【続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!)
【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】仙台中心に活動しているサックス奏者、名雪祥代さんの教室の生徒を主な対象とする「セッション&レッスン&レコーディング」に参加しました。「プロと共演する夢をかなえよう」-というキャッチフレーズの下、仙台在住のジャズピアニストの江浪純子さんとベーシストの岩谷眞さんがサポートしてくれました。コロナ禍以前から年に一回程度開かれていた教室内の発表会では、緊張のあまり舞い上がってしまったものですが、今回は江浪さんと岩谷さんのサウンドがしっかり聴こえました。自分の演奏面でも、事前に考えていたポイントを最後までほぼ意識することができた点が収穫でした。
還暦すぎてのメロディ楽器志願。「レコーディング」は、恥ずかしながら“現在地”を自ら確認するために有用です。心地よい緊張感を大いに楽しんでいるのに、なぜか楽しそうに見えないのが残念。
自分で選んだ課題曲はデューク・エリントン楽団で知られるジャズのスタンダード「IN A MELLOW TONE」でした。ビッグバンドの演奏で聴くことが多く、今回のようにピアノ、ベース、サックスで演奏するとどんなことになるのか、楽しみな課題でした。
レコーディングと映像編集を担当した名雪さんが本番前のクリニックで強調したポイントは以下の通りです。
「今回は自分のトリオで演奏するつもりになってください。客席で聴いている人たちには3人のサウンドが一つになった状態で届きます。最初から最後まで自分ひとりで演奏するのではなく、他の2人のサウンドを聴きながら自分の演奏を合わせる感じです。そのためには自分は吹かずに休む部分があってもいい」
なるほど少人数の編成で合奏(共演する)するというのはそういうことか。筆者のアドリブは音数が多すぎる傾向があり、指まかせに流れてしまうことも多い。レッスンでも音数を減らすように言われてきましたが、何のために音数を減らすのかといえば、一緒に演奏するプレイヤーの演奏を聴くためでもあるようです。
今回はテーマ(メロディ)を丁寧に吹くことを心掛けました。アドリブは32小節。テーマの後、サックス、ピアノの順でアドリブし、テーマに戻ることになりました。「コードトーン(和音を構成する音)」を意識しながら適宜、スケールを使う-などのポイントを最後まで意識できました。少々、残念だったのは、あらかじめ使うフレーズを決めていた個所でタイミングがずれたのに、気分が妙に盛り上がり、2小節余計に吹いてしまいました。指が勝手に滑った感じです。「あれえ、ずれてしまったなあ」とは思いましたが、曲の進行を完全に見失ったわけではなく、頭が白くなったわけでもありません。
「こういう場合は、どう落ち着ければいいのか」と思う間もなく曲は進行しました。自分ひとりで練習しているときはどんな事態も一人の問題ですが、プロの2人のサポートを受けているときは、一体どう展開するのか分かりませんでした。結局、サックスのアドリブが2小節はみ出した分は、江浪さんのソロの冒頭4小節に食い込む形になり、結果的に江浪さんのアドリブソロが合わせて4小節少なくなりました。江浪さんと岩谷さんは進行がずれたことをアピールもせず、淡々と演奏を終えてくれました。ああいうときは譜面通りに進行するのがコツなんだろうか、とあれこれ推測して楽しんでいます。
(「ディスクメモ」は休みます)。
【この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。
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