被災地の海辺で、東北の若者が語り合う「未来」

TOHOKU360は東日本大震災から丸6年を迎える3月11日、宮城県七ヶ浜町で若者が集まり、東北の未来を語るイベント「これからの未来について、おおっぴらに話そう」(主催:NPO法人メディアージ、Art Cafe Bar SEA SAW)のもようを、午後6時頃から生中継でお送りします。このページやfacebookページで動画を生配信しながら、文章記事もライブ形式で更新していく予定です。

10代〜30代までの起業家、地方議員、学生、作家、教職員、芸術家ら東北のさまざまな立場の若手が参加し、被災地である七ヶ浜町の海辺に建つカフェ「SEA SAW」で、「東北の未来」について車座になって語り合います。

※360度VR生中継です。
【議論参加者】「SEA SAW」代表・久保田靖朗さん、「NPO法人底上げ」矢部寛明さん、「合同会社イーストタイムズ」代表・中野宏一、「ウラバタケcafe」小玉仁志さん、「ざおうハーブ」平間徹也さん、「若者10000人会議」田中草太さん、「NPO法人メディアージ」根本聡一郎さん、「IF I AM」相澤真帆さん ほか多数


ディスカッションのようすを、ライブ形式で同時進行で更新していきます。

<第一ラウンド>東北は外に向かっていくべきか、域内循環を目的とすべきか?

外に向かっていく発想に共感する派:

・「域内で経済成長は起きない。北朝鮮のやっていること。豊かになるためには必ず外との交流が必要。グローバル化になればなるほど、『ローカル』が浮かび上がってくる。グローバル化は東北にとってのチャンス」

地域の中での域内循環に共感する派:

・「東北でつくったモノを世界に発信するのは、すべきこと。ただ、もらいすぎないようにしたほうがいい。食料を外国からだけもらっている、ということがあったとき、もらっているものが全くもらえなくなったらどうする?と地震のとき思った。東北はもらわなくてもやっていける豊かさを持っていると思うので、域内循環に共感。でも域内循環で全部やろうというのには反対。自分たちがいいと信じているものが世界でも通じる、ということが多く起こるのが東北。発信を続けると同時に、もらうということに危機感を持ったほうがいいのでは」

その他の意見:

「理念としてのグローバリズムと現象としてのグローバル化は区別しないといけない。グローバル化を目指した結果、貿易によって格差が発生しているという問題はある」
「両方大事。その地域が幸せかどうかが大事。グローバルで戦える人は戦えるが、そういう人ばかりではない。できないところは循環もふくめて見ていくべき」

「グローバル化したほうがいいに手を挙げたが、未来に残す選択肢としてグローバルのほうが選択肢多い。選ぶか選ばないかは個人次第。未来へ向けて何かを残すなら、そっちの方がいいと思う。域内でいえば宮城以外東北は食料自給率100%越えていてもう域内循環している。だとしたら、東京に、隣国に、供給できたほうがいい。文化も開いていくほうが面白い。こっちのほうが面白い、儲かる、そういう選択肢の多さがあるほうがいい」

「東北発のクリエイティブ産業を」

「仙台は支店経済といわれるが、下請けになるのはとても嫌。クリエイターの仕事はもっとできるはず。みんな下請けに甘んじている。仙台がクリエイター発信のブランドになったらいいのでは」

「正しい発想だと思う。問題は方法。マネージメントができない。経営者が増えれば母体を作れる。主体性を持てる。主体性を持てればグローバルに外に出ることもできる。東京へのアプローチしか考えられないなら東京に行った方がいいだろうが、こちらのほうがコストが戦略的に削減できる。インターネット社会の中でそんなに不自由ではない。東京に住んではいたが、クリエイティブなことをするのに東京にいる必要はない。多くのクリエイターはたくさんの戦略があることを考えられない。新しく開拓することもしていない。する知識がない。それが東北のアーティストによくあること」

「東北から発信したいけど外からは来ないで!っていうのはカッコ悪くない?」

「自分はすごく発信したいけど、外からは来ないでほしい、というのはカッコ悪くない?そんな敗北主義でいいのか?東京や世界と勝負して勝てばいい。勝てるだけのイノベーション、努力をしなければならない。世界中で勝負できる人やモノは東北にある」

どうすれば東北のそういうところは変わる?

