東北流行語大賞2023
東北流行語大賞2023
東北流行語大賞2023

TOHOKU360が毎年、読者のみなさんと東北で最も流行した言葉を決める「東北流行語大賞」。今年もTwitterで皆さんから候補ワードを募集し、東北各地からたくさんのご応募をいただきました。ありがとうございました!

皆さんからお寄せいただいた言葉の中から編集部が15語に絞り込み、2023年のノミネートワードが決定しました!ノミネートワードの解説を読んだ上で、記事の最後の投票フォームから今年の東北流行語大賞にふさわしいと思う言葉にお一人3票の投票をお願いします。最も得票が多かった言葉が今年の東北流行語大賞に選ばれます!投票は12月8日まで。12月11日に大賞を発表します。

荒地の家族

宮城県仙台市在住の作家・佐藤厚志さんの小説『荒地の家族』(鈴木千絵撮影)

【解説】小説『荒地の家族』は、宮城県仙台市在住の作家・佐藤厚志さんの著書である。2023年1月に第168回芥川賞を受賞した。東日本大震災(作品内では「災厄」と表現)をモチーフとした作品であり、10年後の被災地で生き続ける40歳の植木職人が主人公である。彼は災厄により仕事道具のほとんどをさらわれ、その2年後には妻を病気で亡くすなど、次から次へと困難が降りかかる。生活を立て直そうとするも元の生活には戻れずに苦しみ無力感に襲われる。主人公をはじめ、登場人物たちが災厄から時間が経っても、喪失感を抱えながら生きる姿が描かれている。芥川賞受賞後、舞台となった宮城県では特に、本書の注文が殺到。一時は入荷待ちとなるほどの大きな反響があり、多くの人に読まれた。(鈴木千絵)

ニューヨークタイムズ

「隠された宝石」と表現された美しい盛岡の街並み(佐々木佳撮影)

【解説】2023年1月にニューヨークタイムズ紙(電子版)で発表された「2023年に行くべき52カ所」の一つに岩手県盛岡市が選ばれた。イギリスの首都ロンドンに続き2番目に紹介されるという快挙である。記事では、盛岡市について「歩いて回れる宝石的スポット」とし、東京から数時間で行けるアクセスの良さ、中心市街地に点在する歴史的建造物や豊かな自然、コーヒー店、わんこそば、書店、ジャズ喫茶などに見られる地域に根付く文化を高く評価した。発表後、盛岡市では外国人観光客に加え、国内からの観光客も急増するなど、「NYタイムズ効果」がもたらされ、街全体がにぎわい活気づいた。(鈴木千絵)

じゃこ天

仙台市内の百貨店で11月に開かれた物産展でも、じゃこ天は飛ぶように売れていた(佐々木佳撮影)

【解説】魚のすり身を油で揚げた練り製品で、愛媛県南予地方の特産品。その名を広く知らしめることになったのは、秋田県の佐竹敬久知事の発言だった。佐竹知事は10月23日、秋田市内で行った講演で四国地方の料理について言及し、「メインディッシュがいいステーキだと思って開けたら、じゃこ天です。貧乏くさい」などと述べた。県知事が他県の料理を直球で貶す前代未聞の失言は多くのメディアが取り上げ、県庁にも批判が殺到する事態に。佐竹知事は謝罪に追われた。
事態に心を痛めたのは秋田県民だ。愛媛の蒲鉾店のオンラインショップには騒動の直後から、「四国の方に申し訳ない」「うちの殿がすみません」(※佐竹知事は江戸時代に秋田藩の一部を治めた「佐竹北家」の末裔)といったメッセージとともに、じゃこ天の注文が秋田から相次いだ。その後も、サッカーJ2ブラウブリッツ秋田がホームゲーム(徳島ヴォルティス戦)で販売するなど、じゃこ天を買って食べる動きは「県民運動」に発展。こうした動きがメディアに取り上げられるたびに、じゃこ天への注目度は全国的に上昇していった。11月15日には都内で四国の物産を紹介するイベントに秋田県も合同出展し、佐竹知事は「貧乏くさいとは全く思いません」と、双方の物産をPRした。(佐々木佳)

訛デレラ

YouTubeチャンネル「こたマスク」より

【解説】もしも、シンデレラが訛っていたら…?そんな動画が、2023年7月から、YouTubeチャンネル「こたマスク」で公開され、話題を呼んだ。投稿するのは、宮城県在住の小顔マスクマンママさんで、著作権の切れたアニメ映画「シンデレラ」に、東北弁でアフレコしている。「じょこちゃん」「わがんね」「はかはか」など独特の単語とイントネーションに、方言が分からない人も大爆笑。思わずニヤリとする宮城あるあるネタや創作の会話も織り交ぜ、楽しませる。11月末現在、「訛デレラ」シリーズは11本で、再生回数は約575万回に上る。地域の魅力の1つ東北弁で、観る人にほっこりあたたかな笑いを届けた。(大泉さんご)

