【続・仙台ジャズノート#74】ワクワク感こそが「自己流」のエネルギー。曲に即して楽しく練習

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】筆者のジャズ志願はとりあえず自己流で走りながら過不足ある部分を適宜、補う形で進んできたように思います。自己流は文字通り手探りでした。特にアドリブ(即興演奏)を可能にする音楽理論や技術に関心がありました。「アドリブに一定のルールがあるのははっきりしているが、聴いているだけでは分からない」。レコードやCDを聴きながら長い間、不思議に思ってきたので、その答えらしきものに少しでも近づければうれしい。

年齢のせいにはしたくないのですが、この年(満72歳)になると、「自己流」は楽しくないことを敬遠することと同じ意味になります。思えば学生時代以来のバンド活動は自己流一辺倒でした。あのころに比べれば、同じ「自己流」とは言っても、師匠の指導を受けているし、コンボとビッグバンドの演奏活動を通じて得るものが多いのは確かです。

自己流で進んでみるとさまざまなことが起きるものです。たとえばジャズ音楽の基礎である、スケール(音階)や和音を構成する「コードトーン」を基礎から覚える場合、始まりの音の高さに合わせて常に12種類の組み合わせを覚えなければなりません。理屈では分かるような気がしますが、初めて聞いたときは気が遠くなりそうでした。

大好きな曲を自分で演奏できるか?ワクワク感こそが「自己流」のエネルギー

何しろ基本的なスケールだけでも、「メジャースケール」と呼ばれるスケールが12種類、「マイナースケール」と呼ばれるスケールが初心者向けには「ナチュラル」「ハーモニック」「メロディック」の3系列×12種類あります。本来ならこうした数多くの約束事をひとつずつ覚える作業のその先に、正しい曲理解とアドリブ演奏の入り口らしきものがぼんやりと見えてくるんでしょう。

筆者の場合、そうはなりませんでした。「根気が続かない」とか「難しい」「覚えられない」というよりも、基礎的な練習や理解の先にどんな世界が広がるのかが見えないことの方が大きかったようです。60過ぎてからのジャズ志願に特有の問題でしょうか。

そうこうしているうちに、ジャズ特有の、いわゆる「スイング」の要領をアタマで理解し、実技の面でも、ある程度、当たり外れが分かるようになったころから、基礎練習よりも実際の曲を取り上げ、見よう見まねで練習することを好むようになりました。自分の好きな曲を選び、時間をかけながら取り組むのは非常に楽しいものでした。半面、基礎練習がおろそかになることでもあり、この報告を書いている時点での、恐らく最も重要な課題でもあります。

East Coast – West Coast Scene Al Cohn And Shorty Rogers

【ディスクメモ】ジャズの歴史と演奏の記録を米国の東海岸と西海岸に分けて押さえる意味合いを、あらためて感じるでしょうか。アル・コーン(サックス)とショーティ・ロジャース(トランペット)のリーダーバンドの演奏をA、B両面に記録してあります。アル・コーンが率いているのが”Charlie’s Tavern” Ensemble。ショーティ・ロジャースのグループはAugmented “Giants”です。1954年の吹き込み。Charlie’s Tavernはニューヨークの老舗レストランで、多くのミュージシャンの演奏の場となったそうです。

ジャズ音楽の東西対決に勝ち負けを持ち出すのは気が引けるので、個人的な評価をはっきり書くのはやめますが、実際に聴いてみると、好みは分かれるかもしれません。ソロ回しに活気があって生きがいい方に肩入れしたくなりました。ジャズはやはりアドリブが輝くのが一番です。

▶Side A

The East Coast Scene – Al Cohn And His “Charlie’s Tavern” Ensemble

A1 Inside Out
A2 Autumn Leaves
A3 Serenade For Kathy

▶Side B

The West Coast Scene – Shorty Rogers And His Augmented “Giants”

B1 Cool Sunshine
B2 Loki
B3 Elaine’s Lullaby

この連載が本になりました!】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた杜の都・仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?仙台の街の歴史や数多くのミュージシャンの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化を紐解く意欲作です!下記画像リンクから詳細をご覧下さい。

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