【仙台市長選】郡和子候補・独占インタビュー

2021年の仙台市長選が今月18日告示され、8月1日に投開票日を迎えます。TOHOKU360では、NPO法人メディアージによる両候補者への独占インタビューを動画と書き起こしで公開します。

現職の郡和子候補へのインタビューです。聞き手はメディアージのメンバーで、仙台の大学生の阿部優香さんです。(書き起こし:TOHOKU360鈴村加菜)

木を植えて水害に強い「雨庭」を作る

初めに本題に入る前に、休日の過ごし方を聞きしたいと思います。

お休みの日ですか。あの皆さんと変わらないと思いますよ。お買い物に出たり、あるいはお散歩したり、あるいはお料理を作ったりなどなど、あの皆さんと同じだろうというふうに思います。スポーツを観戦したり映画を見たり、あるいは庭のを草を抜いたりとかですね、色んなことやってます、はい。

ありがとうございます。では本題に入らせていただきたいと思います。

一つ目に、仙台市の魅力についてお伺いしたいのですが、仙台を県外や世界にPRする際、どのように説明されますでしょうか。ぜひ今回は「杜の都」以外の言葉を使ってお願いいたします。

はい、「東日本大震災から復興を成し遂げた防災力を兼ね備えた緑豊かな100万都市」と紹介いたします。

この頃、水害も大きな問題になっているかと思ったのですが。

水害の場合はですね、なかなかあの国や県とも連携しなければなりませんし、下水をしっかり整備していく、あるいはポンプなども備えなければいけないなど、長く、そしてまた予算もものすごくかかる事業です。そればかりではなくて仙台市では木を植えてですね、「雨庭」という取り組みを始めようと思っています。つまりあの木を植えた周りの土のところにですね、降ってきた雨を流すのではなく溜め込んでいく、そういう「雨庭」をつくって、雨が降ってもですね、水浸しにならないような取り組みを進めていこうと考えています。

トップセールスで企業誘致をはかっていく

続いてコロナ後の社会についてお伺いしたいと思います。今日ではコロナウイルス禍の中で希望を見出しにくい世の中ではあると思うのですが、郡市長が第一声の時に語られていた「地域経済の回復の手立て」について、具体的に教えてください。

はい、本当にあの長引くコロナで地域経済が大変。厳しい状況になっていると思います。一方で過度な過密を避けようという、首都圏の皆様方の企業が地方に対して熱いまなざしを送っています。仙台市が昨年度実施した東京等の企業の方々へのアンケートでは、地方に一部機能を移転したり増設をしたりしたいと言う、そんなご希望を持っている方々が3割いらっしゃいました。そしてそのうちのですね、50%近くが、まあ複数回答なんですけれども、どこにという共有をしましたところ、この仙台を選んでくださっている。

これはいわば追い風にもなっているんだと思います。この風をしっかりと受け止めない手はないというふうに思っていまして、私自身、企業に出向いてですね、「仙台はこんなところですよ」「仙台に進出していただいたらこんな利点がありますよ、メリットがありますよ」ということを皆様方のところに歩き回って伝えていく、トップセールスをしてまいりたいと思います。そして、多くの企業の皆さんたちにはここ仙台であなたは取り組みをしていただきたいと思います。そしてそこに働きたいと持っていただける若者がどんどん増えていくということが、経済が発展していく、元気が出てくる、そんな循環になっていくんじゃないかなというふうに考えています

利点というお話がありましたが具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか。

仙台は首都圏からの交通アクセスがものすごく良いところです。それから豊かな自然があり、そしてまた都市機能が充実をしているということで、大変あの住みやすい街、発動しやすい街という評価を高まっています。それを生かしていくということが大切だと思います。それから学都仙台だと言われていますよね。学生さん達があの、高度教育機関がありますものですから、大勢仙台に集まってきます。優秀な人材も大勢いる、そんなところがですね仙台の強みなんだと思います。

ですからここを他の地域で活動している企業の皆さんで地方に注目をしている方々には、仙台はこれだけ人材もいるし、そしてまた環境も素晴らしいですよということを訴えていきたいと思っています。

知事とは「決して対立をしているわけではない」

与野党あいのりと言われる選挙戦についてお伺いします。選挙告示日に行われた郡さんの出陣式には、オリンピックの観客等でも郡さんとの意見が割れている村井知事や、郡さんが今まで選挙で戦ってきた政党の議員さんたちがたくさん応援に駆けつけてこられたと思います。あの様子は私たち有権者からするとすごく不思議な光景に見えたのですが、郡さんの政治姿勢が変わったということでしょうか。現在の立場について教えていただきたいと思います。

