【高校生が取材した沿岸部の今】津波で被災したキリンビール仙台工場、強化された災害への備え

【高校生が取材した沿岸部の今】東日本大震災から10年を迎える仙台市沿岸部の今を知り、伝えようと、尚絅学院高校インターアクト部の生徒たちは昨年から、宮城野区中央市民センターのもと沿岸部各地で取材活動を行ってきました。震災当時幼稚園生や小学生だった高校生たちは、取材を通じて何を感じたのでしょうか。TOHOKU360では4回にわたり、高校生たちがこの一年で執筆した記事を掲載します。

東日本大震災で津波被害を受けた、仙台市宮城野区の沿岸部にあるキリンビール仙台工場。当時のような事態にならないよう、対策をしっかりと行っています。

ビール工場の見学に参加

キリンビール仙台工場の工場見学ではさまざまな体験ができ、ビールを作る工程やその機械、津波で流されてしまったものと同じタンクを見ることなどができます。

麦の試食や一番搾りの麦汁の試飲をしたり、ビールをつくるのに必要な酵母がどのような働きをするのかを学んだりできる、楽しいしくみもあります。現在は新型コロナウイルスの影響でできなくなっている体験もあり、よく注意を払って見学を実施しています。

屋上へ避難し、津波をまぬがれた

2011年3月11日、キリンビール仙台工場を震度6の巨大地震が襲い、工場は停電。ビールを貯蔵するタンクが倒壊し、1700万缶分もの製品が散乱するなどの被害を受けました。約32ヘクタールの広大な敷地に散乱した、出荷前の缶や瓶のビール、プラスチックケース、空の樽を見て、工場関係者は途方に暮れるしかなかったそうです。

津波が工場を襲ったものの、当時の防災訓練の避難先であったグラウンドから、屋上へ避難先を変えたため、津波に巻き込まれる事態を避けることができました。工場見学で私たちを案内してくださった岸本さんは、震災当時、山形県で家族と離れて暮らしており、宮城県にいた家族に電話をしても繋がらず、とても心配だったそうです。「改めて家族の大切さに気付きました」と話されていました。現在キリンビール工場で働く工場見学スタッフ35人のうち、7人の方々が震災前から工場で働いています。

震災の経験から、警報や耐震設備を強化

キリンビール仙台工場では、東日本大震災で大きな被害を受け、その経験を踏まえた取り組みが行われています。震災前の工場は地震が発生してから警報が鳴るしくみでしたが、地震の揺れを感知して警報が鳴るように改善し、津波の被害で流されてしまったビールの貯蔵タンクは、震度5に耐えるものから震度7に耐えられるものに変更されました。また、震災当時の避難場所であった屋上には、手すりが取り付けられていなかったなどの課題点もあり、被災後は手すりを設置するなど、災害に備えています。

現在のビール貯蔵タンク

地球環境に配慮したビールづくりも

キリンビール工場では、震災前から地球環境に配慮したさまざまな取り組みを行っており、気候変動による影響を避ける為にも、二酸化炭素や温室効果ガスの削減を目指し、積極的に取り組んでいます。その例として、製造過程で使った瓶は洗って繰り返し使用、破損した缶はリサイクルすることなどが挙げられます。

また、ビールの製造過程で重要な酵母が増え過ぎた場合にも、無駄にせず、同社で作られるお菓子などに利用しているそうです。他にも、工場では省エネルギーに取り組んでおり、バイオガスや太陽光発電、風力発電を利用し、それらのエネルギーを必要な時に必要な分だけ利用するといったことも行っています。

高校生たちの取材後記

キリンビール工場での震災の話を聞いて、初めて聞くことばかりで驚くことがたくさんありました。案内をしてくださった岸本さんの体験談なども聞いて、さらに改めて震災の恐ろしさに気付くことが出来ました。(金野絢音)

私は震災当時小学1年生で、家の近くでは被害は大きくありませんでした。しかし、テレビでは震災の内容が多く取り上げられており、そこで被害の大きさを知りました。キリンビール工場は特に被害が大きかったと聞いていましたが、実際に工場を見学させて頂き、甚大な被害であったことがよく分かりました。それだけの被害を受けながらも、現在では建物もきれいになり、工場見学ではお客さんが楽しめるような体験も実施するなど、被災したことを感じさせないほど復興していることに驚き、とても凄いことだと思いました。(斎藤菜央)

キリンビール工場見学で震災当時の写真を見て、これ程なのかと改めて地震の恐ろしさを感じました。震災が起きた時の臨機応変な対応が人々の命を救ったということを、これから言い伝えていかなければならないとおもいました。(梅澤仁菜)

私は工場を見学して、東日本大震災での地震や津波のひどさをより身近に感じることが出来ました。(粕谷彩乃)

*この記事は仙台市宮城野区中央市民センターが実施している「若者社会参画型学習推進事業」(まいぷろ)と、高校生への記事制作指導を担当したTOHOKU360とのコラボ企画です。今月26日16:30からは尚絅学院高校にて、高校生たちの成果報告会が開かれます。

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