日本型シニアセンター
シニアネット仙台が自力で運営してきた一番町サロンは、もともと米国の社会システムである「シニアセンター」をモデルとしています。シニアネット仙台が1995年(平成7年)に発足する直前、仙台市内の市民活動団体のリーダーや高齢化問題の研究者、行政関係者らが「米国高齢社会調査団」を結成し、カリフォルニア州やフロリダ州を訪問調査した経緯があります。シニアセンターはそのときの主要な訪問先の一つでした。
全米各地にある高齢者をサポートする施設が「シニアセンター」です。州政府や自治体が場所を確保し、NPOが運営するケースが大半でした。高齢世帯向けの食事サービスなど、連邦政府のプログラムや、地域のボランティア活動の拠点の役割を果たし、NPOの呼び掛けに応じた高齢者たちがボランティアとしてシニアセンターの運営に参加していました。
シニア世代のための拠点施設をNPOが運営し、シニア世代のボランティア参加を進める枠組みは、後にシニアネット仙台のリーダーになる調査団のメンバーが持ち帰り、少しずつ具体化したものです。
その際、調査団をサポートしたのが、認定NPO法人市民福祉団体全国協議会専務理事の田中尚輝さんです。田中さんは「NPOである以上、『社会を変える』担い手となることから逃げてはいけない。法人格までとって活動する意味をよく考えてほしい」と前置きしながら「シニアネット仙台が民間の力でサロンを維持してきたのはすごいことです。運営に関するソフトもあるのだから、ほんのちょっとだけひねって、サロン運営の意味やノウハウを地域社会に開いていくことを考えてはどうでしょう。社会貢献をことさらに大きくとらえずに、自分たちの環境をうまく生かす形でできる方向は必ずあるはずです」と提案しています。
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