常磐もの

東北観光推進機構「旅東北」フォトライブラリーより

【解説】古くは常陸国(現・茨城県)と磐城国(現・福島県浜通り)で獲れる海産物を指す言葉。近年では福島県産の魚介類をアピールする言葉として広く使われている。黒潮と親潮がぶつかる福島県沖はプランクトンが豊富で魚が栄養を吸収しやすく、水産関係者の間で高い評判を得てきた。
福島県では今年8月に福島第一原発の処理水の海洋放出が始まり、漁業関係者の間で風評被害の発生も懸念された。しかし、東京で開かれたグルメフェスで「常磐もの」を販売するコーナーが設けられたり、大手コンビニエンスストアが「三陸・常磐もの」の販売キャンペーンを実施したりするなど、おいしい「常磐もの」を食べて復興を応援する動きが広がっている。これから寒くなる季節には、昨年の東北流行語大賞ノミネート語にも選ばれた福島県産天然とらふぐ「福とら」もおすすめだ。(安藤歩美)

【関連記事】相馬の浜に集う若い担い手、処理水放出に危惧も「宝の海」に未来を託す

青森新時代

【解説】20年間青森県知事を務めた三村申吾氏が引退し、注目を集めた今年6月の青森県知事選。前青森市長と前むつ市長が立候補する新人同士の対決となったが、勝ったのは前むつ市長・宮下宗一郎氏だった。宮下氏は選挙戦から「青森新時代」という言葉を掲げ、知事に就任後も燃料高・電気高・物価高への緊急対策の実施や少子化対策など12項目を「青森新時代を築く12の柱」として自身のホームページに掲載。YouTube発信なども強化し、県政を刷新する姿勢をアピールしている。(安藤歩美)

クマ出没警報

【解説】東北各地でクマの目撃情報が急増した今年。人への被害も相次ぎ、環境省の速報値によると2023年度10月末時点での全国の被害者数は180人(昨年度は一年間で75人)。このうち青森11人、岩手42人、宮城2人、秋田61人、山形5人、福島13人と全体の74%が東北地方の被害であった。
最も人的被害の多い秋田県では、山の中だけでなく市街地に出没する「アーバンベア」が人を襲う事態も相次いだ。秋田県は5月に発令されたツキノワグマ出没警報の期間を12月末まで延長し、捕獲上限を引き上げるなどして対策を続けている。(安藤歩美)

ラーメン県そば王国

山形のおいしいラーメンとそば(佐々木佳撮影)

【解説】山形県の新たな公式キャッチフレーズ。県は10月、特許庁に商標登録を出願した。
今年は麺を愛する県民にとって、特別な年だった。県庁所在地の山形市は、世帯あたりの外食「中華そば」支出額で今年、悲願の首位に返り咲いた。2013〜20年まで8年間、日本一の座を守っていたが、21年に新潟市に王座を明け渡す。以来、市内のラーメン店主らがクーポン付きのオリジナルグッズを企画し、行政とラーメンを観光資源に活用する協議会を立ち上げるなど、奪還に向けた本気の取り組みを続けていた。麺類への情熱は内陸部にとどまらない。庄内地方の酒田市では、市内の有名店がタッグを組んでオリジナルの「酒田のラーメン」を考案。10月に都内で開かれた「日本ご当地ラーメン総選挙」に出場し、初優勝の快挙を成し遂げた。
県は、以前から歴史と知名度を持つ「山形そば」とともに、地域に根づいた麺文化を全国・世界に発信する考えだ。「うどん県」で認知度向上に成功した香川県、「おんせん県」の大分県に続き、24年以降も麺のように長く愛されるフレーズになるかが注目される。(佐々木佳)

おかえりなさい政宗公

写真提供は伊達武将隊の支倉常長さん。「昨年3月の地震で破損した伊達政宗公騎馬像が東京で修理され、今年3月末に仙台城跡にお帰りになられました。お帰りを待ち侘びておりましたので感慨一入でした」(支倉さん)

【解説】仙台市青葉区の仙台城跡の「伊達政宗公騎馬像」は、2022年3月16日の地震の影響で、損傷。約8ヶ月間、東京都で修復作業が行われた。河北新報社では、歴史的価値と政宗公の偉業を伝えようと、伊達政宗公騎馬像帰還記念企画「おかえりなさい、政宗公 ~“伊達の気概” ここにあり~」を展開。2023年3月22日、多くの市民が待ちに待った帰還の日が訪れた。同年3月31日には、仙台市が記念式典を開催。無事に帰ってきた「殿」に、これからも末永く、仙台のまちを見守っていてほしい。(大泉さんご)