私の第一声に本当に多くの方々にお集まりをいただきました。大変心強く思ったところです。というのもこの4年間の私の市政運営に対して一定のご評価をいただいたものと受け止めさせていただいています。時に意見がぶつかることもありますけれども、それはたとえば知事と私の関係であれば、私は仙台市民の皆様方のことを一番に考えて、「こうしてもらいたい」「こうすべきである」ということをお話しします。知事と意見が対立することがあっても、それはそれぞれの立場でいろいろなお話があるんだというふうに思っていますけれども、それをぶつけたり、あるいは調整をしたりあるいは共闘していろんなことを取り組んだりということで、決して対立をしているわけではないというふうに思っています。

また、あの政党の違いのこともお話がありましたけれども、今私はどこの政党にも所属をしていないわけですね。そして109万市民の皆様方のいろんなご意見、それを丁寧に聞かせていただいて、そしてそれを実際の施策に結びつけてゆく、共生を図りながらですけれども、それは今までもこれからも変わるのもではありません。

「女性若者活躍推進会議」を立ち上げる

次に市長のリーダーシップと独自色についてのお話を伺いしたいと思います。市長1期目はいじめ問題の取り組みを最優先課題として取り組んでこられて、後半ではコロナウイルス対策など解決しなければいけない課題がたくさんあったと思うんですけども、一方で私たちが開催しているイベントでは、「リーダーシップのある市長が見たい」とか「仙台市についての市長独自のアイデアを示して引っ張ってほしい」という意見も見られました。目の前の課題の解決はもちろんのことですが、2期目に挑戦してみたい郡さん自身のアイディアや政策があればお伺いしたいと思います。

あの独自性をもっと発揮してほしいと言う、そういうふうな声があったということなんだと思うんですけど、それはそれこそ著名な発明家のようにですね、斬新的なアイデアが次々次々浮かんできてそれを実行に移すということで、果たしてそれが望まれることなのかどうかというのは、私はですね、あのそういう部分もあるかもしれないけれども、必ずしもそうではないと思っています。

というのも、あの市政運営を図っていく上で継続性というのは重要な点です。ですから継続をしていかなくちゃいけないものについてはずっと引き続きということにはなるわけです。一方で様々な挑戦も重ねていかなくてはならないのはまさにその通りで、これはでもいくつかたくさんですね挑戦は新たなところでやってきたつもりです。そして2期目に向けてはですね、生きづらさを抱えておられる若者や女性たちに寄り添って何ができるかというふうなことで、多少ですけれども、女性若者活躍推進会議という会議を立ち上げてですね、それぞれの皆さん達が活躍できる場を作っていく取り組みを進めたいと考えています。

障害持った方や女性、子供に対する支援はすごく求められていることだと思います。

ありがとうございます。ダイバーシティというのはこれからの社会でとても重要だと思っているんですね。障害のある人もない人も、男性も女性もそしてまた性的マイノリティーの方々も、全ての方々にとってよりよい社会を目指してゆく、多様性を尊重する社会、そしてその人なりに活躍できる社会をつくっていくということが大変重要だと思っています。

2期目当選させていただいたら、まずは例えばパートを切られてしまって生活に困窮をしているという女性たちへの支援、あるいは若者の皆さんたち、学生さんたちでもアルバイトがなくなってしまって本当に厳しいのよっていう方々も多いと思います。それからまたの就職をしたくても正規の仕事ではなくって、いわゆる非正規の方々が増えている、そういう方々にもしっかりと対策が届くようにしていかなくてはいけないと思っています。

仙台では、先ほどの話にもちょっと変わってくるかもしれませんけれども、東日本大震災の後に「誰かのために役立ちたい」「社会のために役立ちたい」と起業を目指す人たち、学生もずいぶん増えて来ましてね、東北全域の起業家育成を仙台では努めてやっているんですね。そういう企業家の皆さんたちを次々と生み出していく、スタートアップエコシステム推進拠点都市に今になっているんですけどこれをさらに力強く推進したいというふうに思います。それからまた地域を牽引する上場企業を徹底的に応援して次々に生み出していきたいと考えていて、若い人たちにとって魅力ある仕事場というのも作り出していきたいと考えております。

コロナを若者定住の追い風に

続いて若者が住みたくなるまちづくりについてお話をいただけたらと思います。仙台は東北の人口のダム機能の役割が期待されていますが、20代30代の若者は仙台に引っ越してくる人の数より離れていく人の数が多いなど、まだまだ若者にとっては仙台は定住しにくい街となっているようです。若い世代が東京や他都市より仙台を選びたくなるような良い点、あるいは今後もっと仙台に若い世代が住みたくなるような政策があったら教えてください。

今阿部さんがお話になられたのが積年の仙台の課題でした。若い人材が大学や高等専門学校を卒業した後、仙台に残らずに東京に行ってしまうという課題でした。そこで今のコロナ禍でですね、地方に対して追い風が吹いていると先ほど申し上げました。その追い風を生かさない手はありません。

