【続・仙台ジャズノート#22】パーカッショニストの視線 仙台の打楽器奏者・齋藤寛さん

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】ジャズを聴く楽しみについて語る場合、リズムの面白さを抜きにするわけにはいきません。出演者の中に「パーカッショニスト=打楽器奏者」がいるなら、いくぶん派手めでリッチなニュアンスを期待してもいいでしょう。

リズムから入るジャズの魅力に気付いてしまった人は、もうそこから逃れられません。「音を楽しむ」と書く「音楽」そのものでもあります。特にボサノバのようなラテン調のリズムの快活さはジャズ音楽に新しい魅力を付け加え、ジャズ好きの層を広げてきました。伝統的なラテン音楽だけではなく、複雑なリズムを巧みに押し出す現代的なサウンドまで、複雑でスリリングなリズム世界は実に多彩です。

仙台在住のパーカッショニスト齋藤寛さん(47)。人気ロックバンド「Monkey Majik」のサポートメンバーとしても知られる齋藤さんは、新型コロナウイルスによる感染拡大にあっても、世界のさまざまな打楽器を駆使して、いろいろなタイプの演奏家と共演してきました。

特に印象的だったのが2022年4月22日、仙台市青葉区の電力ホールで開かれた「仙台いのちの電話チャリティー 名雪祥代グループwithウイリアムス浩子 ヴァレンタインジャズコンサート-心に響く愛の歌-」。ウイリアムス浩子さんをゲストボーカルに迎えて開かれたコンサートはドラムなしで開かれました。ジャズ特有のスイングを重視するステージでしたが、齋藤さんはペルー発祥とされる打楽器「カホン」を軸とした編成で登場し、「ライド」と称する大型のシンバルと足踏み式のハイハットシンバルだけでジャズ特有のスイング感を表現してみせました。

打楽器隊を指導する齋藤さん(左端)=2022年6月23日、仙台市宮城野区

「自分はブラジル音楽中心に、土着的な音楽を主に演奏してきたので、ジャズの世界はとても刺激的です。ジャズプレイヤーとの共演の場合、知らないことも多い。その意味でジャズ演奏家との共演はいわゆる『ホーム』ではありませんが、ある条件で音楽を作る場合、自分がどういう役割を果たせばいいかについて、あれこれ考えるのが何より楽しい」

齋藤さんにとってパーカッションの魅力の一つは、それぞれの楽器が固有の音を持ち、局面、局面でその楽器ならではの音で盛り上げることができる点だそうです。「パーカッションは叩けば音が出る点で他の楽器よりも初めの一歩を踏み出しやすいのですが、気分がいいときの音、嫌々叩いている人の音はすぐに分かります。怒ったように叩けば、本当に怒ったような音が出るし、優しい人が叩くと、それもはっきり分かります。気持ちがストレートに出てきやすい楽器です。同じ楽器を演奏しても人が違うと、出てくる音も、また違ってきます」

ジャズと共演する齋藤さん(右端)=2022年4月22日、仙台市青葉区の電力ホール

齋藤さんを紹介するうえで欠かせないのは、打楽器の魅力や技術を分かりやすく伝える「ワークショップ」のプロとしての「顔」です。学校、施設など様々な場所で開催するほか、自ら主宰する「D-PROJECT(打楽器プロジェクト)」の活動として定期的に指導しています。

今年は仙台市内の演奏家やライブハウスなどが組織する「せんだいミュージックゴーラウンド」の事業として、「ゴーラウンド打楽器隊」を編成し、11月3日に仙台市太白区の八木山ベニーランドで発表する計画を進めています。この事業で募集しているのは40人。小学生以上なら誰でも参加可能です。練習場所は宮城野区文化センター。8月4日から7回に分けて練習する予定です。「ゴーラウンド打楽器隊」についての問い合わせは「せんだいミュージックゴーラウンド」へ。

ミュージックゴーラウンド打楽器隊の募集要項

齋藤さんが初めてパーカッションと出合ったのは25歳のころ。パーカッショニストとしてよく知られている渡辺亮さんが仙台で開いたワークショップに、「来てくれるだけでいいから」と誘われたのがきっかけでした。そのワークショップがきっかけになり、齋藤さんはプロのパーカッショニストとして第一歩を踏み出すとともに、打楽器の指導者として、社会貢献も含めたさまざまな取り組みに向かって動き始めていました。

「とにかく亮さんのワークショップの衝撃が強かった。いろいろな打楽器が目の前にあり、予備知識がまったくない中で、初めて触るパーカッションの音は、それまで自分が知らなかった世界でした。気がついたら誰よりも夢中でパーカッションを叩いていました。亮さんが見せてくれたワークショップのやり方がとてもすごくて、人の心をこれほど動かすのか、と思いました。自分は社会貢献するためにパーカッションを始めたわけではないけれど、自分にとってあのワークショップは確かに人生の岐路でした。まさに今、やっていることすべての土台になっています」

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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