#ただいま仙台

仙台市観光課が公開した観光プロモーション動画「#ただいま仙台」

【解説】仙台観光アンバサダーでプロスケーターの羽生結弦さんが出演する、仙台市観光プロモーション動画のコンセプト。 観光スポットや四季折々のお祭りの映像とともに、羽生さんの語りで、自身ゆかりの地や仙台への想いなども交えて仙台の魅力を紹介する。 動画で羽生さんは、ふるさと・仙台を「世界一、かえってきたくなるまち」「一度だけでなく、何度もかえってきたいなと思ってもらえるまち」と表現した。 10月30日から11月5日まで都内各所の大型モニターで公開。 宮城県内でも11月30日から仙台駅の観光情報センターなどで公開されるほか、仙臺緑彩館をはじめ仙台市内4か所には羽生さんの等身大パネルが設置されている。(黒田あすみ)

棒パン

青森でいっそう盛り上がりを見せる「棒パン」(写真提供:第3回棒パンサミット

【解説】青森県のローカルフード「棒パン」。 青森市内を中心によく知られるご当地パンだが、パン屋さんで出来上がりを購入するのではないところが大きな特徴。 焼いて仕上げるのは自分自身であり、竹の棒の先端にパン生地を巻きつけたものを購入して炭火にかざし、くるくると回して焼き上げる。イベントや学校行事などで体験コーナーとして出店されることが多い。始まりは40年前。1983年に青森青年会議所のメンバーがイベントを企画する中で、関東地方で見かけた棒パンを取り入れたとされる。大元の起源は北欧のアウトドア料理にあるそう。 来年2024年3月には「第3回棒パンサミット」も開催予定。(黒田あすみ)

憧れるのをやめましょう

野球殿堂博物館に展示されたWBC大谷翔平選手着用ユニホームなど(野球殿堂博物館プレスリリースより)

【解説】岩手県出身の「二刀流」メジャーリーガー・大谷翔平選手が、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)アメリカとの決勝戦前に選手たちに語りかけた言葉。試合前、「トップになるためにきたので、今日一日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!」と鼓舞した大谷選手。2023年3月22日、日本は、前回王者・アメリカに3-2で勝利し、14年ぶり3度目の優勝を果たした。背筋を伸ばす熱い一言で、憧れを超え、新たな歴史の1ページを紡いだ。(大泉さんご)

ネコママウンテン

「アルツ磐梯」と「猫魔スキー場」を合体させるピコ太郎さんのCMでも話題となった

【解説】国内有数の雪量と雪質に恵まれる福島県磐梯町のスキー場「アルツ磐梯」と「猫魔スキー場」は、2023-24シーズン(2023年12月1日~2024年5月6日)より連結リフトでつながり、リフト13基・33コースを有するビッグゲレンデ「星野リゾート ネコマ マウンテン」として⽣まれ変わる。 ネコマ マウンテンは百名山「磐梯山」系の猫魔ヶ岳の南北にまたがり、以前は1時間を要していた南エリア(旧アルツ磐梯)と北エリア(旧猫魔スキー場)の移動が、連結リフト利用で約7分にまで短縮。リフトからは霧氷などの幻想的な絶景が楽しめる。また、総面積189haと広大なゲレンデには、初心者からアスリートまで満足できる表情豊かなコースが揃う。(黒田あすみ)

紅王

最大の5L玉はなんと「単1形乾電池サイズ」だそう(写真:山形県プレスリリース

【解説】果樹王国として名高い山形県。県内にさくらんぼが導入されて150年を迎える2025年を控え、2023年に新品種「やまがた紅王(品種名:山形C12号)」の本格販売が開始された。交配親に人気品種の「紅秀峰」をもち、「佐藤錦」「紅秀峰」に続く3本目の柱となるようブランド化を推進。県内で初めての登録制をとることで知的財産である品種を保護し、出荷グレードが明確に定められている。 サイズは国内最大級を誇り、最小のL2玉でも500円硬貨サイズ。最大の5L玉は単1形乾電池サイズにもおよび、等級は「丸秀〜秀〜特秀」で、「2L・丸秀」に満たない果実は「やまがた紅王」として販売できない。 果皮の色ツヤが良く、糖度は20度以上と「佐藤錦」並みで、酸味がやや少ない上品な甘さ。果肉が硬く、日持ち性にも優れている。(黒田あすみ)

人生は敗者復活

東北放送YouTubeより

【解説】昨年夏の全国高校野球で悲願の東北勢初優勝を果たし、「青春ってすごく密なので」の名言を残した仙台育英高校の須江航監督が、今年も心に残る言葉を甲子園で放った。昨年に続き決勝の舞台に進んだ仙台育英は、慶応(東京)に8−2で敗れ準優勝。須江監督は試合後のインタビューで「人生は敗者復活です。この経験を次に活かします」と前を向き、仙台育英の選手たちや対戦校の慶応を讃えた。
仙台育英の2年連続の決勝進出に、地元・仙台市は大いに沸いた。準決勝後に須江監督が「東北の皆さん、(決勝戦の時刻に)西の甲子園の方向にパワーを送って」と呼びかけると、百貨店・仙台三越では入口に「甲子園球場(パワーを送る方向)はこちらです」と記した案内を掲出。準優勝に輝くと、中心部のアーケード商店街には「準優勝おめでとう」の垂れ幕が掲げられた。(安藤歩美)

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