【高校生記者がゆく】仙台の「保護猫シェルター」で学ぶ、保護猫活動のいま

高校生記者がゆく!】仙台市の高校生が記者となり、高校生目線で地域の魅力や課題を発信する連載。宮城野区中央市民センターのもと、尚絅学院高校の高校生たちが地域の気になる人やテーマを取材し、その成果を記事として発表します。

今野雄雅、庄司吏玖(高校生記者)】「保護猫シェルター」を知っているだろうか?保護猫シェルターとは、家族として迎える猫を探している方も、飼えないけれど猫と戯れたい方も、誰でも利用することのできる里親募集型の保護猫カフェ。そこで働く永井貴満子さんにお話を伺った。

7年で140匹の保護猫を譲渡

「猫ちゃん、大好きなんですよ。」保護猫活動をする上で、大変なことは何かと聞いたとき、永井さんはこう話した。保護猫の中には人慣れしていない猫もおり、保護猫と接していく上で大変だということを想像していたが、永井さんは「猫に対する苦労はない」と繰り返した。猫に対する愛情が大きいものなのだと感じさせられた。

保護猫シェルターの活動を始めて7年目になり、約140匹の保護猫を譲渡したという。外にいた猫たちはみんな幸せに暮らしている。「これからも外にいる不幸な猫たちを救い出していきたいという思いが強い」という。不幸な猫がゼロになる未来は遠いかもしれないが、そうなってほしい。また、例えそういった猫がいなくなっても、猫を飼っている方たちの相談に乗ったり、ペットロスの方に寄り添ったりするなどのサポートをしていきたいと語っていた。

しかし、保護猫シェルターを運営していく費用の捻出はとても大変だという。光熱費、人件費などはもちろん、物価上昇が止まらない現在、猫砂や猫のご飯も少しずつ値段が上がってきているため、値上げも視野に入れているようだ。また、多くの人が利用しやすいようにキャッシュレス決済の導入も考えているという。

不幸な猫を増やさないために

保護猫活動の一例を聞いた。猫を保護するためには、その場で捕獲する必要性が生じることがある。その場合、捕獲の段階から一筋縄ではいかないことも多いようだ。警戒心が強い猫との攻防は心理戦になるという。長いと一ヶ月かかる猫もいるというが、そこまでする理由がある。それは、不妊手術をするためである。猫が繁殖し、不幸な猫を増やさないためにも必要なことだという。

また、保護団体が抱えられる猫の数には上限があるため、苦肉の策としてその場に戻す事もあるという。保護猫活動には様々なアプローチがあり、外猫を捕獲することもあれば、保健所から引き出して譲渡することもある。それらに共通するのは、猫の幸せを考えていることだ。

この保護猫シェルターには14匹の猫がいる。最年少の猫はトライアル中の約7か月の猫である。また、最年長の猫は約14歳のおばあちゃん猫である。幅広い年齢の猫たちがこの保護猫シェルターで過ごしている。

普段通りの猫を見ることができる魅力

この保護猫シェルターの魅力は、なんと言ってもアットホームな雰囲気だろう。屋外で行われる譲渡会よりも、雨風を凌げて、普段通りの猫の様子を見ることができる保護猫シェルターという場所だからこそ、譲渡が決まるきっかけが多いのだという。また、猫の特徴を一匹一匹ゆっくりと話し合うことができることも利点の一つだと言える。

実際に猫と触れ合うことのできるスペースでは、のびのびと過ごしている猫たちの様子を見ることができた。ゆっくりと寝ている猫もいれば、お客さんと遊んでいる猫もいて、猫の性格も様々だった。猫たちものびのびとした様子で安心して暮らしているように感じた。猫との触れ合いは、猫の雰囲気を間近で感じることができた。

保護猫シェルターに入所するには一定の条件があり、それらをクリアした猫だけが入所できる。人に慣れていない猫の場合は、預かりボランティアさんの協力をもらい、人間は可愛がってくれて怖くないと知ってもらうこともある。猫の健康管理、QOL(Quarity of Life・生育環境の質)向上のための頭数制限があるため、保護猫シェルターに来たくても来られない待機猫もいるという。

「知ること」から始める保護活動

不幸な猫を増やさないためには、私たちが猫についてよく知っていく必要がある。猫の不妊手術の補助金などのサポート体制を知るのも重要だ。外で暮らす猫たちの繁殖能力は凄まじく、鼠算式に増えていくと言う。そのため、外で暮らす猫の不妊手術をする必要がある。

「さくら耳」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「さくら耳」とは、外で暮らす猫が不妊手術済みかどうかを見分ける目印である。外で暮らす猫が不妊手術済みであるという印として、耳先を桜の花びらのようにカットすることからそう呼ばれている。一般的には、飼い猫は不妊手術をしても「さくら耳」にはしない。もし、飼い主がいない猫を外で見かけたら耳に目を向けてみてほしい。「さくら耳」ではない猫がいたら不妊手術を受けさせることが、不幸な猫を増やさないためには重要である。

私たちができる保護活動は、まず「知ること」だろう。永井さんは「サポート体制を知らない人が多すぎる」とおっしゃっていた。外で暮らす猫の不妊手術も補助金を申請することができる。

私たちが取材をしている間、保護猫シェルターに一件の電話があった。その内容は、「道端で猫を見かけて、連れて来たがどうすれば良いか」というものだった。「保護猫シェルター」という名前からかこういった電話は多いという。保護猫シェルターではこういったものは受け付けていない。保健所や動物愛護センターに連絡して引き受けてもらうか、自分で保護をする必要がある。あなたがもし、外で弱っている猫を見つけたらどうだろうか。自分でできることを知っておく必要があるだろう。保護団体などでもない、一般の人にでもできることはたくさんある。「知ること」から保護活動を始めよう。

取材先:保護猫シェルターおうちにおいで。
住所:仙台市宮城野区榴岡4-12-5 第一さくらビル6階
TEL:022-352-4024
【注意点】一般の方からの猫の引き取りはしておりません

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