【東北異景】仙台を見下ろす巨大仏「仙台大観音」

【写真企画「東北異景」】第1回 仙台を見下ろす巨大仏−仙台大観音(仙台市泉区)

 自然の摂理は時として思いもよらない景観を生み出す。一方で、人間という社会的動物は欲望のままに巨大な建築物や異様な光景を作り出してきた。あらためて注意深く見回すと、我々の周囲には奇妙で不可思議な風景、違和感を覚える「異景」が数多く潜んでいる。東北各地に存在する「異景」を探す旅に出掛けよう。(文・写真/佐瀬雅行)

真っ白に輝く巨大な仏像

 中心部の高層ビル、津波の傷跡が残る東部の沿岸地域、広瀬川に沿った散策路…。仙台市内の様々な場所で、ふと気付くと真っ白に輝く巨大な仏像が目に飛び込んでくる。JR仙台駅から北西に約7㌔、標高180㍍ほどの丘陵地に立つ仙台大観音だ。

大観音から離れて望遠レンズを覗くと、摩訶不思議な風景が現れた(佐瀬雅行撮影)

 とてつもないスケールの観音菩薩立像は、正式名称が「仙台天道白衣大観音」。周辺のニュータウン開発などを手掛けた企業グループの経営者が、自らの信仰に基づいて1991(平成3)年に建立した。高さは台座を含めて100㍍、25階の高層ビルに相当する。1993年に120㍍の牛久大仏が完成するまで仏像として日本一の高さを誇った。

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