地震被害で相馬野馬追の出陣式が開催の危機 相馬中村神社がクラファン募る

【安藤歩美】千年以上の伝統を持つとされ、福島県相双地区で毎年開かれている「相馬野馬追」の出陣式が、開催の危機に直面している。総大将が出陣する相馬市の神社「相馬中村神社」が、震度6を観測した2月の福島県沖地震で大きな被害を受けたためだ。相馬中村神社は今年初めてクラウドファンディングを募り、開催に向けた神社の復旧を急いでいる。

千年以上の歴史を持つとされる「相馬野馬追」。総勢400騎の騎馬武者たちが開催地の雲雀ヶ原祭場地を目指してまちを練り歩く圧巻の「お行列」や、騎馬武者たちの迫力の「甲冑競馬」、「神旗争奪戦」などが3日間にわたり繰り広げられる、地域の伝統行事だ。地域の馬事文化を伝承する行事として世界的に見ても貴重で、コロナ禍前は例年16万人の観光客が訪れていた。

相馬野馬追では相馬市と南相馬市の3つの神社から騎馬武者たちが出陣するが、そのうち総大将が出陣するのが、相馬市にある「相馬中村神社」だ。国の重要文化財にも指定されている相馬中村神社では、総大将の出陣式が厳かに開かれ、法螺貝の合図とともに出陣する総大将らを地域の人々が沿道から温かく送り出す。

相馬中村神社から出陣する総大将(提供写真)

その相馬中村神社が、今年2月の福島県沖地震で大きな被害を受けた。相馬市は最大震度6を観測した地域。記者が現場を訪れた4月時点では、石橋の欄干が崩落し、24基ある参道の灯籠もその多くが崩れていた。境内のところどころが立ち入りできない状態になっていて、その被害の大きさを物語っていた。

橋の欄干が崩れ落ちていた

田代誠信宮司は「これまで度重なる地震で何度も被害を受けてきましたが、今回は東日本大震災のときよりも大きな被害が発生してしまいました」と落胆したようすで話す。他にも複数の建物の壁や屋根の崩壊や鳥居の亀裂が発生したが、復旧工事で国からの補助が出るのは文化財に指定されている本殿の一部のみ。補助金が適用されない復旧費用は、総額1200万円に上ることがわかったという。

落下した灯籠(提供写真)
崩れた屋根(提供写真)

相馬中村神社では東日本大震災や福島第一原発事故後の2018年にようやく大規模改修が完了し、「遷宮祭」が開かれた。しかし2019年には台風19号の水害で地域全体が被災し、昨年からのコロナ禍で地域経済は大きな打撃を受けている。そこに、2月の福島県沖地震が重なった。「地元企業から協賛金を集めるにも、地域全体が苦しい状況」だと、相馬中村神社・氏子総代長の立谷三郎さんは話す。

相馬中村神社・氏子総代長の立谷三郎さん

そこで相馬中村神社としては初めて、神社の修復に向けたクラウドファンディングを開始した。相馬野馬追に間に合わせるべく工事は先行して開始しながら、6月1日から修繕に必要な費用1200万円を募っている。支援者への返礼品としては、相馬野馬追の限定オリジナルグッズや、出陣式を特別席から観覧できる招待券などを用意している。

立谷さんは「野馬追は、地域の安寧と繁栄を願って開かれてきた神事。災害や疫病などが続くこんな時代だからこそ、なんとかこの行事を続け、ここからまた千年、二千年とこの伝統を後世に残していきたい。ぜひ全国からの温かいご支援をいただけたら」と思いを語った。

クラウドファンディングは以下のページから募集している。

https://camp-fire.jp/projects/view/419358

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