生涯スポーツ「モルック」から生み出す、地域の多世代交流 仙台

会場となった、宮城野区中央市民センターと宮城野区役所の間の中庭

大村昇】2021年11月6日、仙台市宮城野区中央市民センターの「青空ミーティング事業」の企画、モルック交流会が行われた。地域の人々の交流や安全な中庭スペースの有効活用を目的としたこの事業は、昨年に発足し今年度より本格始動。同センターの佐々木貴幸さんは「コロナ禍をチャンスと捉えて、屋外で何か活動できないかと考えたのがきっかけ」と話す。

「通りがかりの人を巻き込む」イベントに

「モルック」は、軽い木の棒を下手で投げ、3〜4メートル先の木のピン(スキットル)を倒して点数を競うスポーツ。フィンランドが発祥で、大きな力を必要としないため子どもからお年寄りまで幅広い年齢層の方が楽しむことができ、一見シンプルなスポーツながら白熱した展開を見せる。

「事前受付を一切せず、通りかかった人を巻き込んで一緒に楽しもうというのが今回の特徴です」と、佐々木さん。この日は土曜日で約1時間半の実施だったが、宮城野図書館を訪れていた親子や、たまたま散歩で通りかかった夫婦など15人ほどがモルックを楽しんだ。同センターの小野耕一さんは「今回の活動を通して『市民センターってこういうことやっているんだ』と知っていただくのもねらいのひとつですね」と笑顔を見せる。

親子で楽しむ姿も

地域の学生たちが企画・運営に参画

今回のイベントの大きな柱は、「地域交流」。今やモルックのセットはインターネットでも購入できるが、宮城野区中央市民センターは地元の材木店に製作を依頼。“地産地消”のセットが完成した。

オリジナルのスキットル。数字は学生たちが書き込んだ

企画には東北工業大学の「環境サークルたんぽぽ」に所属する学生5人が企画員として参画・運営し、地域のジュニアリーダー3人がその活動をサポート。秋の陽気にぴったりな爽やかな応対で老若男女の参加者を迎え入れた。

宮城県内で環境にまつわるさまざまな地域活動を行っている同サークルの副代表、芳野友愛さんは「つい先日は別の青空ミーティング事業として竹ランタンを作るイベントを実施して、あいにくの天気でしたが綺麗なランタンを点灯できました。コロナの影響で延期になったイベントもありますが、だいたい1カ月単位で活動しています。ここ以外にも、今日は松島町でのイベントに後輩のメンバーが参加しています」と話す。

宮城野区中央市民センターの佐々木さん〈写真中央〉と話し合う企画員の学生たち

人と人の“繋がり”で可能性が広がる

「学校と行政のパイプがあるのは強みだと思います」と、小野さん。「我々が予算や企画の枠を確保して、それから実際に考えて実施してくれる人を募っています。県内で手広く活動されていた『たんぽぽ』さんはもともと知っていて、『一緒に企画してみない?』と我々が声をかけたことから本事業が進みました。オリジナルのモルックを製作してくれた企業さんも含めて、人と人の繋がりで可能性が広がっていくのは素晴らしいことだと思います」と続けた。

区を基点とした“繋がり”から広がりを見せる青空ミーティング事業。イベント終了後、運営に携わった学生たちはセンターの職員と即座に反省会を行い、よかった点や改善点を話し合った。今後の活動にも、期待が高まる。

女の子は距離を縮めるなど特別ルールも採用

この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。

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