【続・仙台ジャズノート#119】アドリブの謎解き。ネタはいたるところに

続・仙台ジャズノート】定禅寺ストリートジャズフェスティバルなど、独特のジャズ文化が花開いてきた仙台。東京でもニューヨークでもない、「仙台のジャズ」って何?
街の歴史や数多くの証言を手がかりに、地域に根付く音楽文化やコロナ禍での地域のミュージシャンたちの奮闘を描く、佐藤和文さんの連載です。(書籍化しました!

佐藤和文】一体、どうやったらあんなに自在でスリリングなアドリブ(即興演奏)が可能になるんだろう。この連載の準備取材を始めて以来、何度も自問してきました。身近なところで開かれるライブに足を運び、ユニークな音楽イベントにかかわる演奏者のプレイを中心に追いかけてきました。興味・関心はあくまでアドリブ演奏にあるので、そこで行われている音楽イベントの意義や特色を受け止め損ねたことがあるかもしれませんが、学生時代にジャズ音楽を聴き始めて以来、この連載ほどジャズアドリブに集中した例はありません。

その気になれば、アドリブを聴けるジャズの現場は多種多様です。プロにはプロの、アマチュアにはアマチュアのジャズ解釈があって、演奏から伝わる波を感じることができれば、その経験自体ハッピーです。自分でも節操がないと思えるほどにいろいろな楽器によるアドリブ演奏を聴いた点も忘れてはいけないでしょう。

メディアを通じてよく紹介される演奏者なら、レコードやCDなどの記録媒体を探れば多くのアドリブ事例を聴くことができます。世間的に認められているような先人たちに学ぶことはもちろん重要ですが、取材を始めたばかりのころから現在に至るまで、高名な先人の偉さをはっきり自覚できる力は筆者にはありませんでした。先人の演奏を漫然と聞いても、そこで何が行われているかを理解することは難しかったからです。アドリブの謎はいつまでたっても謎かと、悲観的になったこともありました。

アドリブの「謎」を解くヒントは至るところで見出すことができる。プロ、アマを問わず、ジャンル、編成の別も関係ない=2024年6月2日、とっておきの音楽祭で。

アドリブに関心を持てば持つほど、演奏者に直接質問したい事柄が続出しました。ピアノ、サックス、ギター、ベースなど、楽器によってアドリブ事情に違いがあることも分かってきました。単音で表現する楽器と、和音を奏でることのできるコード楽器とでは、アドリブと言っても、楽器特性やアンサンブルにおける役割などだいぶ違いがあります。

そのためもあって、アドリブの「謎」を意識すればするほど、身近なジャズバーやカフェなどで演奏する地元の演奏家の演奏を聴き、話を直接聞くことが重要な取材となりました。プロの演奏家や、プロ志向の強いアマチュアだけでなく、音楽教室に通ってアドリブ演奏に向き合っているようなみなさんからも数々のヒントをもらいました。

聴いて楽しむ、知識を増やす-ことが目的ならそれだけで十分楽しかったはずです。ジャズ音楽をいろいろな角度から掘り下げて、自分の関心事と連結する作業だけでもよかったのですが、加えてこの連載では、当初からアドリブ演奏を一から学ぶ筆者の体験記の形を目指していました。アルトサックスというメロディ楽器を初めて手にし、謎だらけのアドリブに向き合ってきました。体験記のスタイルは筆者自身の戸惑いや失敗も披露するので、軌道に乗るまで時間がかかりました。演奏技術的につたないことはもちろん分かっています。下手っぴいの失敗談や苦労話をどれだけの人が読んでくれるでしょうか。今でも迷いはありますが、お会いしたことのない演奏家から「いろいろなことを思い出した。楽しく拝見している」とコメントをもらったときはうれしかったものです。毎回、記事を仕上げてネットで公開するサイクル自体が、自分で自分の背中を押すエンジンとなりました。これもまた初めての経験です。

*この連載が本になりました!

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