【連載:加茂青砂の設計図~海に陽が沈むハマから 秋田県男鹿半島】秋田県男鹿半島の加茂青砂のハマは現在、100人に満たない人々が暮らしている。人口減少と高齢化という時代の流れを、そのまま受け入れてきた。けれど、たまには下り坂で踏ん張ってみる。見慣れた風景でひと息つこう。気づかなかった宝物が見えてくるかもしれない――。
加茂青砂集落に引っ越して二十数年のもの書き・土井敏秀さんが知ったハマでの生活や、ここならではの歴史・文化を描いていく取材記事とエッセイの連載です。
【土井敏秀(もの書き)】秋田県男鹿半島西海岸にある集落の一つ・加茂青砂地区に焦点を当てた連載「加茂青砂の設計図」は、5部構成(全64回)で東北の住民発信マガジン「TOHOKU360」に掲載、12月1日公開で最終回となった。締めくくりの取り組みとして、この地で地域活動を続けている「かもあおさ笑楽校」のホームページに、新しくデジタル図書館がきょう12月15日にオープン、「物語」がいつでも読めるようになったので報告する。デジタル図書館は「設計図」が示した世界を引き継ぐ新たな展開を、追い続け、反映する機能を持っている。
日本海の水平線を望む当地区を、さらに多くの人に知ってほしいとの願いを込めている。今後も、加茂青砂の暮らしから見えてくる世界の歴史や出来事に触れ、整理、収納する。多くの「加茂青砂ファン」からもメッセージが寄せられている。これからも誰でも参加できる。「デジタル」なので、インターネットで検索すれば、どなたでも、どこからでも、何時でも、訪ねられる。
ようこそ、里海と里山が織りなす世界へ
デジタル図書館のホームページのURLは以下の通り。
https://kamoaosa.wixsite.com/kmas/
デジタル図書館開館記念オンラインコンサート
おおっと、いきなり、キョータさんの「加茂の青砂でダダダコわっしょい」が聞こえてきました。「かもあおさ笑楽校附属図書館」の開館記念コンサートの幕開けです。 みなさん、ようこそ。ありがとうございます。加茂青砂の応援歌は、いつまでも歌い継がれているようです。最初から盛り上がりましたね。それでは、そのままの勢いでノリ続けましょう。あの「100年後から来た小学生5人」がタイムマシンを操り、時代を飛び越えて、曲選びをしてくれました。司会進行はこの日のために、子供たちと話し合ってきた、バンマスことサックス奏者・カッチン・ブーさんです。カッチンさん、よろしくお願いします。おっ、その子供たちも楽器を手に勢ぞろいですね。よろしくう。
【MC】みなさんこんにちは。お出でいただき、ありがとうございます。みんなもあいさつしよう。「かっちゃんです」「おれ、もっさん」「アーシャンだよ」「おっくんです」「サッチモ、よろしくね」きょう開館した附属図書館は、ネット上のデジタル図書館なので、世界中、どこからでも訪問できます。24時間、365日休みなしに利用可能。料金はもちろん無料です。しかも、過去、現在、未来をつなぐ超時空図書館でもあります。時間を超えて人々が往来する、空港のようなものでしょうか。一緒に並んでいるみなさんがその証拠。100年後の「かもあおさ」からやって来たんですね。どんなコンサートになるんでしょう。オープニングは1900年代初頭に米国で生まれたジャズの香りいっぱいに「聖者の行進 when the saints go marching in」です。お手元に詳しい曲の解説を配っています。曲を聴いて後からでもお読みください。それでは、リーダーの「かっちゃん」!カウントをどうぞ。
♪聖者の行進 when the saints go marching in
【MC】ありがとうございました。Tuba Skinnyは【MC】いち押しです。ニュー・オーリンズジャズは現代から見ると、100年前の音楽ですが、Tuba Skinnyのみなさんは、ニュー・オーリンズで盛んに演奏している現役ミュージシャンです。それでも100年後の世界から見ると、100年前の音楽なので、ややこしいのですが・・。では、2曲目……おーい、サッチモさん、わざわざその名前にしたんだから、大好きな曲だよね。ぜひ紹介してください。「はーい。聞いたことがない人はいないと思います。ルイ・アームストロングの『素晴らしきこの世界( what a wonderful world)』です。お願いします」
♪素晴らしきこの世界 what a wonderful world
