肩書は「アイアムホナミ」。自分らしく生きる大切さを発信する、仙台のショップ店員

三浦真実(仙台市)】仙台のストリート系ショップの販売員、20代の山口穂波さんはレッドカラーの髪がよく似合う。緑の時もあれば、青の時もある。今ではカラフルなヘアースタイルはホナミさんのトレードマークだ。「東京も好きだけど、仙台も好き。自分の足で出向けば一流のものに触れ合える距離感がある。私がやってることも仙台なら若い子にダイレクトに伝わりやすい」。ホナミさんはそう話す。

彼女の肩書きは『アイアムホナミ』。わたしはホナミ、直訳するとそんな感じだが、彼女が『アイアムホナミ』を始めたのは訳があった。

「本当にわたしがやりたいこと?」

トレードマークのカラフルなヘアースタイルと好きな服を着ているというファッション。カジュアルな時もセクシーさやキュートさをイメージしているそう
(▲トレードマークのカラフルなヘアースタイルと好きな服を着ているというファッション。カジュアルな時もセクシーさやキュートさをイメージしているそう)

大学在学中、彼女は友人や同級生のように普通に就職活動をして、普通に就職した。それが当たり前だと思っていた。営業職として社会人としてのスタートを切った。順調に見えたが、なぜか毎日違和感があったという。「これって私らしい?」「本当にわたしがやりたいこと?」徐々にそんな思いが強くなる。

大学時代から音楽やクラブが大好きだったホナミさんは、クラブイベントに通ううち、主宰している人たちと交流を持つようになった。人当たりが良かったホナミさんはオーガナイザー(イベントの集客、企画、宣伝等を手がける役目)を任されるようになった。やりがいがあって楽しかった。自分たちが伝えたいこと、企画してみんなで味わう一体感。

やりがいだったと言うが、そこにも違和感を感じた。「なんでこんなにクラブにいるプレイヤーって女の人って少ないんだろう?告知文には”女性”DJ、”ガールズ”バンドと称されるのはなんでだろう?”男性”DJとは言わないのに…」。性差や女性の社会的地位について考えるようになったという。女性らしさとは?母親になることなの?良い奥さんになること?そもそも同じ人間なのになんで?

会社を辞め、ストリート系ブランドの販売員に

オフィスで決まった労働をするのが嫌な訳じゃない、男女を区別されるのが嫌な訳じゃない。だけど、社会からはみ出さない事がそんなに良いのだろうか―。日増しに気持ちは大きくなり、会社を辞めて、ストリート系ブランドの販売員になった。適当に決めた訳ではなく、自分で調べた上、『好きな自分』でいられると思ったから現在のブランドに決めた、という理由がきちんとあった。周囲の反対がなかった訳ではないが、それでも彼女は自分の気持ちを貫いた。

そして友人のイベントを手伝ううち、それまで経験のなかったDJを任された。楽しかった!そんなことが積み重なり、ホナミさん自身のイベントを開催することになった。そんな時は今までの経験が活きた。チラシに告知、グッズを手配したりして作るのは手慣れている。イベントを開催するにあたり、イベント名を「This Is Honami」と決めた。「これが私。これがホナミだ。誰に何を言われても私は私だから」という気持ちで名付けた。みんなにも自分がブレそうなときホナミの部分を自分の名前に置き換えて欲しいという気持ちが込められている。

『This is Honami』でDJをするほなみさん
みんな同じじゃなくていい、自分を大切にする、ストレートな歌詞に定評のあるあっこゴリラさんもイベントに参加してくれたアーティストの1人だ
『This Is Honami』用に友人に協力してもらいながら制作したPV(プロモーションビデオ)、撮影時は女の子が無邪気にほなみさんの青色の髪の毛を触りにくるという微笑ましいハプニングもあった

マドンナやテイラー・スウィフトに憧れて

「世界中のガールズを推し立てて女性の社会的地位を訴えたマドンナ、中学生から大人になる今の今まで自分に影響を与え、自分の意思を口出す勇気や大切さを教えてくれたテイラー・スウィフト、そんな彼女たちに憧れて行動し出した」。ホナミさんはそう話す。

そして、こう続けた。「自分自身のそんな行動は誰かは遊びの延長と言うかもしれないけど、大真面目にやってるし、仙台が少しでもいい街になればいい」。個性的なファッションに身を包み、自分の思いを丁寧に伝えてくれた。

「こどもたちが色んなことを感じてくれたら嬉しいです」と語る

「私は私のままでいいんだ」と思える社会に

「イベントは、自分最高の自己肯定、固定観念からの脱却、ガールズカルチャーの確立を伝えたい。それは自分らしいか?という自分へのクエスチョンを日々思い続け、とにかく自分をイヤになるほど推し出して誰かに刺さればいいと思っている」

そんな思いが時には理解されないこともあるというが、厳しい言葉を投げかけられても彼女の指針はしっかりと確立されていた。「髪型や服装は自分を守ってくれるお守り」。いつしか彼女のそんな姿に、お店にも彼女のファンだという中高生が足を運んでくれるようになった。

「お金を貯めてホナミさんのお店で服を買います」というファンの女の子の言葉には、目頭が熱くなったといい、幼い子から「お姉ちゃんどうして髪の毛青いの?」と問いかけられれば、優しく「自分が好きでやってみたいからだよ」と答えている。

彼女が目標とすることを聞いた。「次は小さな子どもたちに伝えていきたい。まずは簡単で当たり前なことから。自分の名前を好きになってほしい。自分が男の子だから!女の子だから!というのをなくして、女の子でも青が好きでいていいし、髪の毛が短くたっていい。そんな当たり前なことを伝えていきたい」

目指していたのは小さなこどもたち。「小さなこどもたちが自由に自分らしく生きる事ができる世の中であってほしい、そして、わたしはわたしのままでいいんだ、そう思える社会であってほしい、そのためにこれからも私は声を出し続け、『This Is Honami』と叫んでいく」。そんな確固たる思いで進み続けるホナミさんは、強くて優しい仙台の女の子だ。

【連載】仙台人ブルース
仙台のカルチャーシーンで活躍する魅力的な人を、ライターの三浦真実が独自の視点から取材します。♪けやき並木に やませが吹けばカキにギュウタン愛しさ募る、ドゥビ ドゥバ…♪

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