「(教育者の立場として)漁師を受け継ぎたい、という人にも、グローバルで活躍したい、という人にも『そうか、がんばれよ』と言っている。勝負、ではなく、できることやっていくということをどう幅広く子供達に伝えていけるかを考えている」

「システムとしては閉じてはいけないが、考え方として、『東北のモノを買おう』ということはできる。それがいいのではないか」

「そもそも、夢となりえることを子供達が知らない。何になりたいか、何をしたいか、以前にどんな仕事があるか、どんな素敵なものがあるかを知らない。でも俺らのときもそうだったんじゃないか。自分が中学生だったころと感性の違いを感じない。むしろしっかりしてんな、と思う。メディアがあふれる世界の中で情報を彼らなりに取捨選択している。こんな素敵な世界があるということを伝えたいが、難しいと思う部分もたくさんある」

東北の「ソト」と「ナカ」

「学生として、教授らから大学ではグローバルとよく言われる。でも、こういう会などに出ると中(東北)を知るからこそ外に行ける、と思う。外に発信している人は東北出身以外の人が多く、東北の学生も自信がない人が東京の大手に行きたがる印象。外、外、とやたら言われるけど、中を知ってから、がいいと思う」

「京都の学生だが、東北は閉鎖的と思ったことない。いろんな場所行った時にどう考えた?と聞いてもらえるイメージ。今まで行った東北のイメージは閉鎖的ではない。グローバル化という言葉の定義も分からないけど、東北でできることをすればよくて、どちらかに決める必要ないのでは」

「最終的には自分の地域のよさを理解した上で外に発信していくという順番が必要だと思うが、外を知らないと自分の環境のよさもわからない。自分の経験としては、グローバルを経験してからローカル、がいいのでは。大学生なんですけど、東北は北海道に比べ東京に近いから仙台にいてもどうにかなりそうな気がして仙台にとどまる気がする。宮城大もほぼ東北出身。外に出るタイミングが遅くなって自信がないのかもしれない。早いうちから外を知って、自分のことと外を比べられるようになるといいのでは」

「外に出てる人の方が自分のこと分かる。日本って狭いな、と思うし世界は広いな、と思う。例えば九州に行くと自分はハイテンションになるけど、タクシーの人に聞いても何もないって言う。目を外に、根を地域にという『グローカル』が大事だし、そういう子供たちを東北で育てていきたいですね」

「人は幸せを目指すしそれは豊かさ。お金だけでなく情報、人脈など含めての豊かさ。自分はそもそもなんなのか?を考えて外を接せない限り豊かさは生まれないと思うので、自己完結では豊かさは生まれないと思う。東北は、作ったものを外に当てる機会が少なかったから自信を持てないのでは。その価値を気づかせる『情報』が大事なのでは」

「東北では新しいものを拒むことでコミュニティが保たれてきたのではないかと感じることもある。地域内で経済を回す、というところがあるのでは」

「豊かさ」って何?

「この前沖永良部島に行った。平均収入200万円くらい。町民みんなめちゃくちゃ幸せそう。結婚式はご祝儀なしで3000円。楽しそう。それを見て豊かさはそれぞれだと思った。南三陸町と同じ人口くらいで、南三陸町出身の子は考えさせられていたようだった。豊かさの話をもっとした方がいいのではないかと思っていて、気仙沼・南三陸町の子に豊かさって何か、聞いてみているところ」

「人の生き方、選択肢が増えている。結局教育だと思っている。自分で考えて自分で情報を整理して行動を起こす、そのシンプルなことが大事。大人も含めてそれができているか。子供が大人を見てああなりたい、と思えるようになっているか」

「モザンビークにいって感じたのは、彼らは何も困ってない、ということ。マンゴーの木の下であの女の子いいな、と思っている、という。携帯電話入って、生活スタイルが変わっていったのを見た。電気がないからお金なくて買わなきゃいけない。そうすると体を売らなきゃいけない。お金が必要な生活になってくる。スラムは色んな犯罪起きているけどすごく平和だった。彼らは決して日本を目指していない。僕らは超イケてる先進国ではない、ということ。変わるべきは先進国。僕はだから日本に帰って東北に来た。域内循環、という言葉がいけないのかもしれないが、『自然』を中心に生きる、というのは東北だから言えることで、自然災害が起こり、文明の弱さを感じたからこそ、自然に即して生きるという発想が生まれているのではないか。世界中の人はそう思っていると思う。自然として生きるカッコよさ、が次のスタイルだと思うし、世界を知れば知るほどその方向に進んでいると思っている。インターネットこれだけ発展した世界は『リンクグローバル』。世界中の人がリンクしながらローカルにいる、というのがいいのでは」

ファシリテーター:本当に目指すべき価値・幸せの基準とは何なのか?という議論があいまいなのだと思う。後半はその話をしたい。

<第二ラウンド>東北が目指す「価値」とは何か?