【MC】楽しい時間はあっという間に後半戦。3曲目は1960年代に活躍し「ブルースの女王」とも言われたジャニス・ジョプリンの「サマータイム summertime」です。ロック・ブルースパワーしっかり発揮した歴史的な作品です。続いてこれまた【MC】おすすめのサックス奏者でボーカリストの「グレース・ケリー」がアコースティックギターとデュオでお送りする「サマータイム summertime」です。
♪サマータイム summertime
【MC】いやあ、二つの「サマータイム」よかったですね。こうしたスタンダードは、いろいろな演奏・作品があるからやめられません。
はい、では、プログラム上はラストになります。「真夏の太陽」の後は月夜でしょう、というわけで、日本ではエノケン、吉田日出子の歌唱で知られる「月光値千金」をお聞きください。元歌は米国発。ナット・キング・コールの大ヒット曲でもありますGet Out and Get Under the Moonです。
♪月光値千金(Get Out and Get Under the Moon)
【MC】ありがとうございます。よかったですねえ。みんな素晴らしい選曲だったよ。「ありがとうございましたっ」。カッチンさん、未来の子供たち、いろんな世界に行けて、とても楽しいコンサートでした。ありがとう。おーい。ユキミさーん、カチエさーん、カヅミさーん、シンタロー、オヤエさーん、 ヨシアキさーん。みんなおやまから下りてきてくれたんだね。あれからずっと、見守っていてくれてたんだ。たまにだけど、おやまを見上げていると、笑顔のみんなを感じたよ。ありがとう。一緒に楽しんでくれた・? そう、よかった。あっ。2人のお地蔵さん。バレバレだって。閻魔大王も奪衣婆も普通のお地蔵さんになったんだね。楽になった?何?エンジョイしてるだって?こりゃいいや。それではみなさん、さようなら。図書館をよろしくね。
いったん幕が下りる。
再び上がる。
勢いよくアンコール曲。シーナ&ロケッツの「タイムマシンにおねがい」と斉藤和義の「ずっと好きだった」
♪シーナ&ロケッツの「タイムマシンにおねがい」
♪斉藤和義の「ずっと好きだった」
みなさん、ありがとうございます。あまりにも名残が惜しくて、これからもタイムマシンにお願いして、お会いしましょう。加茂青砂へ「ずっと好きだったんだぜ」のコールを、叫び続けようぜ。
MⅭ(マスター・オブ・セレモニー)カッチン・ブー
イラスト・廣島丈嗣
図書館技師・松橋和久
かもあおさ笑楽校附属デジタル図書館の「歩き方」
この図書館は、「加茂青砂集落」に関して書かれた資料を集めています(まだ途上の段階です)。デジタル図書館ですから、興味を持たれたタイトルがあれば、そこをクリックすると、開くことができます。スマートフォンでも見られます。資料は一般的な図書館と同じ分類方法で、納めています。
では、館内をご案内し、それぞれの分類項目ごとに収納されている主な内容を、紹介しましょう。
「総記」(この図書館を作る計画を立てた、「加茂青砂の設計図全5部。東北の住民発信マガジン「TOHOKU360」に連載された)
「哲学」(「森の哲学者」内山節さんから、この図書館を訪れたみなさんへのメッセージ。かもあおさ笑楽校で開いた内山さんの講演録)
「歴史」(加茂青砂集落を考える大きなヒントとなった「絹篩=きぬぶるい」の絵図など。絹篩は、江戸時代末期に作られた男鹿半島の地勢要覧。かもあおさ笑楽校で開かれたイベントの数々)
「文学」(「加茂青砂の四季折々日記」。著者が毎日新聞秋田県版に載ったコラム「木曜の窓」から抜粋し、各月ごとに整理した)
「視聴覚室」(集落を元気づける歌「加茂の青砂でダダダコわっしょい」=作詞作曲・キョータ=。このCDを制作したときの裏話)
「タイムカプセル」(「100年後に加茂青砂で暮らしている人たちへ」。加茂青砂集落と何らかのかかわりを得た人たちのメッセージ集。100年後を待たなくても閲覧できる「ゆるーい」タイムカプセル)
「境界なき土起こし団」(加茂青砂集落の耕作放棄地を、開墾する活動を2023年9月から始めた)
ほかにも新しい「分類棚」を制作中。そこからブログへも飛べます。加茂青砂に関係する資料をお寄せいただければ、収納します。
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