「キリバスは地球環境問題の最前線」仙台在住の名誉領事オノさんに聞く

サンゴの白化によって、蛋白源である魚に「シガテラ毒」という、食中毒の原因となる魚が増えたり、これまでとれていた魚がとれなくなったりしています。温暖化と気候変動は、島が物理的になくなる以前に生活環境にものすごく悪い影響をもたらしています。

キリバスは地球環境問題のいわば最前線です。有効な手を打つことができずに、30年後、50年後、キリバスをはじめとする太平洋に浮かぶ低海抜の環礁国が海水面の上昇でひどいことになれば、次に被害が出るのは日本のような島国であることを忘れてはいけません。

波によって浸食されたままになっている護岸。至る所で被害が出ている。(写真提供はキリバス共和国名誉領事館)
波によって浸食されたままになっている護岸。至る所で被害が出ている。(写真提供はキリバス共和国名誉領事館)

ーーキリバス政府はどんな政策を考えていますか?

オノ 国土の浸食に備えるには大規模な護岸やかさ上げが必要です。キリバスは経済的に貧しい最貧国の一つでもあり、護岸などに必要な巨額の資金をどう工面するかが大問題です。最近、パリ協定が発効して、2025年までに各国が基金を拠出することになっていますが、たとえばその基金を引き出そうとしても、科学的な裏付けのある膨大な資料を準備する必要があります。キリバスの政府には、それだけの力がないので、基金へのアクセスを容易にするよう訴えていきます。

キリバスの人々は、美しい海岸線とヤシの木に囲まれて生きてきたので、そもそも海岸をコンクリートでがっちり固めることについて、心に準備ができているとも思えないのです。

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