美しい津軽塗の麻雀牌が人気 青森のプロ雀士が津軽塗職人とコラボ

【若栁誉美】このコロナ禍を過ごす中で、様々なオンライン活動を自身で体験している。記者は、学生の時に少しだけやった麻雀に復帰した。もちろん、雀荘で打つことはできないので、パソコンやスマートフォンでプレイする、オンライン対戦方式のゲームだ。自分の意識が向いている事柄の情報は入ってきやすいが、とある日、Twitterで目を奪われる写真に出会った。

津軽塗の麻雀牌。観賞用で、ひとつとして同じ模様のない艶のある牌。気づいたときには完売しており、入手することはできなかった。

記者は、このツイートの発信者であるプロ雀士(じゃんし・競技麻雀のプロのこと)の遠山智子さんに電話で取材を行った。伝統工芸と頭脳ゲームのツールとのコラボ。それはどのようにして生まれたのか。

お箸、お碗、生活と共にあった津軽塗

遠山さんは青森県弘前市在住のプロ雀士。主要5団体のひとつである一般社団法人日本最高位戦プロ麻雀協会に所属。「青森に住んでいる(麻雀)プロならでは、の事をしたい」という思いから、今回の企画に至った。

お箸や器など、津軽塗は遠山さんにとって身近な伝統工芸だった。異なる2つの分野がコラボレーションすることで、津軽塗に興味のある方には麻雀を知ってほしい・麻雀を好きな方には津軽塗を知ってほしい、そんな思いがあったそうだ。

青森県の伝統工芸である津軽塗は4種類の塗りがあり、今回の麻雀牌には「唐塗(からぬり)」が施されている。丁寧に何度も塗り重ねられるところから、馬鹿丁寧塗り、の別名もある。

この映像にあるように、唐塗は模様のベースになる漆の上に、鮮やかな色の漆を塗り重ね、最後に研磨して色を出す。とても手間隙のかかる作業だ。

様々な物へ津軽塗を施す職人がいると知り、津軽塗の麻雀牌を思いついたという遠山さんだが、一度は「塗りを施した麻雀牌では、麻雀が打てない」と断念したそう。一枚一枚の文様が異なるため、相手の持ち牌で手の内がわかってしまう、洗牌(ゲームとゲームの間に麻雀牌を混ぜること)をはじめとする取り扱いで傷がついてしまうからだ。

しかしふとしたきっかけで「インテリアのように飾る牌があっていいのでは」と思い直し、麻雀牌へ塗りを施すことを無理を承知でお願いしたところ、津軽塗職人の舘山次郎さんが「面白そうだ」と快く引き受けてくれたそう。舘山さんはスノーボードをはじめ様々な物に漆塗りを施す職人。遠山さんとアイディアと舘山さんの好奇心が、今回の津軽塗麻雀牌を生み出したのだ。

面白いものができる、という自信はあったが、その良さを伝えられるか、ほしい、と思ってもらえるのか不安だった、と遠山さんは話すが、全くの杞憂だった。9月3日の夕方に予約受付を開始したところ、36種類の津軽塗の牌は即日完売。第二弾は、今年11月に発売を予定しているとのこと。

「女性が麻雀に触れやすい場を作りたい」女性専用雀荘を準備中

遠山さんが麻雀プロになったのは「好きだから」。会社員時代、麻雀が好きで、麻雀を覚えたくて、仕事後に毎日雀荘で麻雀を打っていた遠山さんを見て、現在の所属先である最高位戦日本プロ麻雀協会の小池美穂プロから「毎日麻雀をやるなら、プロになってみては?」と声をかけられたのがきっかけ。その約1ヶ月後のプロ試験を受け、晴れて2014年にプロ試験に合格。プロとして東京で活動した後、2017年に活動拠点を弘前に移し、リーグ戦のために定期的に東京まで行っていたが、新型コロナウイルスの影響を受け、現在は休場中だ。

そんな遠山さんは現在、弘前市に女性専用雀荘の開業を準備中。「女性が気兼ねなく麻雀を打てる場所を作りたい」という思いで準備を進めているとのこと。雀荘の開業には、警察の許可も必要なため、今年中のオープンに向けて活動している。会員制で、見学もOK、会員同士の交流ができるような場を目指している。「会員同士でわからないところを教えあえるような、和気藹々とした雰囲気を目指します」とのこと。

「若い頃から独立したい、と思っていたわけではなかったですが、自分の城が持てるのは嬉しいですね」と遠山さんは語る。

現在準備中の雀荘の様子

10月5日には各プロ団体からドラフトで選抜された選手たちが出場する麻雀プロリーグ戦・Mリーグも開幕。頭脳ゲームの麻雀がこれからさらに盛り上がることも期待される。

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