【小野寺香那恵】昨今「繋がり」という言葉を耳にすることが多くなった。数年前に世界に広がったウイルスによって一時、人と会う機会は目に見えて減ったが、現在では徐々にその機会が復活してきている。この夏訪問した、仙台市宮城野区の田子市民センターで開かれた「子育てサロン」。そこには、地域が支える緩やかで温かい繋がりの形があった。
子育て世代に、癒しと交流を
2024年7月4日、田子市民センターにて田子子育てサロン、子育て支援クラブたmaご、田子児童館、田子市民センターが共催する「みんなニコニコ♪子育て広場①お楽しみ子育てサロン」で、「絵本&クラシックのコンサート」が開かれた。
会場でもある仙台市田子市民センター職員の加賀谷さん、阿部さん曰く、この地域は若い子育て世代が多く、日中に一人でお子さんを見ている親も少なくないので、他の大人と触れ合うきっかけになればとイベントを企画していると言う。「一人一人に向き合うことが大切」と開催についての思いをお話してくださった。
イベントには、地域の子育て世代が子どもたちと一緒に参加。演者の荒井真澄さん、針生奏子さんが、音楽と絵本の読み聞かせを融合したパフォーマンスで来場者を楽しませた。
二人は知恵があふれる絵本の魅力を伝えるため、そして敷居が高いと思われがちなクラシックを身近に感じてもらいたいという思いで活動しているという。「子どもから大人まで音楽が日常にあるといいなと思っています。今日はお母さんたちの癒しをテーマに構成しました」と話してくれた。
コンサート終了後、参加されていた方々にもお話を伺った。「音楽に乗って絵本を改めて読むとこんなに楽しいんだ!って、大人もとても楽しむことができました」「こういう場所に来ると親もリフレッシュできる」と感想を話してくれた。今までの企画の中でもかなり印象に残るイベントだった、と好評だ。
地域の子どもや大人とふれあう大切さ
コロナ禍で途絶えていた「人と近づくこと」。このイベントの共催でもある田子子育てサロンの代表・尾形さんは「子どもは自分以外の子どもと触れ合うことで成長していく」と話す。「自分より小さい子と会うと少しお兄ちゃんお姉ちゃんになるような姿も見られて。家の大人だけでなく、こういう場所で地域の大人や子どもと交流することによって、育まれる力があると思います」と話してくれた。
尾形さんは参加者たちから相談を受けることもあるが、敢えてアドバイスすることなく「親同士の交流」を促すようにしていると言う。「私たちと話すより、年齢の近いお子さんのいる親御さんと話した方がいいと思っています。その方が共感できることが多いはず。そうやって交流は生まれていくんだと思います」と語った。
実際に足を運び、話すことの価値
核家族化が進み、年々希薄になっていく地域や多世代の交流。コロナ禍でそれは目に見える形で断絶し、人と話すこともできない時期が続いた。しかし、実際会場に来ているお母さんたちに話を聞くと地域の施設に足を運び、情報を収集している。
また地域では子育て世代をサポートしようと、さまざまな形で連携を取りながらその場所や機会を作っている。子ども会などの地域の交流が減りつつある現代だが、SNSなどで簡単に繋がることができるようになった今だからこそ、実際に足を運び話す良さをみんなが感じ始めているのかもしれない。
最後にセンターの職員の方が「まちのみんなで子育て世代を盛り上げていきたいと思っています。だからいい記事よろしくね!」とおっしゃった。ご期待に添えているか不安もあるが……。
地域の皆さんが子育て世代に意識を向け、支えている姿に触れ、話を聞きながら個人的にとても感動した今回の取材。こんな素敵な大人たちがいる地域が増えていき、子どももその親も安心して暮らせるまちが増えれば、日本の未来は明るいのでは!と晴れやかな気持ちで取材を終えた。取材にご協力いただいた皆さん、ありがとうございました。
この記事は、仙台市の宮城野区中央市民センターとコラボした市民記者養成講座「東北ニューススクールin宮城野」の受講生の制作した記事です。宮城野区を舞台に活動するさまざまな地域密着の市民活動を取材し、発信していきます。他の記事は下記の画像バナーからご覧ください。
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