【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】「続・仙台ジャズノート#70」で書いたように、曲の構造を分析する「アナライズ」という作業があることを初めて知りました。「アナライズ」がうまくいけば曲の流れに見当をつけることができます。アドリブ(即興演奏)するうえで欠かせないステップです。もちろん、厳密な音楽理論に基づく分析は初めから手に余りますが、ジャズスタンダードの流れを概括する作業は予想以上に楽しく、「アナライズ」を趣味とすることもありうるのではないか-と思うほどでした。
考えてみてください。昔から聴いているスタンダードがあるとして、その曲のコード(和音)進行を追いながらアドリブ演奏に使えるスケールや音遣いを考えるわけです。「アナライズ」の結果が妥当で、練習によって演奏技術をそろえることができれば、アドリブもさまになるかもしれません。
「アナライズ」から曲の演奏にたどり着くには、理論も技術も圧倒的に足りないので、その都度、調べ、確認する必要があります。なるべく手を抜かずにその都度調べ、試してみると、出来不出来は別にして、練習自体が楽しくなるというおまけもついてきました。
実際の曲中心に虫食い的に手を伸ばしているうちに、アドリブ演奏によく使われるスケールやコード進行のパターンが分かってくることがあります。所詮、虫食いなので完全な理解とまではいきませんが、ある程度、実際の曲に即して動くようになると、基礎的で退屈だったコードトーンの練習はコードを重視したアドリブの練習に様変わりします。
さらにいろいろな曲に手を出しているうちに、たとえばメジャーコードとディミニッシュ(dim)コードの関係に関する豆知識を拾うことがあります。「ディミニッシュ」は多くのコードの中でも分かりにくく、その名前を聞いただけで難しさ加減が募りますが、アナライズもどきを手掛けているうちに、たとえば「Gメジャーコード」の次に「G#dim(ディミニッシュ)」というコードがくることが多いのに気付くと、ちょっと事情が変わってきます。その構成音は「Gメジャー」が「ソ・シ・レ」で「G#dim」は「ソ#・シ・レ」と、第1音の「ソ」が半音上がって「ソ#」になるだけです。こんな豆知識をきっかけにメジャーとディミニッシュの音のニュアンスを実感としてキャッチできるとしたらうれしい。理屈が分かっても実施に移すにはまた別の問題があるのが悩みではありますが、音楽理論の理解という点でも、ひとつひとつつぶしていけば、次第に分かることがあって面白い。厳密な意味で音楽理論に沿っていないかもしれませんが、「アナライズ」という作業がもたらしてくれるものは多いです。
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
これまでの連載はこちら
*TOHOKU360で東北のニュースをフォローしよう
X(twitter)/instagram/facebook