【続・仙台ジャズノート#69】練習場所・時間の確保が悩みです。

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】メロディ楽器でジャズ音楽に親しむには、いくつもの条件が考えられますが、何よりも重要なのは、とにかく楽器に触る機会を増やすことのようです。筆者が使っているアルトサックスは音量が大きいのが悩みの種。一部、商品化が進んでいる消音の仕組みにも開口部が多い楽器の構造上、限界があるので、近隣騒音が懸念される自宅では練習できません。定年後も、フリーの立場でメディアの仕事を続けている身としては、音楽に向ける時間にも限りがあり、効率的な時間配分が必要です。ここ数年、どんな環境で練習してきたかについて整理してみます。

普段の練習場所は、窮屈だけれども、時間の合間を縫って練習できる「マイカーの中」に落ち着いています。運動不足にならないように注意しながら周囲に迷惑のかからない場所を選んでいます。河川敷や利用者の少ない時間帯の公園などを使うことが多いです。

練習機会としては、大きく分けて3つの環境があります。まず、サックス奏者名雪祥代さんにお願いして2013年秋に始めた個人レッスン(月1回程度。1回あたり1時間が)あります。ジャズのイロハを基本から教えてもらっています。当然のことながら簡単には解決できない問題が多いのですが、時間をかけて試行錯誤しているうちに、ジャズ特有のリズムやアドリブをする際の基本的な考え方などが分かってきます。音楽理論を一から学ぶような、教科書的だけれども、あまり面白くない練習は苦手です。どうしても、実際の曲に即して楽しみながら、必要なポイントを必要な分だけ覚えるやり方になりがちです。おそらくあまりよろしくない方法だと思うのですが、この年になると、とにかく楽しくないと続かないので勘弁してもらっています。

それでも、同じ先生に長い間、習っているうちに、ひとつの課題が別の課題と徐々につながってきます。教科書的な順序で教えられても、覚えるのと忘れるのがほぼ同時進行なので、教科書通り整然と身に着くとは思えません。課題によっては、大きく回り道することで、視界が開けたり、たまたま気付いたポイント(こつ)がおまじないのように別の課題の解決につながったりします。

「とっておきの音楽祭」で他のバンドの演奏を聴くのも楽しみ。ギターのソロで、学生時代に毎日聴いていた懐かしいフレーズが流れたのに曲名を思い出せなかった。どうしても気になって演奏者に直接聞いたらビートルズの「GET BACK」でした。懐かしいはずです。

次に宮城県大崎市で20年以上、一緒に活動している社会人のコンボ(少人数の編成)があります。ドラムからアルトサックスに移ったのが2015年2月。名雪さんから受けている指導とは違って、とにかくテーマとアドリブを丸ごと練習するやり方です。毎回10曲程度を一気に演奏します。初めて見る譜面でも、技術的に未熟でも逃げることはできません。たとえ間違っていても、自分で音をひねくり出すことで、その場をクリアする習慣につながります。何よりも貴重なのは、ひとつの曲を部分ではなく、全体を通して演奏する楽しさを味わうことができる点です。

曲の難易度を別にして、自分のパートを吹き通す図々しさだけは身に着きますが、最初の数年は、名雪さんの指導との距離が大きすぎるのが自分にも分かるほどでした。コンボでの、自在な、ある意味、吹きすぎな演奏を名雪さんの指導ポイントに沿って修正するつもりになることで二つのシチュエーションが連動するようになりました。振り返れば、アドリブソロの演奏の点では最も初心者レベルなのに他のメンバーがよく我慢してくれたものです。心から感謝。

最後にビッグバンドの勉強のために参加させてもらっている社会人のビッグバンドがあります。仙台を拠点に活動している20人程度の編成。曲によってアルトサックスの1あるいは2を担当します。ビッグバンドの場合、音楽上の役割がきっちり決まっているので、それをこなせないと、あっという間に他のメンバーに迷惑をかけます。特に吹奏楽の経験がないこともあって、自分のパートの習得に時間がかかります。本当に難しい。

THE GREAT JIMMY DORSEY/JIMMY DORSEY AND HIS ORCHESTRA

Featuring BOB EBERLY ,HELEN O’CONNELL AND KITTY KALLEN グレイト ジミー・ドーシー/ザ・ジミー・ドーシーオーケストラ

【ディスクメモ】「スウィング・ジャズ」という言葉は、ジャズジャンルあるいはジャズの時代を表現しますが、「ジャズ音楽にはスウィングが欠かせない」というような表現もあって、必ずしも分かりやすいわけではありません。ジミー・ドーシーはクラリネットやサックス奏者でビッグバンドリーダーとして1920年代から1950年代にかけて活躍しました。兄のトミー・ドーシー(トロンボーン)とともにスウィング期を代表する演奏家です。

ジャズ音楽は分野、時代ともに幅広いので、楽しみながら趣味でカバーするには力及ばずとなりがちです。ジミー・ドーシー・オーケストラ名義のこの作品は、BOB EBERLY、HELEN O’CONNELL、KITTY  KALLENの3人のボーカルをフィーチャーしており、典型的なスウィング系のビッグバンドジャズを聴くことができます。1957年のリリース。ジャズのスタンダード中心にベサメ・ムーチョのようなラテンにも手を広げています。

▶Side A

  1. CONTRASTS
  2. STAR EYES
  3. MY PRAYER
  4. BODY AND SOUL
  5. BESAME MUCHO(KISS ME MUCH)
  6. HIGH ON A WINDY HILL

▶Side B

  1. HOLIDAY FOR STRINGS
  2. I UNDERDSTAND
  3. TIME WAS
  4. I’M GLAD THERE IS YOU
  5. EMBRACEABLE YOU
  6. MY DEVOTION

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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