【佐藤麻美】仙台市宮城野区幸町にある「枡江の森」を知っていますか?グーグルマップにも載っていないこの森は、子どもの遊び場のシンボルとして、地域住民の生活に根付いてきました。しかし近年は以前ほどの利用は見られなくなったため、森の活性化を目指して「枡江の森魅力発信プロジェクト」を発足し、様々な企画を行っています。今回はそのプロジェクトの一環として開催された「森の散策会」に参加し、枡江の森の魅力について取材してきました。
そもそも「枡江の森」とは?
仙台市中心部から約5kmの場所、宮城野区にある枡江小学校に隣接しています。都心からすぐにアクセスできる場所に位置しており、サクラやイチョウ、ハナミズキなど様々な木々が茂り、キジバトやうぐいすなど野鳥の声がさえずります。また、仙台市が指定している「特別緑地保全地区」4つのうちの1つにもなっており、私たちが守っていくべき大事な場所なのです。
※特別緑地保全地区制度
仙台市HPよりhttps://www.city.sendai.jp/ryokuchihozen/kurashi/shizen/midori/shinse/torikumi/hozenchiku.html
緑地保全地区制度とは、「都市緑地法」に基づき都市計画区域内において、良好な自然環境を現状凍結的に保全し、貴重な緑を未来へ引き継いでいこうとする制度です。
市民企画員がアテンドする森の散策会
枡江の森を守り、活性化させるために発足された「枡江の森魅力発信プロジェクト」。その活動の一環として、幸町市民センターと市民企画員が企画した森の散策会が2021年11月13日に行われました。
今回の散策会は、2018年のプロジェクト発足以来、市民企画員として活躍されているメンバー2人(リーダーの保坂和博さん、濱名徹さん)に森の中をアテンドしていただきながら進んでいきました。枡江の森の歴史や動植物についてなど、参加者にとってわかりやすい説明があるため、より一層森を楽しむことができます。散策終盤には、木漏れ日を浴びながら市民企画員の方が作った詩の朗読を聞き、約一時間の散策は終了しました。
参加者の方からは「空気がとても気持ち良かったです。落ち葉を踏みしめる音やどんぐりのコロコロした感触を足の裏に感じたり、野鳥の声も聞けて、初めて体験することが多くとても楽しめました」という声が聞かれました。
アテンドをした企画員のリーダー、保坂さんにも今回の感想を伺ったところ、「地域の背景を踏まえて森を覚えよう、というテーマを持って行った初めてのチャレンジ。森の歴史や地域との関わりについてなど、参加者の方が”学びながら散策する”会を実施できて、非常に嬉しい気持ちです」と話していました。
「枡江の森は “地域の宝”」
「枡江の森の魅力とは?」と市民企画員の皆さんに伺ったところ、共通してお話されていたのは、都会の中にある自然だということです。確かに枡江の森のすぐそばには広い道路があったり、家電量販店があったり、私たちが生活する街そのものです。しかし森の中に一歩足を踏み入れると騒音は消えて、空気が澄み、雄大な自然を感じられました。
個人的に印象的だったのは、枡江小学校の校歌に「枡江の森よ すこやかに」という一節が入っていたり、森の中には枡江小学校の児童が書いた標示がたくさん見られたりしたことです。また企画員のうちの一人は、小学生の時にこの森で遊んでいたことで植物や自然が好きになり、将来の道を決めるきっかけとなったそうです。このように、枡江の森にはそこで過ごしてきた人々とのストーリーがたくさんあり、地域住民との繋がりの深さが垣間見えました。
そこで改めて、森の魅力と来年の展望を保坂さんに伺いました。
「私たちが子供の頃は、肝試しをした、など森で遊んだ記憶がたくさんありますが、今の子供たちは様々な事情からそのような機会が減ってきています。枡江の森は、保全地域という特別な場所でもあり、地域の宝でもあるので、森を盛り上げていきたい。そのためにも、『枡江の森魅力発信プロジェクト』に携わった4年間で積み上げたもの、崩してみたもの、いろいろ試行錯誤して見つけた最後に残るものを形にしていきたいと思います。来年はプロジェクト5か年計画の最後の年。メッセージ性を持って、私たちが学んだことをしっかり伝えていきたいたいなと思っています」
『枡江の森』は、仙台市中心部ですぐに自然と触れ合うことができ、多くの住民の心にいる、貴重で魅力あふれる森でした。市民企画員の皆さま、幸町市民センター担当者の皆さま、素敵なお時間をいただきありがとうございました!
この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。
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