「東北の規律正しさが褒められたことがあるが、出すぎたことをしない、顔色を伺う、という意識のあらわれなのかもしれない。物事を進めるのがかなり遅くなるなど、世界と戦うとき、そうしたコミュニケーションのコストが差を生んでしまうのではないか」

「コストを感じたことない。コミュニケーションを取るときって意識しない。東北だけでなく、日本全体の問題では?」

「確かに私の地域では古い住民が一緒に掃除することなどがあり、東京ではやらないだろうなあ。コミュニケーションコストの一例かもしれない。意味あることならいいんだけど、かまど点検など、必要なのか?という古いしきたりがある」

「いわき市出身で、子供会があった。お祭りで出店やったり、校庭でキャンプやったり。今全部なくなったらしい。面倒だから参加していない、とのこと。でも田舎だから催しがないし、ゲームセンターも、お店もない。それを子供会が担っていたから、なくなったことで地域離れる人が多いのではないか」

「東北らしさ」って何?

「震災後、福島でおじいちゃんが別のところに住まなきゃいけないけど、戻ってきて自分の家が草がぼうぼうに生えているとき、身を切られる思いだ、と言った。土地と一緒に生きてきた人で、土地が傷ついていることが自分が傷つくこととつながっている。土地とともに生きる、というのが東北らしさなのでは」

「築35年の家を壊すとき、涙を流しながら壊す。あれって東京でもあるのかな?そういう感じは私も感じている」

「土地が穢されたときに悔しい、という意識はあるのでは?」

「土着」の意識は東北特有?

「埼玉なんですけど、全く(土地への執着は)ない」

「土着のアイデンティティーがあるのは、『食べていけるから』では。食えない人は生き方なんて考えない。東北は云々、というのは、生きていくための条件が関わっているのでは」

「東北」と「地域コミュニティー」

「先ほどの話で、子供会はなぜなくなったのか」

「顔と顔を突き合わせたコミュニケーションが難しくなったか、子供会に時間を割けなくなったのかが理由では」

「どの地域でも子供会は理想だが、地域として支えられない。働かなければいけないということで、地域のために動く余裕がなくなっているのでは。北海道から来た身としては、東北の人はまだ地域のために、という思いは持っていると感じる」

「(いわきでは)家におじいちゃんおばあちゃんがいたから子供会が続いていたのでは。老人ホームに入ってどんどんおじいちゃんおばあちゃんが減ると、家のことでやらなければいけないことが増えてしまうから」

「被災の疲れもある上で地域のために、は難しい。田舎はおじいちゃんおばあちゃんと暮らす中でそれぞれの役割分担があって地域のために動けるのではと思う。PTAなどいろいろやっているが、子供目線で東北の未来を考えるとか、利己的ではく利他的にまちを考えられる人が増えれば、心配するような未来にならないのではないか。」

東北は消滅するのか?

「東北が消滅する、というけど、絶対消滅しないと思う」

「消滅するっていうのは行政の話。コミュニティの消滅とは違う。仙台の川内に住んでいたとき、避難先に行政がいなかったけどうまく避難所運営されていた。『行政』がなくなったとき、どう変わるか?は、実はうまくイメージできないのでは」

「今の日本という国で金が流れていて公共や福祉サービスあるのは仕組みがあるからできている。自給自足が完全にできるならいいが、そうではないと思う」

「小さい町の単位だと伝統や文化が守られるが、大きい単位に併合されたときに守られなくなると思う。文化の保護には人がいることが大事。その地域に人がい続ける、増える、というのを動機付けるのは何かと考えたとき、東京で挑戦したいと言う人を止めることはできない。でも、この地域が好きで子供を作りたいと思えるような、そんなしくみをつくることができるのは自治体なのではないか」

「文化って手段だと思う。この文化があるからこの人が守られる、この文化があるからしくみがある、というのが、今は逆だと思っている。文化が目的になり、文化に補助金入るのはおかしいと思う」

