外岡卓之=東北ニューススクールin雫石】岩手県雫石町上観音に11月4日、「レンタル菓子工房utakane(うたかね)」がオープンした。JR田沢湖線春木場駅前にあるこの工房は、もともと企業の事務所と倉庫だった空き物件をリノベーションしたものだ。



個人が食品を作り、販売することまで可能

およそ20㎡の屋内には、コンロやオーブン、フードプロセッサー等、様々な調理器具が並び、中央には大きな作業台がある。この場所と設備を時間単位で貸し出すというのが「レンタル菓子工房」。工房自体の営業許可が取られているため、この場所を借りた利用者がこの場所で製造したものを販売までできるという点が、大きな特徴だ。

「レンタル菓子工房utakane」の外観。仲間と建物をリノベーションし、オープンした
さまざまな調理器具を備えた工房の中

コンサル会社を辞め、生産者とともに「製造・販売」する道へ

この工房を手掛けた渡辺和義さん(42)は、もともと農業系のコンサルタント会社に勤務。農家の人たちが、農産品を加工販売していく6次産業のサポートを行ってきた。あるとき、イベントで出店者の農家さんが「私の自信作のドレッシング、でもこれは材料が足りなくて作ったものだから安くしますよ」と渡辺さんに話しかけてきた。ドレッシング作りは材料の配合比率が何よりも大切、それが崩れると味が変わるどころか、早く傷んでしまう。農家さんには笑顔を返しつつ内心、残念な気持ちだった。

農家は日々の作業が忙しく、加工販売のスキルを磨く時間もなければ、加工場を作るお金をかけられないことが多い。一方で、コンサルタントの仕事は一方的な情報提供、一回や二回情報を受けただけで、農家さんが理解して独り立ちできることは難しい。だったら加工場を作って、農家さんや創業に挑戦する人たちと一緒に商品を製造、販売するところまでやってみよう。会社員生活に区切りを付け、そんな思いで物件を探し、今の場所に辿りついた。

工房を手掛けた渡辺和義さん

利用者の思いを、一緒に形に

utakaneはこの場所で食品を作り、「商品」として販売することを目指す人が主な対象。「困った時は『困った』と弱音を吐ける、そしてそこからまた頑張れる場所にしたい」と、渡辺さん。「何かしたい!」という利用者の思いを、一緒に形にしていくことが目標だ。

工房の名前「utakane(うたかね)」は、日本人の名字にも使われている「一二三」の読み方の一つ。利用者とともに少しづつステップアップしていく渡辺さんの願いが、そこには込められている。

この記事を書いた人:外岡卓之(Takayuki TONOOKA)
神奈川県横浜市出身。岩手県雫石町地域おこし協力隊/コーチングコーチ/ファシリテーター。協力隊では主に町への移住促進を目的としたツアーやイベントの企画、運営に携わっています。個人事業では、対話を通じ人の本領発揮を支援するコーチングやワークショップの進行役をしています。生保、画廊、証券会社で約15年のサラリーマン生活を経て、田舎暮らしに転身。6年間熊本で暮らした後、昨年夏から雫石町に移住しました。

*この記事は2018年9月〜10月に岩手県雫石町地域おこし協力隊とTOHOKU360の共催で開かれた「東北ニューススクールin雫石」の受講生が取材・執筆した記事です。東北ニューススクールとは「住民が自らニュースを書く」ニュースサイト・TOHOKU360が東北各地で自分の街から価値あるニュースを発掘し、発信する力を持つ「通信員」を養成するために開催している講座です。

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