福島に新たな特産品「フルーツハーブティー」が誕生!地元の大学生・高校生と商品開発

鈴木千絵】みなさんは「福島県の特産品」と言えば何が思い浮かぶでしょうか?もも、りんごといったフルーツと答える方も多いかと思います。2022年11月、福島県産のフルーツを使った特産品がひとつ誕生しました。「TEA&THINGS」という地域メディア型お茶ブランドによるフルーツハーブティーです。福島県産のももやりんごをドライフルーツにし、ハーブをブレンドしたものです。

11月5日に東京都の新宿御苑で「グリーンチャレンジデー」、11月19日には福島市内で行われたイベント「あぶくまフェア」にて、県内外でお披露目となりました。

福島市内で行われた「あぶくまフェア」での様子。試飲したお客さんが次々と買っていき、昼過ぎには完売だったそう(提供写真)

一体どのようなお茶で、どのような想いが込められているのでしょうか。「TEA&THINGS」代表の大島草太(おおしま・そうた)さんにお話を伺いました。

「TEA&THINGS」代表・大島草太さん。川内村、田村市を拠点に、キッチンカー「Kokage Kitchen」の運営・販売や、地域のクラフトビール会社に醸造士として携わる

福島県産のフルーツと自家栽培のハーブをブレンド

「TEA&THINGS」は、現在、4種類のフレーバーのフルーツハーブティーを販売しています。福島県産のりんご、いちご、もも、りんご&もものドライフルーツにそれぞれ、ハーブをブレンドしています。

筆者もオンラインショップで購入した。3本セットで届く。どの組み合わせになるかは届くまでのお楽しみ

「ドライフルーツに使われているのは、福島県内の果樹園の摘果や傷により規格外となったもの、ハーブはほとんどが自分たちで栽培したものです」と大島さんは話します。

「REFRESH PEACH」は、もも・レモンバーム・ラベンダーのブレンド。封を開けると、ももの甘い香りがした

規格外の果物を使って、新たな福島のお土産を

「TEA&THINGS」のプロジェクトが立ち上がったのは2022年3月のこと。もともと、福島県川内村、田村市を拠点に「Kokage Kitchen」(コカゲキッチン)の屋号で地元食材を使ったキッチンカーのお店を営んでいた大島さんに、地元の果樹農家より、「摘果したリンゴを何かに使えないか」という相談があったのがきっかけでした。

福島県内の果樹園の様子。規格外、傷などで出荷できないものも多いのだそう

大島さんは、「摘果されたものや傷がついたもの、規格外品を利用し、新たな福島のお土産を作りたいと思いました」と話します。

まず、思いついたのはフルーツティー。大島さんは、知人でもある、郡山市の「Bar & Cafe Herbalist(ハーバリスト)」のオーナーに話を聞いてみました。すると「ドライフルーツとハーブをブレンドしたお茶を作ってみては」というアドバイスがありました。

そこで大島さんは、「出荷できない果物を乾燥させてドライフルーツを作り、自分たちでハーブを育て、フルーツハーブティーを作りたい」と決意。

その時に、大きな力となったのが大島さんの母校・福島大学の学生たちでした。大島さんが彼らとつながったのは、ご自身も在学中に受講していた地域実践学習「むらの大学」というフィールドワークの授業での講演でした。大島さんの講話を聞いた学生から、「地域を盛り上げることを一緒にやりたい」という申し出を受けていたのです。

こうして、大島さんは2022年3月に福島大学の学生たちとともに「TEA&THINGS」を立ち上げ、4月にはハーブ栽培をスタートしました。

ハーブを育てるため、耕うん機を使っての畑作りから始まった
地元の農家の方にトラクターの扱い方を教わる
ようやく出来上がった畑にミントの苗を1本ずつ植える

高校生も活動に加わり、ゼロからの商品企画も!

TEA&THINGSがスタートした頃、大島さんに新たな話が持ち込まれます。大島さんが営む「Kokage Kitchen」に訪れた、聖光学院高等学校(伊達市)の先生からの「高校生も何かの形で地域と関わるプロジェクトに参加できないか」という相談でした。

大島さんは「私自身も、若い人が地域と関わるような活動をバックアップしたいと考えていたので、嬉しい申し出でした」と振り返ります。それを機に高校生たちも活動に加わるようになりました。

ハーブ収穫の様子

彼らは畑でハーブ栽培をするとともに、企画にも関わりました。「TEA&THINGS」のフレーバー4種類のうちのひとつ「YASURAGI FOR YOU」は高校生が作り出したお茶。それは、りんごともものドライフルーツにラベンダーとスペアミントをブレンドしたものです。

「YASURAGI FOR YOU」ももとりんごがふんだんに使われている
試作の様子。フルーツとハーブの組み合わせや分量などを試行錯誤しながら

11月のお披露目イベントでは、高校生たちも店頭に立ち、自分たちが企画・製作した「YASURAGI FOR YOU」を販売しました。お客さんからも大好評で、4種類の中で一番最初に売り切れるほど大人気だったそうです。

高校生のアイディアが詰まった「YASURAGI FOR YOU」。ハーブのすっきり感、ほんのりとしたフルーツの甘みが味わえる

「福島のものとして、末永く残っていくものを」

大島さんは「TEA&THINGS」について「大切にしているのは、その場限りのものではなく、福島のものとして末永く残っていくものを作ることです」と話します。

福島県産の素材で作られたフルーツハーブティーですが、パッケージにもすべて福島県内の風景が使われています。それは「県外の人が、フルーツハーブティーを手にしたときに“福島に行ってみたい”と思ってもらいたいという願いから。

いちごと3種類のハーブのブレンド「CHEERFUL STRAWBERRY」のパッケージは福島県いわき市四倉海岸の風景。海も福島の魅力

また、高校生など次の世代を担う人たちと共に活動するうちに「高校卒業後、進学や就職で県外に出た生徒たちが、フルーツハーブティーを通して地元・福島を思い出したり、誇りをもって周囲の人にアピールできたりと郷土愛につながるものになってほしいと思うようになりました」と話します。

「今後も地域とつながりながら、農家の想いや生産者のこだわりなど商品作りを通して伝え続けていきたい」

【TEA&THINGS】
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