【菅原奈央】仙台市宮城野区の鶴ケ谷地区地域住民の交流の場として2022年11月19日、仙台市鶴ケ谷市民センターで、つるっこ画樹園杜の美術フォース展が開催された。鶴谷中学校美術部が主体となり企画され、今年で4回目の開催。企画を指揮した鶴谷中学校美術部部長桐野りこさんと地域団体の有志の皆さんの話を通じて、鶴ケ谷地区の中学生の役割や存在意義が浮き彫りになった。
展示の企画や広報まで、中学生たちの手で
「つるっこ画樹園杜の美術展」は鶴谷中学校と鶴谷中学校学校支援地域本部、宮城野区中央市民センター、鶴ケ谷市民センターが連携協力して開催している。当日は開催を楽しみにしていた地域住民で賑わっていた。
地域を元気にしたいという思いで、6月から展示物の製作を開始した。3年生の引退を受け、9月から部長になった桐野りこさんは「展示物の製作からステージ企画、チラシ作成、広報とすべて自分たちの手で行った。すべてが見どころだ」と振り返る。引退した3年生の先輩方のありがたさも感じたそうだ。
地域住民が世代をこえて交流
美術展開催までにワークショップが開かれ、地域で活動する団体と自分たちにできることは何か考える時間がもたれた。地域に根づき活動する住民との対話を通じて自分の発想を越える気付きが得られる。
展示した水彩画は、ワークショップを通して新たに気づいた鶴ケ谷の魅力を写真撮影。水彩画にして自分が思う地域を表現した。同展にはまるっとつるがや「地元学」グループ、鶴ケ谷地域包括支援センターも参加。地域の歴史と魅力を発信すると共に中学生を温かく見守っていた。
中学生がまちづくりに携わる意味とは
鶴ケ谷地区は昭和40年代前半からモデル的な住宅団地として開発され、人口の高齢化が他地域に先駆けて進んだが、近年、地域の高齢化率が徐々に下がりつつあり、代替わりしようとしている。「今の日本の10年先の課題が進行している」とも言われ、新しい世帯が増えていく一方で町内会や地域の諸団体を支える人が少なくなりつつある。
学校支援地域本部の菅原浩江さんは「地元愛のある中学生が地域の助けになる」と言う。まちづくりに携わることで地域を理解し、住民が住民を盛りあげるための原動力として中学生の存在は大きい。
50年前に東北最大のモデル団地として造成されたため、住民たちは自分たちの力で地元を基礎からつくり上げてきた。他地域からの転入も受け入れが早く、多様な人々と協力しあう心が地域をつないだ。新旧住民による新たな街に移り替わろうとしている今も、地域への思いをつなぐ人材として鶴ケ谷地区の中学生の柔軟な感性や活躍が期待されている。
この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。
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