コロナ禍の東北に広がる、在日ベトナム人支援の輪 山形

【鈴村加菜】仙台市でベトナムを始めとする在日外国人の支援を行うド・バン・トゥアンさんが代表を務める「SenTVA(在仙台ベトナム人協会)」は、立ち上げから2年の間に「TVA」として、トゥアンさんの活動や思いに共感した人々によって東北地方に広がっている。コロナ禍の中、昨年9月に「TVA  YAMAGATA(在山形ベトナム人協会)」を立ち上げた笹原智子さんにお話を聞いた。

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山形市に住む笹原さんは、ベトナムとの出会いについて、「当初は旅行で訪れたといった接点もなければ、ベトナムについて何の知識もありませんでした」と話す。

きっかけは、登録していた外国人向け日本語サポーターの研修で見たある番組だった。「『生きがい』じゃないですけど、自分にできることって何かないかな、と思っていた時期に、その番組を通して、地域の日本語ボランティアが高齢化し、どんどん少なくなっている一方で、日本語を学びたい外国人は増えていて、需要と供給のバランスが合っていないことを知りました。そして、一番心を打たれたのはあるベトナム人男性のインタビューでした」

「自転車で片道50分かけて日本語教室に通っている」「日本語はベトナムでも勉強してきたが実際に来日して生活すると思うように通じない、伝わらない。そういう状況が続いて塞ぎがちになってしまった」と話す男性の姿に「言葉が通じないということが人の性格をここまで変えてしまうんだ」とショックを受けたという。

お話を伺ったTVA YAMAGATA代表の笹原智子さん

そこから色々な情報を集めるようになり、山形県で暮らす外国人の中でもベトナムの人々が一番増えていること、技能実習などで来日した人たちは仕事や勉強に追われ、地域の日本人と交流する場面が少ないことから、「彼らが日本にいる3年もの間、日本人と関わる機会が職場だけ、ということがないように」との思いで模索し、「TVA YAMAGA」の前身となる団体を設立。新型コロナウイルスの影響で思うように活動が進まずにいたころ、「SenTVA」を見学に訪れたことで交流のあったトゥアンさんから「一緒にやりましょう」と声がかかった。「トゥアンさんの考えに共感したこと、仙台と山形で情報を共有したりお互いに協力したりすることでより早く、より多くのベトナム人と繋がることができると思いました」と、「TVA YAMAGATA」としての活動をスタートすることに決めた。

(笹原智子さん提供)

今年9月に立ち上がった「TVA  YAMAGA」には代表の笹原さんに加え、日本人とベトナム人のスタッフが4人いる。笹原さんは「私のようなゼロから始めた一般市民がやっているからこそ、日本人主体や日本人から外国人への一方的な関係ではなく、お互いの交流の場にしていけるのではないかと思ってやっています」という。

先日、日本語教室に日本人ボランティアとして参加した70代の男性は、始めは「私にもできるでしょうか」と不安そうにしていたが、教室が終わると「すごく楽しかったです」と話してくれたという。笹原さんは「日本人ボランティアにとってもこの活動が生きがいであったり、社会や地域について考えるきっかけになれば」と話す。

副代表の木村恒太さん(左)と笹原さん(笹原智子さん提供)

笹原さんが「TVA  YAMAGATA」の前に立ち上げた団体の名前は「MORE SMILE」。笹原さんのモットーでもある「MORE  SMILE」には「心から笑顔になれる場所」としての意味が込められている。交通事情によって、仙台よりも地方から日本語教室へのアクセスが難しいため、オンラインでの取り組みにも力を入れ始めた。「SenTVA」同様、「支え合い、助け合いプロジェクト」の参加者も募集している。笹原さんが週に一度オンラインで交流しているベトナム人女性は、ある日、涙を流しながら「この時間が楽しみだった」「元気が出る」と話してくれたという。笹原さんは「彼ら彼女らは日本で暮らす中で心の拠り所を必要としているんだということを改めて感じました」と話す。

オンラインでのサポートも開始(笹原智子さん提供)

仙台のトゥアンさんは、笹原さんについて「智子さんは心優しい人です」と言い、これからについて「笑顔を大切にするところなど、私と考えが合っていたので『一緒にやろう』とお声がけしました。やり方は地域によって少しずつ違っても同じ『TVA』として、国籍を問わずお互いに助け合い、笑顔になることを目指しています。『TVA』が広がることで日本人と在日外国人の良い関係が広がっていくと信じています」と話した。

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