【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文】この連載では、60代からのジャズ志願について、身近な地域である仙台圏中心にあれこれ報告してきました。2024年も次第に押し詰まり、1年を締めくくるタイミングがやってきました。プロ、アマを問わず1年を総決算するさまざまな企画が目立ちます。もう30年以上の付き合いになる社会人バンドも、先日の定例練習で1年の活動を打ち上げました。
例年通りではありますが、自分たちの演奏をしっかり録音し、現在、聴き返し猛省中。演奏中に気を抜いたり、気持ちが盛り上がったりすると、自分が今、曲のどのあたりを演奏しているのか怪しくなる「ロスト」問題を解消できていないのはしゃくですが、演奏のレベルはともかくとして、自分の演奏を録音して自分で聴くのが楽しくなれば、こっちのもの、と納得することにします。
2024年の締めくくりを記録する意味をこめて最後の練習で取り上げた曲を列挙します。
- WORK SONG(ワークソング)
- YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO(ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ」
- MOANIN’(モーニング)
- MIDNIGHT BLUE(ミッドナイトブルー)
- RECADO BOSSA NOVA(リカード・ボサノバ
- MOON RIVER(ムーン・リバー)
いずれも、トランペットが体調不良のためお休みなので、テナーサックス1、アルトサックス2の3管編成にアレンジした譜面を使いました。
アドリブするうえで、特に手ごたえを感じたのは「THE GIFT」のタイトルでも人気のあるサンバ「RECADO BOSSA NOVA」でした。加齢のせいでしょうか。最近は、この種の明るくて抜けるような曲がとにかくうれしい。
「RECADO BOSSA NOVA」はブラジルのジャルマ・フェヘイラが1959年に作ったボサノバです。いまだに覚束ないアドリブ志願者にとってこの曲は、ボサノバ特有の感覚とマイナーの「ツーファイブワン」と呼ばれる音の連なりを習得するための課題曲です。フレーズの落ち着き先(理屈では「解決する」といいます)がEメジャー、Bメジャー、F#メジャーの3種類の「ツーファイブワン」を使うようにアレジされています。
演奏の手順を自分の判断で多少、簡略化する「省エネタイプ」(自称)とコードの進行を素直になぞる「詳細タイプ」(同)があります。「詳細タイプ」では、コードの進行に応じて、「ロクリアン」「ハーモニックマイナー」「ドリアン」などの音列を学ぶ機会となります。特に「ハーモニックマイナー」のニュアンスをうまく出せるかどうかがみそですが、テンポが速いので、指が回らず空振りに終わることも珍しくありません。想定通りの音を使えなくても、アドリブは続くので、クヨクヨしないことにします。
最後に、この1年、何と言っても重要な目標だったのが「コード進行に即したアドリブ」を可能にするために基礎技術をあらためて習得することでした。どんなコードが出ても、その構成音を使って瞬時にアドリブできる-姿(熟練者ならそれが普通らしい)が目標です。
一応、コードの構成音「コードトーン」を掛け算を暗記するように、考えながら書き出すことはできるようになりました。メジャー、セブンス、マイナーセブン、マイナーセブン♭ファイブの4系列限定ですが、系列をまたがるように音が変わるルールがあることさえ、頭に入れば比較的スムースです。基礎練習の大切さをあらあためて思い出した1年前のチンプンカンプンぶりに比べたら大きな前進です。
目下の課題は、コードの構成音を書き出す先を、頭の中の「何か」にして楽器を正しく操作できるようにすることです。登場する機会の多い、おなじみのコードをゆっくり処理するのは問題なくできるけれども、多様なコード進行を持つ曲を「さあ、吹け」と言われるとドギマギ必至です。特定の曲について何度も繰り返し練習しながら徐々に身に着けていくアプローチも併せればなんとかなるでしょうか。
以上、2024年の締めくくりでした。
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