【続・仙台ジャズノート#81】「丸の内サディスティック」で学ぶ、アドリブのためのツール

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

星の数ほどあるスケール(音階)の練習を宿題や義務と考えてしまうと、結構な負担感を伴いますが、演奏したい曲のアドリブに何とか形をつけるための「ツール」と考えればそれなりに楽しいものです。考えてわが身を振り返れば音楽に限らず、仕事や家庭で果たす役割や課題と向き合うには、その場にあった解決の手法や道ツールをその都度ひねり出す以外に道はありませんでした。ツールの入った引き出しを自分の中にどれだけ持つことができるかがポイントになるようです。

縁あって参加させてもらっている社会人のビッグバンドで椎名林檎さんの大ヒット曲「丸の内サディスティック」を取り上げることになっています。曲の中ほどで、ピアノ-アルトサックス-トランペットの順でアドリブを入れる流れにしてあります。

もともとポップス系の曲はほとんど聴く機会がありません。「丸の内サディスティック」の場合もテーマの一部を聴いたことがあるのと、以前にテレビで見た「亀田音楽専門学校」の亀田誠治さんのベースソロが入る場面を覚えているぐらいでした。曲としては単純な進行だけれど、シンプルに見える曲ほどアドリブは簡単ではない、という事前の知識もありました。

アルトサックスで言えば、キーはAマイナー(Cメジャーともいう)です。専門的な理論の理解や説明には限界があるのですが、この曲をアドリブするには、大まかに言って2つの小節をひとくくりとする繰り返しがポイントのようです。和音の数で言えば4つの和音をひとつのまとまりとして演奏する流れです。

毎年秋に行うメンテナンスを終えたマイサックス。初めて触ったときはキーの複雑さに圧倒されました。

自分でも楽しく演奏するには、どんなツールあるいは引き出しを準備できるのかが、練習段階の試行錯誤でした。実際に吹いてみて、どの引き出しを開ければ「らしく」聴こえるものか。本番前にいろいろ試しています。

和音の構成音(コードトーン)を生かしたり、「ペンタトニックスケール」と呼ばれる、5つの音の連なりを意識したり・・。16ビートを生かした曲調を念頭に盛り上げるには?ブルーススケールで演奏する方法もありそうです。本番前の練習では、どんな引き出しを使うかまだ定まっていません。こんな混沌とした状態にあると、本番では何が出るか分かりません。自分でも意外と思うような方向に流れたり・・。あまり良くない意外な方向に流れたら、どうやって戻せばいいかも決まっていないので、やや不安ではあります。

今回の場合、引き出しを幾つか用意できそうな分、まったくの出まかせ、指まかせではありません。何よりも、不安があっても、「丸の内」のような人気ナンバーの合奏に自分が加わっている喜びの方が大きい。ジャズ音楽というのは、聴いても演奏しても、ひと言では言い尽くせないニュアンスに満ちています。

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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