【続・仙台ジャズノート#93】長い人生、無理せず楽しみながら。楽器演奏のすすめ

【佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)】この連載は、年寄りの冷や水的に始まった筆者自身の「ジャズ志願」の様子を体験記の形でお届けするのが狙いでした。同時に、身近なジャズの現場に足を運び、音楽の魅力をいろいろな切り口で伝えようと心掛けてきました。特に音楽を聴くだけでなく、実際に楽器を演奏する楽しさ(難しさも)を多くの人に知ってもらいたいとの思いが募っています。

そんな矢先、遠方に住んでいる娘が「フルートを始めた。教室に通い始め、地元の市民吹奏楽団にも参加した」と知らせてきました。娘の長男が大学、次男が高校に進み、次第に手がかからなくなってきたため決断したようです。もともと中学・高校の吹奏楽部でクラリネットを吹いていたので、吹奏楽の雰囲気や合奏のこつは分かっているでしょう。高校卒業後は、大学も含めて完全に音楽から離れているように見えたので惜しいことだ、と日ごろから思っていました。知らせによると、慣れているはずのクラリネットではなく、新たにフルートを始めたというのだから何か思うところがあるのかもしれません。暮らしに音楽、特に楽器の演奏を取り入れるのは親としても大賛成。長い人生、無理せず、じっくり、周囲の人たちのサポートを受けながら楽しんでほしいものです。

筆者自身も、定年退職とほぼ同じタイミングでアルトサックスを触るようになりました。学生時代から自己流で楽しんできたドラムは一時休業。2013年10月からはプロのサックス奏者の個人指導を月1回程度受ける形でアルトサックスを教えてもらっています。ほぼ同時期に、1990年以来、参加してきたアマチュアバンドでも、ドラムからアルトサックスに切り替えて現在に至っています。

今年から吹き始めたオールドサックス。ちょっと早いけれど、今年の音納めが終わりました。いろいろあって勉強になりました。

新しい楽器を始めてからさまざまな出来事がありました。具体的な例をひとつだけ挙げれば、音楽を聴く楽しみが倍増以上になりました。自分で楽器を演奏する人にはお分かりいただけるはずですが、学生時代に自己流でドラムを始めて以来、リズムやドラム担当の耳で音楽を聴くようになりました。アルトサックスを始めてからはサックス担当の耳がさらに追加された感じです。いつの間にかたまったジャズのレコードやCDをサックス担当の耳で聴き直していると、時間がいくらあっても足りません。ライブを聴きに行っても、ドラムとサックスの二つの耳で聴くことになります。忙しくもぜいたくなことです。

会社組織を卒業後、ささやかながらいわゆる「起業」を経験し、初めて尽くしの暮らしの中で、自分時間の活用に音楽という軸がしっかりできたのは非常に大きかった。新しい楽器を何とか演奏できるようになるためのあれやこれやに、難しさが伴うのは仕方がありません。それよりも重要なのは、定年後の自由時間だらけの暮らしに「張り」をもたらしてくれるものが一つでも二つでも見つかることです。世の中いろいろ厄介なこともあるけれど、音楽は一生もの。仕事や家庭の都合に合わせながら気長に、したたかに楽しみませんか?

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