね。
スウィンギングハードについては、この連載でも何度か紹介してきました。コロナ禍にあって他の多くのグループ同様、活動縮小を余儀なくされてきましたが、新年恒例の公演や定期の演奏会はコロナ対策を十分に講じたうえで実施してきました。他のジャズオケとのネットワークづくりにも熱心で、大きな演奏会ごとにさまざまなゲストが出演するスタイルに、老舗オケの実力を感じます。
JAZZ STUJONNDIO 3 /JOHN GRAAS ジャズスタジオ3/ジョン・グラース
【ディスクメモ】米国のジャズフレンチホルン奏者、ジョン・グラースのアルバム。1954年。ジェリー・マリガン(バリトンサックス)をフィーチャーしています。リーダーより共演者の名前の方がよく知られています。ジェリー・マリガンをを除く主な共演者はチャーリー・マリアーノ(アルトサックス)、レッドミッチェル(ベース)、ラリー・バンカー(ドラム)、ハワード・ロバーツ(ギター)、アンドレ・プレヴィン、,マーティ・ペイチ(ピアノ)、ズート・シムズ(テナーサックス)、コンテ・カンドリ,ドン・ファガーキスト(トランペット)。
いわゆる「ウェストコーストジャズ」を聴き始めるようになると、どこかで必ず出会うプレーヤーばかりです。B面2曲目の「JAZZ SECTIONS FROM “SYMPHNY NO.1 IN F MINOR」が印象的。特にグラースのホルンソロからギターへとつながる動きが心地よい。地味だけれどウェストコースト好きには気に入ってもらえるかもしれません。
▶SIDE A
- MULLIGANESQUE
- MY BODDY
- 6/4 AND EVEN
- CHARLESTON
▶SIDE B
- ROGERESQUE
- JAZZ SECTIONS FROM “SYMPHONY NO.1 IN F MINOR
A: SONNATA ALLEGRO
B: SCHERZO - 12TH STREET RAG
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
これまでの連載はこちら
*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)/instagram/facebook