〜「東北の未来」議論を終えて〜

「視野を広げたいと思った。偏見持ってはだめだし、学ばないと言葉にならない、と思った」

「河北新報の発表した『道しるべ』がこういう議論を通じてどんどん発展していけばと思う」

「宮城内陸の若者として、こういう場にいられて嬉しい。評論家になりたくなくて、結果を出すことに必死になりたいと改めて思った。40、50になってどれだけプレイヤーでいられるかわからないが、気持ち新たに挑戦できそうな3.11」

「グローバルグローバル言っているけど、普段の仕事は超ローカル。自転車でいける範囲のニュースを拾っている。東北を語るとき、ひとつの大きな物語が共有されていないと思った。私は何者かという物語がない東北は、わたしはよくないと思っているので、いずれひとつの東北の物語がつむがれていくのではと思った」

「京都から東北にいつも来たら東北うらやましい、と思っている。こういう風に提言が出ること自体すごい。豊かさがキーワードになっていて、日本だけでなく色んな価値観、豊かさを知りたいと思う。これからも東北にこういう風に関わり続けていきたい。幸せな場所だな、と思いながら参加した」

「仙台市泉区でお店を始め、地域でお金をもらって暮らしていかなきゃいけない状況。維持するには地域に何かしなきゃいけないし、町内会に入ったり、知らないと地域でいきていけないと感じている。面倒だから、ではなく、いきていくために何が必要で何を残さなければいけないのか、良い意味で立ち変えっていきたいと感じている」

「こんなに東北について熱く思ってたり考えてたり意見ぶつけたり、すげー素敵だと思いました。いい方向に向かっていくんじゃないかなと思う。子供達が笑顔で楽しい未来にしたい。大人が踏ん張らなきゃいけないところたくさんある。今日の話はとても楽しかったし、参考にしていきたい」

「3月11日に東北や地元のことを自分ごととして考えて、何かしなきゃいけないと考えているのがいいことだなと感じて、東北ならではのこういう場なのではないかと感じた。これからも一緒に考えていけたらと思う」

「行政、政治の意味について話を聞いて腑に落ちた。社会活動かっこいいのに政治ってかっこ悪いのはなぜか?といつも思っている。有権者として政治、社会、がんがん言っていきたいと思った」

「すごく楽しかった。東北、宮城と考えると行政を中心に考えがち。でもいろんな人が住んでいて関わりあっていて地域がある。ものの見方や思い込みを外させてくれる、地域のいろんな人が話し合う場はとても貴重だと思った」

「面白かった。今日話し合ったことは提言というより、東北の現状、だと思う。目的が共有されていないと、話の腰を折られてしまうかな、と思った」

「河北新報の提言を読んだとき、モヤモヤした。2050年にいい将来を作りたいと思っている。共感する部分ありながらも、子供達、次世代に提案するのがモヤモヤする。一緒に作りに行こうぜ、と言いたい。経済成長し終わった人が、もう無理っぽいからやめときなよ、と言うのが伝わってくるようだった。2050年のいい将来を実現するために、今日のメンバーと実現できたらと思った」

「河北新報が将来像を提言したのはすごいと思う。だからこんな場が生まれた。これからこうした提言が必要なことだと思った3時間だった」

「あの7日間があったから東北は強い、という話あった。震災があったからこそ新しく来た人がいる。それが今の東北の面白いところ。それが強みの一つだと伝えたい」

「情報がとても大事。単に知識だけでなく体験も大事。高校や中学校とプロジェクトをする中で、音楽という切り口でいくと、僕が高校のときより知識が多い。スマホで動画をめっちゃ見ていてプレイがうまい。今の若い世代が持っている情報量ははるかに多い。だから選択や価値観も変わってくる。彼らが30になるときに僕らが社会の土壌を作れているか?が大事。思想の転換期だと思う。全然違う人がこんな議論していること自体、素晴らしいことだと思う。日本中でこういうこと思っている人たくさんいると思う。いろんな価値観を持ったバックグラウンドが違う人が議論することが大事だし、東北は事実として3.11という節目があり、未来、社会を考える節目がある。議論を深めていきたいし、そういう場所ができれば最前線の場所、むき出しの場所で行われることに価値があると思う。ぜひまたSEA SAWに来て下さい!」

「この機会がここで終わるのはすごくもったいない。世の中の行政などのシンポジウムは一回か二回で終わるが、それが嫌。続けていきたいので、これからも集まってもらえたら。この次の話をしたい、というのが本音なので、皆さんに参加していただきたい」

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