【松村翔子通信員=宮城県仙台市】仙台市に暮らす住民がイチオシのタレを一品ずつ持ち寄り、一番美味しいタレを決める「第1回焼き肉のタレ選手権」が、仙台市で開かれた。東北の製造元を中心に13種類がエントリー。予選、決勝戦を経て、青森県の上北農産加工株式会社が製造する「スタミナ源たれ ゴールド中辛」が優勝を手にした。
公平な競技のため、プロが肉を均一に焼き分ける

競技方法は、2グループに分かれて予選を行った後、予選1 位と2位が決勝へ進む勝ち抜き戦。参加者は、オーストラリア産のカルビを味付けなしで一切れずつタレにつけて食べた。「肉の焼き加減でタレの印象が変わってしまわないか」。問題提起したのは、芳賀さんがかれこれ9年通う「八幡バル ル・トキ」のオーナーシェフ、鴇田明彦さん。芳賀さんから企画の相談を受け、焼き役を買って出た。予選と決勝合わせて、参加者が食べた肉は1人17切れ。12人分の204切れの肉を2時間半、均一に焼き続けた。参加者は、プロが焼いた肉でタレを味わった。


「東北の食を応援したい」
「バカ8割、マジメ2割です」。鴇田さんはイベントを振り返り笑う。とはいえ、競技方法を練ったり、仕事の合間を縫って小道具を準備する芳賀さんの姿に「真剣に遊んでいるのが伝わってきて、寄り添いたいと思った」と明かす。

現在は仙台市青葉区の会計事務所に事務職員として勤め、起業家支援や中小企業の経営改善、飲食店の新商品開発をサポートしている。仕事柄、地元に飲食店を構え奮闘する人、東日本大震災後、風評被害に苦しむ生産者らを見てきた。
「東北の食を応援したい」と、プロジェクトへの思いを語る。「仕事として戦略を考えれば、方法はいろいろあるでしょう。でも人のマネはきらいなんです」と芳賀さん。企業や生産者が選ぶのではなく、消費者自らが選んだ「逸品・一品」を掘り起こす視点を選んだ。流行り廃りではなく、市井の小さいけれど確かなムーブメントが、東北の食を応援する。今後は、「ドレッシング編」、「焼き肉のタレ学生編」の選手権開催を予定している。誰に頼まれた訳でもないのに「これうんまいから食べてみて」と、持ち寄り楽しむ場所を、芳賀さんはつくり続ける。
