仙台駅東口で開かれる「真冬のお化け屋敷」って何?企画会議に参加してみた

橋本美幸】JR仙台駅の中心部、東口エリアに「ゆうえんち」があるのを知っていますか?年に数回開かれる子どもたちのための楽しい場所。そんな「東口ゆうえんち」の企画会に、東口住民2年目の私が企画員として参加してみました。

15年以上も続く子ども向けイベント「東口ゆうえんち」

「東口ゆうえんち」は、小学生の子どもたち向けの地域イベント。家庭や学校では経験できない学びや遊びを通し社会性を身につける機会とすることを目的に、年に数回開催されています。15年以上続くなかで、現在は榴ケ岡市民センターの主催事業となり、東北福祉大学のサークルのOBや地域住民、大学生も企画員に加わるようになり、昨年度からは宮城野区中央市民センターとの共催事業になりました。

企画会でアイデアを語る企画員の佐藤さん(写真左)と榴ケ岡市民センター職員の石垣さん(写真右)
過去の開催のようす

あえて「真冬」に開くお化け屋敷が恒例に

今年度の東口ゆうえんちは当初7月にイベントを開催する予定で準備を進めていたものの、荒天で中止に。改めて、方向性を決めるための企画会が10月に開かれました。

東口ゆうえんちは、企画会の場で市民ボランティアの皆さんが集まってアイデアを出し合うところから始まります。「あまり密にもならないし、滞留時間も長くならないお化け屋敷がいいのでは」と企画員の佐藤健一さん。コロナ禍以降、参加する子どもたちの感染リスクに対する配慮が必須になったといいます。それでも「お化け屋敷は、子どもたちの反応を見られるし、色々な作り込みができることが楽しい」 と、子どもたちを楽しませることを第一に考えている佐藤さん自身がとても楽しそうです。

同じく企画員の菊池龍太さんも、「他の企画はなくなったり新しくなったりしたけど、お化け屋敷だけは最初の頃からずっと2月にやっていました。真夏ではなくあえて真冬に開くのが東口ゆうえんちの恒例となりました」と話しています。今年の東口ゆうえんちも真冬のお化け屋敷に満場一致で決定しました。

大学在学中から企画に関わる企画員の菊池さん(写真右)

「お墓がいいですね」「棺桶なんかも作って」「フェイクの中に本物(の人間)を混ぜるのがこわいんだ」「ライトを当てて、そこから手が…」アイデア出しになると、皆さん生き生きと意見を出し合います。

東口ゆうえんちのお化け屋敷は「子どもたちを本気で怖がらせるイベントコンセプトを、職員が脈々と引き継いできました」と榴ケ岡市民センターの石垣直美さん。最初の頃は、お化け屋敷の怖さに泣き出す子どもたちもいたといいます。「そういう経験は大事。がんばってできたよ、というときの 子どもたちの達成感のある表情ですよね。泣いた顔が自信に変わるんです」

学生のアイデア活かし、進化を続ける

「前までは地域の小学校のお父さん会や児童館の職員さんなど、色々なところから参加してくれる人がいたけれど、だんだんと減ってしまって」。 菊池さんは、東北福祉大学在学中に学生ボランティアとして参加した東口ゆうえんち立ち上げメンバー。OBとなった今も仕事の合間に参加しています。

「学生がいっぱいいたときは、みんなで段ボールのお墓や棺桶を作って、お化け役を大勢でやって。元々はもっと広い場所でやっていて、人も多くて。大変さはあったけど、充実感もありました」

榴ケ岡市民センター和室での企画会の様子

佐藤さんは、途中参加ながら今や企画員の中心的存在。「人が長続きしないのが気になっている。たんぽぽさん(東北工業大学のサークル)のように大学のサークルとして代々続いているのはありがたいね。今の大学生は、アイデアがおもしろくて話しているだけでいいものが生まれてくるんですよ」。室内で密になってしまうお化け屋敷はコロナ禍での開催が難しいと佐藤さんが悩んでいると、学生さんから「ディズニーのトロッコみたいにレールを引いてお化けを登場させるのはどうでしょう」と提案がありました。

「衝撃を受けました。このやり方であれば、進行もスムーズになるし画期的で、すごくやりたいと思って。アイデアがどんどん出てきますね」。若い発想力に活力をもらうことが多く、「形はどんどん変わってもかまわない」と目を輝かせました。

お化け屋敷イベントのレイアウトを書き込んで相談

以前はローカル番組の取材を受けることもあり、イベントを知ったお客さんが泉区から来てくれたこともあったそう。地域の枠にこだわらないウェルカムなイベントであることは、企画会のあたたかい雰囲気からもしっかりと感じられました。

子どもを楽しませるために「まず大人が楽しむ」

昨年度から共催として企画会に参加する宮城野区中央市民センターの庄司千穂さんは、 東口ゆうえんちをこう見ています。「東口ゆうえんちの取り組みは、市民センターと企画員の方々の関係が理想的。他の事業の方々にもぜひ知ってもらいたいです」。その言葉に、榴ケ岡市民センターの石垣さんは「企画員の方みんな素晴らしいので、どの職員がかかわっても仲間に入れてもらえるのがとてもありがたいんです。お互いがお互いを育て合える関係性がいいと思う」と答えていました。

現在、「東口ゆうえんち」の企画員は20名前後。15年以上の歴史の中、一時は3人で何とか回したことも。「コロナも落ち着いてきて、また人が戻ってきてくれればいい」と佐藤さん。菊池さんにどんなメンバーに参加してほしいか聞いてみました。「やっぱりパワーがあるのは学生。お化け屋敷をやるのもパワーがいる(笑)。学生時代から経験を積んでくれるのもいいと思う」その言葉から、立ち上げメンバーとしてイベントを受け継いでいく気持ちの強さを感じました。

企画員の佐藤さんが手作りした衣装でお子さんも一緒に企画会に参加

この日はハロウィン間近。佐藤さんのお子さんのななみちゃんはお父さん手作りのカボチャのかぶりものと衣装で登場。手作りクオリティの高さを実感しました。

企画会が終わった後も、これから何がやりたいか?をテーマに自然に会話が弾みます。「ひさしぶりに食がやりたいですね」「ラーメンがいいな。麺打ちさせたい」「昔はうどんしましたよね」「餃子もやったね」思い出を語りながらも、気持ちはいつも、次は何で子どもたちを楽しませるか?に向かっています。子どもたちを楽しませるためにはまず大人が楽しむ、居心地の良さが印象的な「東口ゆうえんち」企画会でした。

この記事はTOHOKU360と宮城野区中央市民センターとのコラボ事業「東北ニューススクールin宮城野」の参加者が執筆した記事です。宮城野区の市民活動を取材した参加者たちが、地域の課題に取り組む人々の活動や思いに迫ります。

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