ですから、トップセールスで企業を誘致するということのほかに、さまざまな取り組みを行って、若い人たちが仙台にこんなふうな企業があるんだ、こういうところで働きたいと思っていただける、そういう企業を次々と生み出していきたいと思いますし、また遊ぶところ、楽しめるところというのも作っていかなくちゃいけないと思っています。そして子育てしやすいまちにしていく、努めていきます。

一丁目一番地の「いじめ問題」は息長く取り組む

続いて、いじめ対策についてお伺いしたいと思います。郡市長は、この4年間、子どものいじめ問題を最優先課題として取り組んできましたが、まだ学校現場や教育委員会への不信感が拭えていないという声もありました。次の4年間ではどういう具体的な対策でその不信感を払拭していきたいと考えますか。

私が就任して一丁目一番地が、いじめ・自死の問題とどう向き合って対応していくのかということでありました。まち全体でいじめに対して対応して子どもたちを大人がみんなを守っているんだよ、というメッセージを伝えていきたいというそういう思いでした。おかげさまでいじめ防止条例を作ることができて、そしてまたさまざまな取り組みも進んできています。

残念ながら認知件数としては数が多いという風になれますけれども、学校現場でいじめの端緒を早期に見つかって、そして迅速に対応する、深刻化させないということの表れでもあると私は認識しているところです。しかしながらまだまだなという声はそれはそうかもしれません。不断の努力を引き続き息長く取り組んでいかなければならないと思っております。

また、昨年度6月に学校には相談しづらいんだという方々が気軽にご相談に来てくださって構いませんよ、ということでS-KET(エスケット)という相談支援室を作らせていただきました。そこには、令和2年度だけで378件の相談が寄せられました。そういう意味ではですね、専門家の方、弁護士さんや臨床心理士の方々が丁寧に相談に応じています。そういう意味ではお困りの方がいらっしゃったら、相談室にぜひご相談いただきたいと思いますし、なによりもまず大切なのは、市民の皆様の全てがいじめはダメよ、そしてもし困っているお子さんがいたらあなたは守られているんだよ、私があなたを守るんだよ、という気持ちでこのまちからいじめをなくしてもらいたいと思います。

商店街振興、協力金や商品券で応援していく

次に中心部まちづくりについてお伺いしたいと思います。仙台市の中心部は古い商店や地元の資本の店舗が減ってしまったり、かつて商売をしていた人たちは土地を貸すだけになってしまったりして、コンビニなどの全国チェーンが多くなっているように見受けられます。地価が高すぎて新しく商売を始めたい人や新たな挑戦をしたいという若者にとって挑戦をできる場所が中心部にないという意見もありました。このような現状を郡さんはどう考えでしょうか。

中心商店街が、くしの歯が欠けるように空き店舗になっていくのは私も心配ですし注視しているところです。今般のコロナ禍が長引いてしまっていて、それの影響も受けておられる方々もおいでだと思います。それからまたインターネットでの売買っていうんでしょうか、これも盛んになってきていて直接お店で対面販売よりはインターネットで買ってしまうという方々が増えている、この問題もきっと大きいところがあるのではないかというふうに思うところです。

仙台の街では各商店街ごとにですね商店街組合があって、いろんな使いやすさですとか賑わい作りですとか、いろんな取り組みをしているんですね。それをさらに応援していかなくちゃいけないと思っていますし、またコロナの影響で営業時間を短縮したりする要請をしていますけれどそういった影響があった皆様方には、協力金や支援金などさまざまな対策を出させていただいていますが、それらのお金を投入して何とか踏ん張っていただく、そのことも重要だと思っています。それからコロナが収束してきた段階で商店街ごとの割り増し商品券というのを制度として作りました。ぜひですね多くの方々に商店街に足を運んでもらって購入をしていただく、あるいは賑わいに作っていただくということも大切だと思っています。

加えてさきほども言いましたけれども、毎年販売だけでなく、いろいろなことができるような商店街作りっていうとも一方で必要になってくるかと思います。例えば、子どもたちが遊べるところがあったりあるいはいろんな方々が情報交換をできる場があったりなどなど、それはそれぞれのまちづくり協議会があります。

例えば青葉通りであれば青葉通りのまちづくり協議会と行政と一緒になってあの地域をどう活性化していくのか、あるいは駅東のところでも同じような協議会があって、そしてこれから先どういうまちづくりをしていくのかという事もそのまちづくりの地元の皆様方と行政とタッグを組んで取り組んでいきます。

「明けない夜はありません」

では最後に仙台市民に向けて一言お願いします。

仙台市民の皆さん。今はコロナ禍ということもあっていろいろな制約があってご苦労されていることだと思います。でも明けない夜はありません。ともに未来に向けて賑やかな、元気のあるまちづくりにチャレンジしてまいりましょう。

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