【続・仙台ジャズノート#32】あらためて演奏の場を増やす。高齢社会とジャズあれこれ

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】既に何度も繰り返しましたが、60代半ばでドラムからアルトサックスに移ったものの、メロディ楽器は初めての経験でした。呼吸を使って音を出す楽器も初めてなので基礎練習に時間をかけたいところですが、サックスは音が大きいうえに、消音装置もいいものがありません。

自宅が集合住宅の一画にあるので、無理をすると近隣騒音が問題になります。フリーとはいえ、取材者・編集者としての仕事を継続しているため、定年後の暮らしの時間配分がなかなか安定しませんでした。

そんなときは生活時間を大きく変えることはできないので、サックス奏者名雪祥代さんによる月1回の個人レッスンを主体に、以前から付き合いのある2つの社会人バンドでサックスを吹けるようにお願いしました。

社会人バンドのうち一方はもともとドラム担当として30年近く参加してきた8人編成のジャズバンドです。仙台から車で北へ約1時間の大崎市が活動拠点です。メンバーは全員が同世代。仕事の関係で3年間、大崎市に住んだ縁でメンバーになりました。若いころは地域の依頼を受けて演奏したり、仙台の定禅寺ストリートジャズフェスティバルに出演したりしていましたが、この10年ほどは週1で集まってひたすらジャズを楽しんでいます。

マイカーの中での練習態勢。お世辞にも快適とは言えない。エコノミークラス症候群にも要注意。

もう一つは仙台中心に活動している社会人のビッグバンド。23人編成です。ドラムの「トラ(エキストラの略、代役、ピンチヒッター)」を頼まれたのを機に、可能ならアルトサックスで参加させてほしいとお願いし、翌年から参加しています。もともと筆者が管楽器を始めたばかりのころに参加を認めてくれたグループですが、あまりにも力不足で他のメンバーに迷惑をかけたのでいったん休団、6年後に出戻った形になりました。

少人数のジャズコンボとビッグバンドでは同じアルトサックスと言っても、役割がかなり異なります。当初は、個人レッスンで教えてもらう内容と、二つのバンドで吸収できるポイントが必ずしもそろわず、それぞれどちらを向いているか分からないバラバラな感じは否めませんでした。いろいろ試行錯誤した結果、個人レッスンで教えてもらった内容を二つの現場で試してみる関係に落ち着いて現在に至っています。

ジャズコンボはテナーサックス1、アルトサックス2、トランペット1にキーボード、ベース、ドラム各1の編成です。週1回のペースで集まり、ジャズスタイルで練習します。毎回、10曲程度の楽譜が渡され、本番形式でメンバー全員がアドリブします。できてもできなくても、アドリブの機会を与えてもらえます。アドリブ志向の強い筆者にとってはとても貴重な場です。初めて取り上げる初見の曲や、難易度の高い曲はリーダーの指示を受けながらポイントを繰り返し練習します。個人レッスンの成果を実際に試す場としてとても有意義ですが、習ったからといって、なかなか簡単にはいかないのがジャズ特有の面白さといっていいでしょう。

 

【ディスクメモ】THE FORMIDABLE BENNY CARTER

 1954年に吹き込まれたサックス奏者ベニー・カーターのスタンダード集。10インチ版です。Formidableは「素晴らしい」の意。ストリングス入り。

チャーリー・パーカーのSummertimeがストリングスがあった方がよかったか?永遠に答えの出ない問題。同様にここでも、ストリングスと一緒であることにどんな音楽的な意味を見出すかは聴き手の自由です。

逆の意味になるけれど、個人的にはストリングスが入ってもその魅力が減じることはないカーター御大のすごさを感じるのであります。

A面はSome Other Spring、Things You Left Me、’Round About Midnight、Cocktails For Two。特に’Round About Midnightのソロが聴きもの。メンバーは以下の通りです。

レイ・ブラウンのベース、ドラムがバディ・リッチ。バディ・リッチはとっても地味。B面4曲目「Key Largo」でやっとラテンスタイルを披露しています。

Alto Saxophone – Benny Carter
Bass – Ray Brown
Drums – Buddy Rich
Guitar – Barney Kessel
Piano – Oscar Peterson

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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