【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】先日、宮城県美里町の山前遺跡公園で開かれた夏祭りで、地域のビッグバンド「304&MA」にトラ(代役の意味。エキストラの略)として潜り込んだことを書いたら「自分がどの程度演奏でき」たかについて報告せよとの感想が寄せられました。自分の出来栄えを自分で語るのは何ともスリリングな話ですが、学生時代に自己流で覚えたドラムからメロディ楽器のサックスに移って7年目。「初トラ」体験で感じたあれこれを書いてみます。
結論を先に書きます。そんなに難しい曲でもないのに一部、指が回らなかったり、他のパートとのハーモニーを感じることができなかったりしたケースが8曲中、3曲ありました。「304&MA」のみなさん、申し訳ありませんでした。本番の1週間前に楽譜を渡され、音を合わせたときはほぼ6割の出来でした。初めて譜面を渡され、本番で演奏するまでの間、何があるかと言えば一般に「譜読み」と呼ばれる作業があります。曲の流れを詳細に追いながら、作・編曲者の指定を頭に入れます。特に筆者の場合、リズムを体に入れないと、指回しが追いつきません。楽器を使いながらの「譜読み」が必要です。
今回は特に曲名は聞いたことがあっても、レパートリーとしてはほとんどなじみのない曲がありました。「パプリカ」「君の瞳に恋してる」「ジブリ・コレクション」の3曲です。「パプリカ」「君の瞳に恋してる」は曲として難しいというよりも聞き慣れないためかリズム回しがしっくりきませんでした。「ジブリ・コネクション」は、ジブリの主題曲など6曲がメドレー構成になっていますが、耳覚えがある4曲は問題なかったものの、初めて聞いた曲のこなしがぎくしゃくしたと思います。
「川の流れのように」は美空ひばりさんの名曲。20年ほど前にコンボバンドで歌謡曲を取り上げた時期があって、問題は特にありませんでした。歌謡曲はとにかく強い。アマチュアの場合、自分たちが好きなあまり、曲としては自分の力量以上の腕が必要な曲にチャレンジすることも多いのですが、歌謡曲の場合、メロディが流れただけでみなさん聴いてくれます。
桑田佳祐さんの「HOTEL PASIFIC」はお初でしたが、筆者の世代にとってはメロディ、リズムともにノリやすい。社内有志で作っていたロックバンド「カップめん」や現在、参加している社会人ビッグバンドのレパートリーとしても馴染みがあります。「HOTEL PASIFIC」も最初から楽しく突っ走ることができました。
そう言えば、東北では唯一のプロのビッグバンド「SOUND SPACE」のリーダー白石暎樹さんのアマチュアバンドに贈る言葉を思い出しました。
「そんなに難しくなくても、いい曲はたくさんあります。自分たちがいくら好きでも、青筋立てないと演奏できないような難しい曲に挑むのは厳しい。聴く側のお客さんも青筋立てないと聴いていられなくなります」
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
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