【若栁誉美】ろう映画監督によるサイレント作品の上映会が、2025年1月13日に仙台市で開催される。開催に先立ち、上映会を主催する「さぐる・おどる企画」代表の渋谷裕子さんにお話を伺った。
身体表現で「音楽」を視覚的に表現した作品も
上映会は2025年1月13日(月・祝)せんだいメディアテーク7Fスタジオシアターで開かれ、「楽しき日曜日」と「LISTEN」の2本の作品が上映される。
「楽しき日曜日」は、1961(昭和36)年の作品で、日本初のろう者による映画製作グループ「睦聾啞映画演劇研究会」によって制作された。4話のオムニバスで構成され、すべてろう者が演じている。「LISTEN」は2016年制作のアートドキュメンタリーで、15人のろう者が身体表現で「音楽」を視覚的に表現した作品だ。
「楽しき日曜日」の上映後は、この作品に出演されている高正次さん(92歳)を迎え、深川監督との撮影の様子などを伺うトークセッションが、「LISTEN」の上映後は、監督である雫境(ダケイ)さんを迎え、「奏でるからだが生まれる瞬間」と題し在仙のダンサーと渋谷さんを交えたアフタートークが催される。
ろう者の表現の豊かな可能性をさらに広げるために
主催の「さぐる・おどる企画」は、2022年度から手話通訳のいるダンスワークショップ等を開催している。ダンスを通してろう者、聴覚障害のある人、聴者の間で、コミュニケーションの機会を広げること。そして誰もが自分らしく、気軽に文化芸術を楽しめる社会を実現することを目指して活動している。
渋谷さんは「いま現在、ダンス・音楽・演劇・映画といった「パフォーミングアーツ」の世界はろう者や聴覚障害のある人にとって、決して参加しやすい状況とは言えない」と話す。
手話通訳や日本語字幕の付いた映画や演劇はまだまだ少ない状況であり、聴者がろう者や聴覚障害のある人が制作したパフォーミングアーツに触れる機会も少ない現状がある。その上で今回の上映会に込めた思いをこう語る。
「今回の上映作品は、ろう者の文化・表現と『パフォーミングアーツ』が出会った時、とても豊かな可能性が生まれることを教えてくれます。この可能性をもっと広げていくために上映会を通して、必要なことは何か?できることは何か?をお客様と一緒に、考えていく時間にしたい」
問い合わせ・申し込みは、さぐる・おどる企画のメールアドレス(saguru.odoru@gmail.com)にて受付している。上映会の詳細はこちら。
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