遊びと学びが交差する、仙台の「東口ゆうえんち」。子どもたちの思い出に残る夏の一日に密着した

松原しょう】新型コロナウイルスでことごとく途絶えていたイベントが復活する中、この夏、仙台市宮城野区にある榴ケ岡市民センターで地域の子どもたちを対象とした「東口ゆうえんち〜東口縁日〜」が開催されました。久しぶりの縁日の雰囲気を楽しむ子どもたちや、運営に尽力した企画員の人々の一日に密着。大人と子ども、学年の違う子どもたち同士が交流する貴重な場となった夏祭りを取材しました。

東口ゆうえんち」とは?

2006年からスタートした「東口ゆうえんち」は、榴ケ岡市民センターが主催する市民企画講座に集まった地域の社会人や学生ボランティアが年に数回開催している子どものための地域のイベントです。

2024年夏のテーマは「東口縁日」で、7月7日(日)に開催。ボーリングや輪投げ、机パチンコといった遊び体験や食べ物系の屋台を用意するだけでなく、縁日通貨「東口イースト」を使って「子どもたちに遊ぶ体験だけでなく社会性を学んでもらおう」と開催されました。

縁日通貨「東口イースト」でお金の使い方も学ぶ

受付をすませた子どもたちは「スタンプラリー」と100イーストと書かれた16枚の「イースト」を受け取り、いざ入場。スタンプを集めながら、イーストを使って遊んだり食べたりすることができます。

イーストは「お金の使い方を学習する機会が欲しい」という保護者の声をきっかけに、「お祭りの雰囲気を楽しみながら、同時にお金の計算や使い方を学べるように」と企画員が考案したオリジナルの縁日通貨です。

イーストを使ってすべてのブースを回りきると、最後に100イーストだけ余る仕組みになっています。これは楽しかった遊びを最後にもう一回できる工夫です。

企画員の佐藤さんは「楽しかった遊びをもう一回だけ遊べたら、もっと子どもたちの思い出に残ると思った」と、自分自身が子どもの気持ちに返り思いついたアイデアだと話していました。

工夫いっぱいの遊び体験ブース

すべての遊具は企画員たちの手作りです。段ボールやペットボトル、割り箸といった身近なアイテムを活用して、子どもたちが思い切り遊べるようにと一つひとつ制作しています。

こちらは輪投げ。ペットボトルのお手製コーンに輪っかを、「えいっ!」。子どもたちは距離を考えて力加減を調整していました。

軽いボールとピンで安心・安全なボーリング。思い切りピンに向かってボールを転がしていました。

狙いを定める子どもたちの真剣な眼差しが印象的な「まとあて」

こちらは机パチンコです。高得点を取るためにじっくり考える子。思いのままに転がす子。子どもたち一人ひとりの個性が出ていました。

水ヨーヨー・ボールすくい。カラフルな水ヨーヨー、色々な形のスーパーボウルが盛りだくさん。目をキラキラさせて一生懸命すくっていました。

縁日ならではの食べ物系エリア

食べ物系エリアのメニューは、枝豆、ポップコーン、わたあめ。子どもたちは「〇〇ください」と企画員に声をかけながら、本物のお金と同じように東口イーストと食べ物を交換します。

突然のわたあめ機故障も、急きょ整理券を配るなど臨機応変に対応する学生企画員。

イートインスペースは、当日に企画員が思いついて急きょ設置したところ大成功。食べ物を楽しみながらくつろげる場となっていました。参加者からは、「自分から行きたいと言って今日来た」「食べ物が美味しかったし、面白かった」「また来たい」という声が寄せられ、満足な夏の一日になったことが窺えました。

縁日に行ったことがない子どもたちに夏の経験を

榴ケ岡市民センターで東口ゆうえんちを担当している板垣さんは「コロナ禍で縁日に行ったことがない子どもたちに夏の経験を提供したい。そして、大人と子ども、学年の違う子どもたち同士の異世代の交流を通じて、社会性や人間関係を築く力を養ってほしい」と、イベントにかける思いを話します。

東口ゆうえんちは、企画員の参加とアイデアで成り立っているイベントです。「長年支えてくれる企画員たちのやりたいことを最大限に実現させたい。いろんなことを固く決めず、話し合いや準備を進める中で生まれるアイデアを大切に臨機応変に対応している」とおっしゃっていました。

前回の東口ゆうえんちの企画・おばけ屋敷で作成した鳥居を再利用。縁日の雰囲気にピッタリ。
下書きなしで看板を描き始めるベテラン企画員の佐藤さん

東口ゆうえんち〜東口縁日〜は子どもたちにとって、学校や家庭とは異なる環境で遊びながら、コミュニケーションスキルや社会性を身につける大切な地域イベントでした。終了後、企画員の方たちは満足そうな表情で、イベントの成功を喜んでいました。東口ゆうえんちは、年間を通じて子どもたちが楽しめるさまざまなイベントを企画しており、次回は11月に段ボール迷路、2月におばけ屋敷を開催する予定です。

この記事は、仙台市の宮城野区中央市民センターとコラボした市民記者養成講座「東北ニューススクールin宮城野」の受講生の制作した記事です。宮城野区を舞台に活動するさまざまな地域密着の市民活動を取材し、発信していきます。他の記事は下記の画像バナーからご覧ください。

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