被災動物を救い続けた「犬猫みなしご救援隊」|震災とペット(上)

【インタビュー「震災とペット」】仙台で飼い主のいない猫の問題や地域猫の取り組みを追い続けている鈴村加菜記者が広島県広島市を訪れ、「NPO法人犬猫みなしご救援隊」の活動を取材。代表の中谷百里さんへのインタビューを3回に分けて紹介し、災害発生時や地域の中でのペットとの向き合い方を考えます。

2011年3月11日に発生した東日本大震災では、全国から被災した人だけでなく、動物たちに向けたたくさんの支援物資が届けられたり、飼い主をなくした動物たちを引き取る人たちが現れたりした。原発事故の影響で危険区域に残された動物たちを引き取った 「NPO法人犬猫みなしご救援隊」(本部・広島県広島市)は、その活動が数多くのテレビや新聞で取り上げられてきた。代表の中谷百里さんは、被災地での活動を始めたきっかけについて、「始まりは実は仙台なんですよ」と話す。

震災発生を知り、広島から仙台へ

 中谷さんが東日本大震災の発生を知ったのは3月12日。「私は普段テレビとか見ないもんでね。その日はたまたまうちのスタッフとの慰労会で、道中バスの中のテレビで津波が来たことを初めて知って。そこからすぐに現地入りする準備をして、翌日には仙台市の若林区に入りました」

しかし、震災発生直後の町は水没しており、どこがどこだかわからない状況だったという。そんな状況の中でも3、4日間で数頭の犬や猫を保護し、飼い主が見つかった。

 「テレビで建物の2階から人々がレスキューされるのを見て、『(動物たちも)そこで生きとるのに』と。動物たちは私が助けに行かなきゃと思った。それから、太平洋側の避難所を全部回って、『犬猫でお困りの方はお声がけください』と、拡声器で呼びかけさせてもらいました」

「NPO法人犬猫みなしご救援隊」代表の中谷百里さん(広島市で撮影)

1400匹の被災動物を保護

中谷さんは宮城・岩手を回って被災動物の保護活動を行う中で福島の現状を知り、原発事故の影響を受けた地域で動物たちの保護活動を始めた。「津波の被害にあった地域も、もちろん失ったものはあるけれど、復興への動きが見えてきた。一方で福島には人が入れない。そこに動物たちだけが残されている。そこで私の居場所は福島だと思いました」

中谷さんは危険区域内に何度も入り、残された動物たちに食事を与えながら、栃木県に拠点を構えて、犬や猫など1400匹を救出した。翌年、その時に残っていた被災動物たち320頭を広島本部に移動したため、栃木拠点は2013年に1度封閉鎖。2015年に再開し、現在は東日本を中心に、多頭飼育崩壊から保護された犬や猫たちが暮らしている。(つづく)

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