「すずむしの里」復活を目指して。仙台の市民グループが今年も配布会を開催

押柄美樹】仙台市宮城野区の市民グループ「すずむしの里づくり実行委員会」が毎年行っているスズムシ配布・交換会が、今年も宮城野区中央市民センターで開催されました。当日はスズムシの配布や交換、育成相談などが行われ、地域住民や小学生など約240人が訪れました。

「すずむしの里」復活を目指し、スズムシを育成

スズムシは、古来は宮城野原に自生していたといわれ、歌にも多く詠まれています。昭和46年には市民投票により仙台市の「市の虫」として決定されたものの、残念ながら現在は自然の中でその姿を見つけることが難しくなりました。

「すずむしの里づくり実行委員会(以下、実行委員会)」は「すずむしの里」復活を目指しスズムシ育成などに取り組む市民グループで、平成6年より活動を始め、今年で発足から30年を迎えます。宮城野区の岩切市民センターを拠点に育成や、スズムシへの理解を深めてもらおうと市内の小学校での出前授業や、市民センターでの講座なども実施しています。

4000匹のスズムシを配布。整理券に並ぶ人の姿も

「スズムシ配布・交換会」は実行委員会の活動開始当初から行われている活動で、毎年宮城野区中央市民センターなど3カ所で、約4000匹のスズムシが配布されています。

2024年7月26日、配布開始前から整理券を求めて並ぶ方々の姿がありました。スズムシを自宅で育て毎年のように参加しているというベテランの男性や、小学校の出前授業でスズムシを知ったという小学生、小さな子どもと一緒の親子なども幅広い参加者で賑わっていました。

自然にスズムシの音が戻るように。市民センターと連携

また配布会の傍ら、スズムシを育てるための飼育ケース作りのコーナーもありました。大きさの違う石や砂利を敷いて、炭を置いて…などと説明を受けながら、子ども達が楽しそうに作っていたのが印象的でした。

スズムシは岩切市民センターの内外で約10万匹が育てられており、実行委員会のメンバーが交代で餌やりや清掃などを行っています。センターの貴田さんは「『市の虫』としてより認知普及してほしい。自然にスズムシの音が戻るように、スズムシ達が安心して生きていける環境になってほしい」と話されました。

実行委員会にはメンバーの高齢化という課題もあるそうですが、実行委員会事務局長の高阪さんは「スズムシのことをより多くの市民に知ってもらえるよう、活動を継続していきたい」と意気込みを語られました。

9月頃までは、宮城野区役所や宮城野区内の市民センター、仙台うみの杜水族館などでもスズムシが展示されています。ぜひスズムシの音色を楽しんで、古来の宮城野に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。

この記事は、仙台市の宮城野区中央市民センターとコラボした市民記者養成講座「東北ニューススクールin宮城野」の受講生の制作した記事です。宮城野区を舞台に活動するさまざまな地域密着の市民活動を取材し、発信していきます。他の記事は下記の画像バナーからご覧ください。

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